
2025.12.17 New
#授乳 #赤ちゃんのお世話 #発育・発達
ママも赤ちゃんも授乳に不慣れな低月齢の時期には、「母乳をうまく飲んでくれない」「乳首が切れた・痛い」といったトラブルがよく起こります。このような場合、乳首のくわえさせ方、飲ませるときの姿勢に問題があることがほとんどです。悩みを持つママはもちろん、これから授乳を始めるママにも、ぜひ知っておいてほしい授乳姿勢のポイントを紹介します。
監修した専門医

小児科医師 (医学博士)
三井 俊賢 先生
医療法人社団育心会理事長
プロフィールを読む
小児科専門医、小児科指導医。慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程を修了後、慶應義塾大学病院に勤務し、同小学校・中学校で校医としても子どもたちの健康に携わってきた。医療法人社団育心会を立ち上げ「すべては子どもの笑顔のために」という想いで、小児科の枠を超え、子どもを取り巻くさまざまな面から包括的に支える診療に日々励んでいる。現在、3人の子育てに奮闘するパパとして、親御さんの気持ちに寄り添いながら、子どもたちやご家族に安心と笑顔を届ける医療を目指している。

授乳するときの抱っこの仕方(授乳姿勢)には、いろいろなタイプがあります。ただし、どのタイプの姿勢でも赤ちゃんが飲みやすくなるポイントには共通点があります。
授乳のときにもっとも大切なのは、赤ちゃんの口を大きく開けさせ、乳輪まで隠れるように深くくわえさせることです。飲ませていて乳首が痛いときは、ほとんどが深くくわえさせていないことが原因です。
そのためには、赤ちゃんの口が乳首の位置にくるよう高さを調整します。さらに、ママが乳房を持ち上げて、赤ちゃんの口と乳首の位置がしっかり合うよう調整することが大切です。
赤ちゃんに乳首を正面からまっすぐくわえさせることも、母乳を吸いやすくするコツです。また、まっすぐくわえさせないと、母乳がつまってしこりができることがあります。正面からまっすぐくわえさせるには、赤ちゃんとママの体が密着していることが大切です。
赤ちゃんの体がねじれている、曲がっている状態だとリラックスして飲めません。頭からおしりまで一直線になっているかどうか確認しましょう。
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以下で紹介する抱き方・授乳姿勢は、添い乳以外はどの抱き方も新生児からできます。まずはいろいろ試してみて、ママと赤ちゃんがリラックスして授乳できる方法を選ぶとよいでしょう。
横抱きは、最も基本的な抱き方で、赤ちゃんの顔を見ながら授乳できるのが利点です。授乳する側に赤ちゃんの頭が来るように横抱きにし、授乳する側のママの肘で赤ちゃんの頭を支え、腕で体を支えます(右乳首の場合は右腕)。
赤ちゃんをママの体にしっかり引き寄せ、乳首と赤ちゃんの口の高さを合わせて乳首をくわえさせて飲ませます。
高さが合わないときは、赤ちゃんの下にクッションなどを置いて調整しましょう。

フットボール抱きは、頭の位置を調整しやすいのでいろいろな方向から飲ませられ、乳房にしこりができにくい抱き方です。
授乳する側のママの脇の下に赤ちゃんを仰向けに寝かせて、ママは脇で赤ちゃんを挟むように(フットボールを脇に抱えるように)抱き寄せます。このとき、赤ちゃんのおなかがママの体側を向くようにしましょう。
授乳する側の手で赤ちゃんの頭を支え、乳首の位置に赤ちゃんの口がくるように、クッションなどで高さを調整して飲ませます。

縦抱きは、乳首を深くくわえさせやすい抱き方です。赤ちゃんとママが向き合い、ママの片方の太ももの上に赤ちゃんをまたがらせて座る姿勢を取ります。乳首をくわえさせたら、授乳する側の手で赤ちゃんの後頭部を支え、反対側のママの手で赤ちゃんの体を引き寄せ、おしりを支えます。
乳首と赤ちゃんの口の高さを調整するときは、赤ちゃんの下にクッションなどを置いて調整しましょう。

