赤ちゃんとママ・パパのための情報
「ノロウイルス」という耳慣れない言葉を聞いて驚いたのに、病院ではお腹のかぜと言われ、不安になったのですね。
乳児で冬に白色の下痢便が出た場合、最も考えられる原因ウイルスは「ロタウイルス」で、次にノロウイルスが疑われます。
ロタウイルスは冬場に活発化するウイルスで、吐き気や嘔吐から始まり、次第に下痢になって便が白っぽくなるのが特徴です。乳幼児がよくかかり、激しい下痢が数週間にわたって続くこともあります。
ノロウイルスはカキなどの二枚貝に多く見られるウイルスで、冬に多い下痢を伴う感染症の原因ウイルスとして近年注目されています。急に嘔吐や下痢が始まり、便が白色になることもあります。ロタウイルスによる下痢に比べて比較的経過が良好で、1~2日から数日で治ることが多いものです。ウイルスを持った二枚貝を食べたことによる感染もありますが、患者の吐物、あるいは吐物が乾燥して空気中に舞った物、患者の排泄物などありとあらゆるところから感染します。
しかし、どちらのウイルスに感染したのかを、症状から区別することは困難です。ロタウイルスは便の迅速検査(便を少量とり、免疫学的手法でウイルス抗原の有無を調べる検査。短時間で結果が出る)で診断することが可能ですが、ノロウィルスについては特殊な検査が必要で、集団発生した場合くらいしか原因ウイルスの検査を行いません。医療機関では、根拠を持ってノロウイルス感染と診断できないかぎり「お腹のかぜ」という表現をします。
いずれにしても、ウイルス感染症には特効薬はなく、症状を緩和する対症療法が中心になり、両者の治療に大きな差があるわけではありません。また、赤ちゃんが感染して家族にうつす場合も多いので、下痢や嘔吐があるときは汚物の処理に気をつけ、ケア後の手洗いをしっかりと行ないましょう。
感染を防止するには、室内で嘔吐した場合、吐物をティッシュ等で取り除いたあと、塩素系漂白剤(キッチンハイターなど)を薄めた液でしぼった雑巾で吐物がついた部分を拭き取ります。トイレや洗面所の手拭きタオルを個別にしたり、使い捨てのペーパータオルを用いるようにしても、家族内での感染予防に効果があります。
医学博士、日本小児科学会認定医、子どもの心相談医。1987年筑波大学卒。1994年筑波大学大学院博士課程修了筑波大附属病院、(株)日立製作所水戸総合病院、茨城県立こども病院で研修。1996年4月より現職。
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保育園で「白いうんちが出たのでノロウィルスではないか」と言われました。その後、受診した病院で「お腹のかぜだから安静に」と言われましたが、大丈夫なのでしょうか?
(noboko 9カ月)