「初期むし歯」とは、歯垢から出る酸によって、歯からミネラルが溶け出し、表面からわずかに内側の密度が低くなった状態のこと。穴があく一歩手前の状態で、学校歯科健診では「CO(シーオー):要観察歯」と診断されることもあります。
自覚症状がなく、外見上も健康な歯とほとんど変わらないため、見逃しやすいのですが、じつはこの段階でのケアがとても重要です。というのも、いったん穴があいて、むし歯になってしまうと、歯科医院での治療が必要となりますが、「初期むし歯」の段階なら、毎日のケアしだいで、再石灰化し健康な状態にもどせる可能性があるからです。
では毎日のケアで、初期むし歯を健康な状態に戻し、むし歯を予防するには、どうすればよいのでしょうか。ここで重要な役割を果たすのが、フッ素入りハミガキです。フッ素には、歯へのミネラルの補給を促し、健康な状態にもどす(再石灰化)働きがあります。また、フッ素で再石灰化を促した歯は、酸に強くなるため、むし歯になりにくくなります。
フッ素を歯に効果的に取り込ませるには、フッ素入りハミガキをハブラシに1g以上つけて、2分間ブラッシングするのがポイントです。また、フッ素はいったん歯に取り込まれても、口をすすぎすぎると溶け出してしまいます。すすぎの回数を少なめにすることも大切です。
フッ素入りハミガキの効果をさらに高めるには、みがき方にもコツがあります。歯のみぞや歯と歯の間などに、ハブラシの毛先が入ると、フッ素入りハミガキも同時に届き、むし歯予防効果が高まります(LFD法:Local Fluoride Delivery<フッ化物局所送達>)。フロス機能のついたハブラシなどを使って、すき間を意識した歯みがきを心がけてください。
みがき始めは、口の中のフッ素濃度が高いので、むし歯になりやすい奥歯のみぞなどから始めるのがよいでしょう。歯みがきの間に、唾液などでフッ素濃度が薄まってきたら、途中でつけたすと効果的。右側からみがき始める場合は、左側をみがくときに、もう一度、ハミガキをつけると、フッ素をより効率よく、歯に取り込むことができるでしょう。なお、2度つけする場合は1gのハミガキを半分ずつ使います。
長時間ブラッシングをされる方は、最後の2分間に、この方法で歯みがきすることをおすすめします。