汗にはいろいろな種類あり、生活する上で欠かせません。
特に、体温をコントロールする汗、「温熱性発汗」は、ヒトの進化とも関係し、QOLの維持にはとても重要です。
一方、「精神性発汗」も、危険の回避や、ニオイによる種族の判別手段として、進化の過程では重要でしたが、現在社会ではそれが日常生活で不快感を与えることも少なくありません。
日常生活の中で、暑くもないのに顔、手のひら、ワキなどに汗をかくことを経験している人は多いはず。
その場合、どのような状況か思い出してみてください。
人前で話すとき、面接やプレゼンテーションなど、緊張や焦り、不安、驚きといった精神的なことがきっかけになったのではないでしょうか。
このような状況下で出る汗は、体温維持とはあまり関係ない汗で、区別して 「緊張汗」(精神性発汗)と呼ばれます。
暑いときや運動したときに出る「温熱性発汗」と「緊張汗(精神性発汗)」の違いを見てみましょう。
温熱性発汗は、体温や皮膚温などの温度情報と、運動しているときには筋肉からの情報を脳の体温調節中枢がキャッチして、汗を出す命令を発信することで起こる発汗です。
手のひらや足のうらを除く全身で汗がみられ、上がった体温を下げる働きがあります。温熱性発汗はおもにエクリン腺からの汗です。
一方、精神性発汗は精神的な変化に応じて出る汗で、手のひらや足のうら、ワキなどの限られた部位で発汗が起こります。
精神性発汗のメカニズムは詳しくはわかっていません。
温熱性発汗と精神性発汗は異なるメカニズムで起こりますが、完全に独立して働くわけではありません。
たとえば、全身に汗をかいているときに精神的な刺激が加わると、全身の発汗も同時に増えることがわかっています。
また、運動をはじめたときなどは、手のひらなどの精神性発汗が見られる部位でも汗が増加します。
緊張汗は、ヒトがサルのように木の上で生活していたときのなごりで、獲物をとらえたり、敵から逃げたりするときに、手足がすべらないように湿り気を与える役割を果たしていたとされています。
また、ワキからの汗はニオイを多く発生しますが、かつてはそれが種族の同士の目印になっていたようです。
しかし、現代社会で生活するうえでは、このような汗の働きが求められるシーンはあまりありません。
緊張汗が過剰に起こると、かえって日常生活ではマイナスで、悩みの種になることも少なくありません。
発汗理由
ストレス、緊張や自律神経の乱れ
汗腺の種類
エクリン腺・アポクリン腺
汗の成分とにおい
たんぱく質、ミネラルなどを含んだ脂質、ニオイが強い
主な発汗部位
手・足のうら、ワキなどの限られた部位
発汗理由
環境温変化や運動により体温維持が必要のため
汗腺の種類
主にエクリン腺
汗の成分とにおい
99%が水、ニオイはほとんどしない
主な発汗部位
全身