猫と暮らすお役立ち情報

猫の生活事典 監修山本宗伸先生(猫専門獣医師)TokyoCatSpecialists院長

猫の生活事典 監修山本宗伸先生(猫専門獣医師)TokyoCatSpecialists院長

猫の生活事典 監修山本宗伸先生(猫専門獣医師)TokyoCatSpecialists院長

猫のマーキングと不適切な排泄

排泄の問題には「不適切な排泄」と「スプレー行動」がある

 「問題行動」とは、猫と暮らしていく中で、飼い主が「困った」と感じる行動です。猫にとっては当たり前の行動なのに、人にとっては迷惑な行動もありますし、猫にとっても明らかに異常な行動もあります。

猫の問題行動の筆頭にあげられるのは、「排泄」に関する行動です。突然トイレでうまく排泄できなくなったり、所かまわず強烈なニオイのするオシッコをひっかけたりする問題がよく起こります。猫はトイレのしつけに苦労することがなかっただけに、突然のトイレ以外での排泄に大きなとまどいを覚える人も多いようです。


猫の排泄に関する問題は、「不適切な排泄」と「スプレー行動」(マーキング)の2つに分けられます。どちらもトイレ以外にオシッコなどをする行動ですが、その理由や目的はまったく異なります。

 

「不適切な排泄」と「スプレー行動」の違い

不適切な排泄とスプレー行動の違い

「不適切な排泄」には必ず原因がある

「不適切な排泄」とは、トイレ以外の場所にオシッコやウンチをしてしまう行動です。野生の猫は、もともとトイレの場所を1カ所に決めておらず、なわばりのあちこちで排泄をします。けれども、排泄物を埋めやすい砂や枯れ葉の上などにする習性があるので、室内にその条件を満たす猫トイレを用意すれば、たいていはそこでするようになり、失敗することもあまりないものです。猫がトイレを突然使わなくなるには、なんらかの原因が必ずあります。その原因をきちんと突き止め、対処する必要があります。

1.トイレへの不満

猫はきれい好きでニオイにも敏感なので、汚れているトイレには行きたがりません。また、トイレにこだわりをもっている猫も多く、猫砂やトイレ容器、トイレの場所を変えただけでも、しなくなることがあります。まずは何か変更点がないかを考えてください。トイレ用品や場所を変える場合はいきなりではなく、徐々に切り替えていきます。また、多頭飼育の場合はトイレの数が足りていないということも考えられます。2頭以上の猫がいる場合、トイレの数は「猫の数+1」が理想的です。

2.不安感

猫はジャマ者や敵のいない、安心できる場所で排泄します。トイレが落ち着けない場所にある、他のペットがジャマをするなど、猫がゆっくり落ち着いて用を足せる状態になければ、そのトイレは使いたくないのです。また、トイレに入っている時に大きな音がして驚いたなど嫌な思いをすると、「トイレ=嫌な場所」と関連づけて考え、トイレに行かなくなることも。飼い主の長期不在で留守番をしたときなども、不安やストレスからトイレでできなくなることもあります。不安な状態を取り除き、安心できるトイレを猫に提供することが大切です。

3.病気

病気が原因でトイレに行けないということもあります。尿路疾患、膀胱炎、尿石症などの泌尿器系の病気や、下痢、便秘、腸炎などの消化器系のもの、多尿や頻尿を伴う病気などが疑われます。排泄したときに痛みを伴えば、「トイレ=痛くなる場所」と考えてトイレを避けたり、トイレに間に合わなくて出てしまったりということもあります。「不満」や「不安感」に思い当たる理由がなければ病気の可能性もあるので、早めに動物病院に相談してください。

「スプレー行動」で自分をアピール

「スプレー行動」は排泄行為ではなく、なわばりを示すためのニオイつけの行動(マーキング)です。立ったまま少量のオシッコを壁やカーテンなどにひっかけ、自分の存在をアピールします。なわばり意識の強い、去勢をしていないオスによく見られる行動で、そのニオイはとても強烈です。去勢も有効な解決策になりますが、すでにスプレーが習慣化している場合や、多頭飼育の場合には、去勢だけでは治まらないこともあります。メスでも時々見られます。
 スプレー行動にもいくつかの理由があります。

1.なわばりへの不安

引っ越しや部屋の模様替え、新しい猫や家族が増えたなど、急激な環境の変化によって、スプレーが起こることがあります。自分のなわばりが何者かによって侵されたと考え、スプレーで自分のニオイをつけて、なわばりを守ろうとしているのです。環境を元に戻すわけにいかない場合は、環境の変化に慣れるまで、猫が安心できるようにいつも以上に気配りをしましょう。

2.情緒的な不安

外猫を室内飼育に切り替えたときや、飼い主が長期不在になったとき、普段から飼い主にもっとかまってもらいたいと思っているなど、情緒的に不安を感じたときにも、スプレーによるニオイつけで気持ちを落ち着けようとします。

3.他の猫から刺激

発情期の猫が側にいたり、窓から外にいるよその猫が見えたりしたときに、自分をアピールしたり、なわばりを守ったりするために、スプレーが激しくなります。

スプレー行動を抑えるには、原因となっている不安状況を取り除くことが解決策です。また、猫が安心できる特定のフェロモン製剤を使用して、気持ちを落ち着かせる方法もありますので、動物病院で相談してください。
 スプレーも不適切な排泄も繰り返さないことが重要です。汚れてしまったところは、素早く掃除して、ニオイや跡を残さないようにしましょう。また、猫は排泄する場所では食事をしない習性があるので、排泄やスプレーをしてしまう場所で食事をさせるというのも一つの方法です。そこが食事の場所となれば、排泄しなくなることが期待できます。

監修:山本宗伸先生(猫専門獣医師)

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