下の項目で、当てはまるところをチェックしてください。「正常」に当てはまらない場合は、右の症状の可能性があります。
※注)
月経はとても個人差が大きいので、「正常」はあくまでも健康な月経のめやすです。
「正常」から少しずれたからといってあまり神経質になる必要はありません。
とくに初経がはじまってから数年は、月経が安定していないのがふつうです。
月経の周期*
□月経周期が25~38日 →正常
□月経周期が39日以上 →稀発月経
□月経周期が24日以内 →頻発月経
□周期が一定しない →不整周期月経
*「月経周期」とは、月経が始まった日から次の月経が始まる前日までの日数
月経の期間
□ 月経が3~7日間続く →正常
□ 月経が8日以上続く →過長月経
□ 月経が2日以内で終わる →過短月経
経血の量
□ 量が多いときでも、2時間に1度程度ナプキンを替えれば大丈夫 →正常
□ 量が多く、ナプキンが1時間ももたない →過多月経
□ 量が少なく、ナプキンが不要なくらい →過少月経
無月経
□ 16歳になっても月経が始まらない →原発性無月経
□ 月経が止まって3カ月以上ない →続発性無月経
その他
□ 月経痛がひどく、日常生活に支障がある →月経困難症
□ 月経前にイライラや腹痛などの不快症状があり、月経が始まると症状は消える →月経前症候群(PMS/PMDD)
□ 月経以外のときに出血がある →不正出血
月経周期が39日以上の場合、医学的には「稀発(きはつ)月経」と呼ばれます。ただし、周期が90日を超えた場合は「無月経」になります。
稀発月経はホルモン分泌の異常が原因で、排卵がある場合とない場合の2つのタイプがあります。
排卵があれば妊娠も可能なので、たとえ月経周期が長くてもとくに心配はありません。問題なのは無排卵性の稀発月経で、放置しておくと無月経になるおそれもあります。また、妊娠を望むのであれば、できるだけ早く治療を受け、月経を整えることが必要です。
稀発月経の人は、まず基礎体温を測ってみましょう。基礎体温に高温期と低温期があれば、排卵がある証拠。もし排卵がない場合は、基礎体温表を持って婦人科を受診してください。
月経周期が短く、24日以内の場合は「頻発(ひんぱつ)月経」といいます。稀発月経と同じく、頻発月経にも排卵がある場合とない場合があります。
排卵性の頻発月経の場合は、まず黄体機能不全が考えられます。これは、黄体ホルモンの分泌が少ないために黄体期が短くなって、その結果、月経周期も短くなるというケースです。
無排卵性の頻発月経は、出血量が少なく、月経期間が10~14日と長いのが特徴。性機能が成熟していない思春期にはよく見られます。
いずれの場合も、あまり頻繁に月経が起こると貧血になるおそれがあります。また、不妊の原因にもなるので、基礎体温表を持って、婦人科を受診しましょう。
月経が正常な周期の25~38日でないうえに、稀発月経と頻発月経が交互にきたり、バラバラにきたりするケース。思春期や更年期に多く、産後や授乳中にもよく見られます。
月経の期間が長く、8日以上続く場合、医学的には「過長月経」と定義されます。ただ、月経の期間は個人差が大きいので、8日あったからといって必ずしも異常とは限りません。月経期間全体の出血量がそれほど多くなければ、とくに問題がないケースもあります。
過長月経で多く見られるのが、ホルモンの分泌異常が原因の無排卵性月経です。月経不順で、しかも月経期間が長い場合はその可能性が高くなります。
そのほか、子宮筋腫や子宮内膜ポリープなどの病気が原因で、出血が長く続く場合もあります。
過長月経の人は貧血にもなりやすいので、一度婦人科で検査を受けて、病気などがないか調べてもらいましょう。
月経期間が短く、2日以内で終わる場合は「過短月経」といわれます。同時に、出血量が少ない過少月経であるケースが多く見られます。
原因としてまずあげられるのが、子宮の異常です。子宮の発育不全や子宮内膜の癒着などが考えられます。
また、ホルモンの分泌異常によって起こる無排卵性月経や黄体機能不全の場合もあります。この場合は、基礎体温を測ってみて、高温期がなければ無排卵性月経、高温期が9日以内なら黄体機能不全である可能性が高くなります。
月経の出血量が異常に多くて、ナプキンが1時間ともたないような場合、またレバーのような血のかたまりが多く見られる場合は「過多月経」と考えられます。過多月経が続くと貧血を起こしやすいので、注意が必要です。
原因となる病気としては、子宮筋腫や子宮内膜症などがあげられます。この場合は、出血量が少しずつ増えたり、月経痛や腰痛などをともなうケースが多く見られます。放置すると、将来の不妊につながる心配もありますので、一度、婦人科を受診して、こうした病気がないか、チェックを受けましょう。
そのほか、無排卵性月経の場合も出血量が増加することがあります。月経周期が不順で、期間も長い場合は無排卵性月経の疑いが強いので、基礎体温を測って排卵の有無を確認してください。
月経の出血量が異常に少なく、ナプキンがほとんど必要ないような場合は「過少月経」と呼ばれます。同時に、月経期間が1~2日で終わる過短月経であるケースが多く見られます。
