汗は、皮膚にある汗腺という器官から出てきます。
汗腺にはエクリン腺とアポクリン腺があり、ふだんかく汗はふつうは無色無臭です。
汗は暑い時や運動した時に体温調節のためにかくものだけではなく、興奮や緊張など精神的な要因がきっかけとなってかく汗、辛いモノを食べた時にかく汗などもあります。
汗腺には「エクリン腺」と「アポクリン腺」の2種類があり、それぞれに汗の性質や汗を出す仕組みが異なります。
エクリン腺は全身のほとんどに分布しています。主に体温調節のために汗を出す汗腺で、分泌される汗は無味無臭です。
一方、アポクリン腺はカラダの限られた部分にあり、特にワキの下に多く分布。独立して皮膚に開口しているエクリン腺と異なり、毛根に開口部があります。
アポクリン腺から出る汗は白く濁っていて、脂質やタンパク質などニオイのもととなる成分を多く含んでいます。もともとはフェロモンの役割をはたしていたともいわれています。
部位:全身のほとんどの皮膚表面
(200万〜500万個)
ニオイ:なし
色:無色
部位:ワキの下、乳首、下腹部などの毛穴に向けて開口
ニオイ:ほとんどなし
色:乳白色
エクリン腺の分布をよくよく見ると、部位によって特徴的な配置をしています。
手のひらや足のうらでは、シワとシワの間に多く汗腺があり、それ以外の部位では、シワとシワの交点に多いのです。
手のひらや足のうらの発汗は、ものをつかんだり危険なことからとっさに逃げたりするときに、滑り止めの役割を果たしていたと考えられます。
そのため、できるだけものに接する面で汗を出す配置になっているのです。
それ以外の部位では、できるだけ効率よく汗を蒸発させるための配置になっていると考えられます。
出典:Machado-Moreira CA.
The regional distribution of human sudomotor function and its neuropharmacological control.
PhD Thesis in University of Wollongong, 2010
汗がでるきっかけとなるのは、体温調節のほか、緊張したときや驚いたときなどの精神的なもの、そして辛い食べ物など味覚からくるものの3つがあります。
また、ワキはエクリン腺とアポクリン腺が共存し、温熱性発汗と精神性発汗が両方起こる特殊な場所です。
暑いときや運動をしたときに、上昇した体温を下げるための汗。
手のひらや足のうらを除く、全身から持続的に発汗。
暑い時に激しい運動を行うと、1時間に2リットルほどの汗をかく。
人前に出て緊張したとき、驚いたときに出る汗で、「手に汗をかく」「冷や汗をかく」といった言葉に関係するもの。
精神的な刺激にともなってでることから「精神性発汗」と呼ばれる。
汗が出る部位は手のひら、足のうら、ワキの下など限られた部位で、短時間に発汗するのが特徴。
香辛料が効いた辛い物を食べたときに鼻や額などにかく汗。
味覚の刺激によって反射的に起こるもので、食べ終わると汗もひく。