缶フードを食べていると、飲水量が減る。
水分は、どんな動物にとっても、必要不可欠な栄養素です。猫はその昔、砂漠に住んでいた動物なので、もともと水分を失いにくいように身体ができているようですが、通常、哺乳動物には、1日に体重1kg当り約40~60mlの水分が必要です。これは、体表からの蒸発、呼吸や排泄によって失われる水分量に相当します。健康な動物は、新鮮な水を十分に与えて置けば、必要とする量は自分で飲みます。
ご相談には、水を飲まないとありましたが、これは缶詰のキャットフードを食べているためだと思われます。キャットフードは、水分の含有量によりドライ、半生、缶の3タイプに分類されます。それぞれの水分含有量は、ドライが6~10%、半生が23~40%、缶が68~78%です。
缶は水分量が非常に多く、食事から摂取する水分量が増えると、水を飲む量は減ります。缶フードを食べている猫は、フードから水分を摂取できますし、脂肪が燃焼するときに生じる水分も、身体に残るので、あまり水を飲んでいなくても心配ないと思います。
ただ、ひとつ気になるのが、牛乳をガブガブと飲んでいることです。牛乳は下痢の原因になりやすく、飲みすぎると肥満の原因ともなります。牛乳は、水分ではなく、食べ物です。それに、肉食動物である猫には、人間と違って、牛乳を与える必要はありませんので、水がわりに与えるのはおやめください。
ドライフードを少しずつ混ぜてみて。
いずれのフードでも、エネルギーと栄養素がバランスよく含まれているものであれば、猫が好むものをあげていて問題ないと思います。ただ、獣医師には、健康面での安全性から、アメリカやイギリスの大手メーカーのフードをすすめる方も多いようではあります。
香りも、食物の嗜好性には、主要な要素の一つです。とくに猫では、嗅覚を働かせてフードを選択するので、上部呼吸器疾患などで、鼻がきかなくなると、食事をとれなくなってしまうこともあります。フードの温度も重要な要素で、体温を超えない程度に温めてあげると、香りが発散され、食欲を刺激する効果があります。ドライフードは、あまり香りが強くないので、どちらかというと、缶の方が嗜好性が高いようです。
多くの動物は、ふだん食べ慣れている食べ物を好みます。バラエティに富んだフードに慣れている場合は、食事を変更するのは簡単ですが、単一の食品や決まった風味のものをずっと与えていると、そのフードに固執するようになってしまいます。また、離乳期から成猫になるまでの間に食べた食事が、その後の食生活を左右するようです。
ご相談の場合は、5カ月ということですので、すでに好みができつつあると思います。これからの食事の変更はむずかしいかもしれません。どうしてもということであれば、いきなり全部切り替えてしまうのではなく、好きな缶のフードに、ドライフードを少しずつ混ぜてみて、徐々にその割合を増やしていくことをおすすめします。