クロス抱き(交差抱き)は、いわば横抱きの変形で、赤ちゃんの頭をしっかり支えられるので、首すわり前の赤ちゃんに向いています。乳首の位置を調整しやすいのもメリットです。
赤ちゃんの頭が授乳側にくるように横抱きにします。このとき、授乳側と反対側のママの手や腕で赤ちゃんの頭から体を支えるのがクロス抱きの特徴です。
授乳側の手で乳房を持ち、乳首の位置を赤ちゃんにあわせてくわえさせます。高さが合わないときは、赤ちゃんの下にクッションなどを置いて調整しましょう。

添い乳は、ママが赤ちゃんの横に寝そべった状態で授乳する方法です。夜中の授乳時など、起き上がらずに授乳できるため、何よりもママがラクなのが利点です。
しかし、ママの体が赤ちゃんに覆いかぶさりやすい体勢なので、寝ぼけた状態で授乳すると、赤ちゃんを窒息させてしまう危険があります。また、添い乳で寝かしつけていると、おっぱいに依存しやすく、おっぱいがないと赤ちゃんが寝られなくなるといったデメリットもあります。
近年、添い乳による窒息事故が起きていることから、添い乳は推奨されていません。少なくとも、赤ちゃんが自分で体勢を変えられるようになるまでは、避けたほうがよいでしょう。

毎日授乳をしていると、いつもの授乳姿勢がどうもしっくりこないと感じることもあるでしょう。そんなときは、以下のポイントをチェックしてみましょう。
ママの体に力が入っていないか
授乳に慣れないうちは、ママの体に力が入りやすいものです。力が入ると疲れてしまい、授乳姿勢が崩れやすくなります。
ママの体が前かがみにならないようにし、できるだけ力を抜きましょう。またクッションやタオルなどを使って高さを調整し、背中や腕が疲れないようにすることも大切です。リラックスできるように、背もたれやひじ掛けのあるソファを利用するのもおすすめです。
乳首と赤ちゃんの口の位置を再確認
赤ちゃんの口の位置が、乳首と合っていないと飲ませにくくなってしまうので確認しましょう。また乳首が陥没・扁平乳頭の場合は、乳房を手で上下につぶすように持つと、赤ちゃんがくわえやすくなります。
いろいろな授乳姿勢を試してみる
授乳姿勢は、人によってフィットしやすいものが違います。どうもうまくいかないと感じたら、いろいろ試してみましょう。試しているうちにフィットするものに出会えるはず。または、母乳外来で相談してみると、自分では気づかない修正点が見つかるかもしれません。
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赤ちゃんの体が大きくなると重くなってくる分、授乳姿勢を変えたほうがラクになることもあります。また、グッズを利用するなどで工夫するのもよいでしょう。
縦抱きは、ママの太ももに赤ちゃんを座らせる姿勢のため、おすわりができる子以降では比較的授乳しやすいといわれます。ただし、赤ちゃんの背も伸びてくるので、ママはあぐら姿勢になり、その中に赤ちゃんを座らせるなどして口と乳首の位置の調整をするようにしましょう。
横抱きの場合、腕だけで赤ちゃんの体を支えていると、重くなってきたときに腱鞘炎になる心配もあります。ソファのひじ掛けを使ったり、腕の下に適度にかたさのあるクッションを置いて高さを合わせたりして、重みを分散しましょう。
ママの乳房の形・大きさによっても、フィットしやすい授乳姿勢があります。形には個人差があるため、すべての人に当てはまるとは限りませんが、授乳姿勢がしっくりこない場合は、一度試してみるとよいでしょう。
乳房が比較的大きい人はフットボール抱き向きです。とくに下垂している人はフットボール抱きだと乳首を深くくわえさせやすく、ママも比較的楽に授乳できます。
乳房が小さい人は縦抱き向きです。とくに乳首の小さい人は、縦抱きが授乳しやすいでしょう。
乳房が普通サイズの人は、比較的どの授乳姿勢でもフィットしやすいですが、下垂気味の人はフットボール抱き、乳首が小さい人は縦抱きが授乳しやすい傾向があります。
初めての授乳は赤ちゃんにもママにとっても難しいもの。最初はうまくいかないのが当たり前です。それでも頑張って続けていけば、必ず、互いに少しずつ上手になっていきます。母乳で頑張りたいと思う気持ちがあれば、ぜひ諦めずに続けてみましょう。
また、自分だけでどうにかしようと思わないことも大切です。困ったことがあれば、早めに母乳外来などで相談してみましょう。

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