「猫ちゃんにとっての快適なトイレってなんだろう?猫ちゃんは今の『ニャンとも』に満足しているのだろうか?」
『ニャンとも清潔トイレ』は発売当初から、家族の一員である大切な猫のために、「清潔」「健康」「快適」をつねに意識しながら、猫と飼い主さんのためにできることを模索し、改良を続けてきました。
研究開発チームもマーケティングチームも意見を出し合って、猫にとってよりよい『ニャンとも』になるよう議論を重ねます。
ブリーダーさんや一般の猫の飼い主さんに協力していただき、猫たちが『ニャンとも』を使う様子をビデオに撮影して、排泄前、排泄中、排泄後の行動を観察する調査も行っています。
たくさんの猫たちを観察していると、真ん中でするコもいれば端っこでするコもいますし、トイレの入り方やチップのかけ方などにもいろいろなパターンがあり、トイレの使い方にさまざまな個性があることがわかりました。
端っこにおしっこが引っかかれば、掃除がしにくくなったりシートからもれやすくなったりする可能性もあります。
それにどのように対応できるかなど、猫の目線に立ってしっかり観察することで生まれた「気づき」を、『ニャンとも』の改良に活かしています。
猫の行動観察の結果も反映しながら、細部にまでこだわって改良しています。
今は猫も長寿高齢化の時代。20歳まで生きる猫もたくさんいます。確かに、お客様相談室にも『ニャンとも』を長年愛用してくださっている飼い主さんから、「高齢で足腰が弱くなり、トイレの段差の出入りがうまくできなくなってきたので、入口の低いトイレを作ってもらえないでしょうか」といった切実な声をいただくことも増えてきました。
「それならば、子猫からシニア猫まで、より多くの猫ちゃんに快適に使ってもらえるトイレを作ろう!」
新たな目標ができました。
「猫ちゃんに一生快適に寄り添って使ってもらえるトイレにするにはどうしたらよいか」
いつしか「猫ちゃん想い」というスローガンが生まれ、ここから『ニャンとも』のさらなる進化に向けて動きはじめました。
「猫ちゃんにとって本当によいものとはどうあるべきか。ゼロから開発した当時の原点に戻って突き詰めて改良にあたりました」(ペットケアグループ開発マネージャー/柴)
猫の目線に立って「猫ちゃん想い」のモノづくりをより確実なものとするために、猫の専門家の意見もぜひ取り入れたい。そこで、猫専門動物病院Tokyo Cat Specialistsの山本宗伸先生に相談し、開発の設計段階からアドバイスをいただきました。
ペットケアグループのメンバーが中心となって山本先生にご相談。猫により快適に使ってもらうための的確なアドバイスをたくさんいただきました。
「猫ちゃんが自然に出入りしやすくなるように、もう少し入口を下げることができればいいですね」
『ニャンとも』を使っている猫たちの動画を見た山本先生のこの言葉をヒントに、「猫ちゃん想い」のトレーにするべく、早速、設計の改良に取りかかりました。
山本先生のアドバイスをもとに、花王栃木研究所のペットケア研究室の伴武プロジェクトリーダーを中心に、入口を低くする改良に取り組み始めましたが、これが一筋縄ではいきませんでした。
高さを下げすぎれば砂が飛び散りやすくなったり、スノコ式トレーにおしっこがひっかかりやすくなったりしますし、『ニャンとも』の特徴でもある引き出しの開閉にも不具合が生じてしまうのです。さらには猫が入口に足をかけた時にガタガタしないような安定感や強度も必要になってきます。
「単純に高さを下げるだけではうまくいかない」
間口を広くしたり、引き出しの形状を工夫したりしながら、スノコから引き出しトレーまでの深さを0.数ミリ単位で何度も調整しました。
作った試作品の数は10通り以上。猫にとって最良の使い心地を目指して細部にまでこだわる一方で、発売予定日はどんどん迫ってきます。時間とのせめぎ合いの中でギリギリまで粘り、最終的に改良前よりオープンタイプで10ミリ、ドームタイプで15ミリ低くすることで落ち着きました。
0.数ミリ単位の調整をくり返す日々。解決策を見つけるまで大変な作業でしたが、「猫ちゃんに快適に使ってもらいたい」という想いが研究開発チームを突き動かしていました。
こうして、ついに「猫ちゃん想い設計」の新生『ニャンとも清潔トイレ』の試作品が完成しました。
早速、試作品を猫たちに試してもらい、動画を撮影して観察すると、予想以上の動きの変化が見られました。従来品の『ニャンとも』では「よっこいしょ」と入口を乗り越える感じでしたが、改良された新設計では、歩く動作の延長のようにスムーズな動きで、スッと前足がトイレの中に入っていきます。その様子を見て、「よしっ!」という確かな手応えを感じました。
<旧品との比較検証>
施策改良品を使い、猫の体勢などの違いを検証
改良前の『ニャンとも』と比べると、改良品のほうは猫の背中が平らで、無理なくすんなりと前足が入っていることがわかります。
試作品をもって山本先生の元にも伺いました。先生がどんな反応をするのか、内心ドキドキしながらのお披露目でした。
「10ミリは人にとっては小さな変化かもしれませんが、猫ちゃんにとっては大きな違いですよ。これで小型の猫も高齢猫も出入りがスムーズになります。これはいいですね」
山本先生からお墨付きをいただけたことに胸をなで下ろし、それまでの苦労も一気に吹き飛びました。
「これはすごくいいですよ!」。研究開発チームの惜しみない努力によって完成した試作品を、マーケティングチームもすみずみ確認します。
2019年3月、猫の使いやすさや健康に配慮した「猫ちゃん想い設計」でリニューアルした『ニャンとも清潔トイレ』がついに発売されました。
新生『ニャンとも』の開発・改良に携わったメンバー一同、猫に快適に使ってもらえる製品を作れたことに大きな喜びを感じました。「猫ちゃん想い」というキーワードはメンバーたちのスローガンでもあり、「モノづくり」の宣言にもなっています。会議の場でも、「それって本当に猫ちゃんのためになっている?猫ちゃん想いだったらもっとこうではないか?」という意見が自然と出るようになりました。
「猫ちゃん想い」は『ニャンとも』に関わるメンバーが自分たちに向けたメッセージでもあるのです。 (ブランドマネージャー/岩野)
「1人でも多くの飼い主さんと1匹でも多くの猫ちゃんに幸せな時間を過ごしていただくことを実現するために、我々にできることをお手伝いしたい」
振り返れば、このコンセプトは2001年に初めて『ニャンとも清潔トイレ』を世に送り出した時から、何一つ変わっていません。「猫ちゃん想い」をつねに心に刻み、猫の健康を考え、猫との暮らしをよりよくするための『ニャンとも』のモノづくりや取り組みは、歩みを止めることなく、この先もずっと前に進み続けていくのです。
快適な「猫トイレ」を作ることはもちろん、飼い主さんと猫ちゃんのためにできることをこれからも発信し続けていきます。