原因としては、子宮の発育不全、子宮内膜の癒着など、子宮に異常のあることが考えられます。また、ホルモンの分泌異常による無排卵性月経や黄体機能不全の場合も、出血量が少なくなることがあります。基礎体温を測ってみて、高温期がなければ無排卵性月経、高温期が9日以内なら黄体機能不全である可能性が高くなります。
医学的には満18歳になっても初経がこない場合を「原発性無月経」と定義しています。ただ、初経の平均年齢は12歳前後で、ほとんどの人が15歳までには初経を迎えています。16歳を過ぎても初経がない場合は、婦人科を受診したほうがいいでしょう。
原因としては、性器に異常がある場合や染色体の異常などが考えられます。まれに、処女膜が閉鎖していたり、腟がないために経血が出てこられない場合がありますが、この場合は手術によって治療することもあります。また、最近増えているのが初経前のダイエットや激しい運動が原因の体重減少性無月経です。
月経があったのに止まってしまい、3カ月以上無月経が続いている場合が「続発性無月経」です。ただ、初経から2~3年間は月経が不規則なのがふつうなので、その場合は含みません。
続発性無月経で最も多いのは、ストレスが原因の場合です。また、ダイエットなどによるカロリー不足、過度な運動なども無月経を引き起こします。そのほか、女性ホルモンをコントロールする脳下垂体の障害、卵巣や子宮の異常、甲状腺や内臓などの全身性の病気が原因になることもあります。
無月経は長く放置しておくと、治療に時間がかかります。からだが無月経の状態に慣れてしまい、ホルモンに対してもすぐに反応しなくなってしまうのです。最悪の場合、月経が戻らず、妊娠ができない状態になってしまう心配もあります。月経が3カ月以上来ない場合は、放置せず、急いで婦人科を受診してください。
月経中には、多くの人が下腹部痛や腰痛などに悩まされます。とくに出産経験のない人は、月経血の通り道である子宮頸管が狭いので、痛みを感じる場合が多いのです。
痛みの程度は個人差が大きく、激しい痛みで、仕事や家事など日常生活にさしつかえるような場合は「月経困難症」と呼ばれます。
月経困難症には、病気が原因の「器質性月経困難症」と、とくにからだに異常のない「機能性月経困難症」の2つがあります。
・器質性月経困難症
初経から5年以上経った後に発症し、30歳以上に多い症状です。子宮内膜症や子宮筋腫など、子宮や卵巣の異常が原因で起こるものです。鎮痛剤をのんでもがなかなか効かない場合も多く、原因になる病気を治療することが必要になります。以下の項目に当てはまる人は、このタイプの月経痛である可能性が高いので、婦人科を受診するようにしましょう。
◎月経痛が以前と比べて、だんだん激しくなってきた
◎月経のある期間はずっと痛みが続く
◎ひどくなると、月経中以外の期間にも症状があらわれる
◎1回の月経で3日以上鎮痛剤を飲むことが多い
・機能性月経困難症
初経から3年以内に発症し、15~25歳に多い症状です。子宮や卵巣には異常がないのに、激しい月経痛があるケースです。このタイプの場合はいろいろな原因が考えられます。
まず、子宮を収縮させるプロスタグランディンという物質が過剰に分泌されるために、子宮収縮が強くなる場合があります。この場合は、鎮痛剤で痛みがおさまるのがふつうです。痛みを我慢していると、そのストレスでプロスタグランディンの分泌がかえって増加するので、痛みがひどくなる前に鎮痛剤を飲むようにしましょう。
そのほかの原因としては、精神的な要素も大きいといわれています。月経に対して不安や嫌悪感をもっている人、神経質なタイプの人は月経痛を強く感じがちです。この場合は、集中できる趣味や軽い運動などで、気分転換を心がけるようにしましょう。
月経が始まる10~7日前からイライラや頭痛、むくみなどの不快症状に悩まされるのが「月経前症候群(PMS/PMDD)」です。PMDDは、とくに抑うつなどの精神症状をともなうものを指します。これらの症状は月経が始まるとともにおさまります。原因としては、この時期に分泌される黄体ホルモンが原因と見られています。
主な症状には次のようなものがあります。
・精神的な症状
イライラする、気分が落ち込む、興奮しやすい、怒りっぽい、集中力がない、頭がボーッとするなど
・身体的な症状
乳房が張る、乳首が痛い、顔や手足がむくむ、体重が増える、頭痛、下腹部痛、腰痛、のぼせ、冷え、便秘、吹き出物など
月経前症候群に対処するには、まず自分にどんな症状があらわれやすいかを客観的に見てみることが大切。例えば自分がイライラして怒りっぽくなることを自覚していれば、自分をコントロールして周囲との衝突を避けたりすることも可能です。また、むくみが出る人は塩分を控えるようにするなど、自分の症状に合わせて対処するようにしましょう。
ただ、症状が強く、日常生活に支障をきたすような場合は、我慢をしないで婦人科を受診してみましょう。
LEP剤(エストロゲンとプロゲステロンを組み合わせたホルモン剤)や漢方薬、精神安定剤、鎮痛剤、利尿剤など、症状に応じた薬を処方してもらえるので、楽になるはずです。
月経以外で、性器から出血した場合は「不正出血」と呼ばれます。心配のない出血から、病気が原因の出血まで、いろいろなケースがあります。
・機能性出血
ホルモンの分泌異常が原因で起こる出血で、不正出血で最も多いのがこのタイプです。思春期や更年期などに多く見られます。
・排卵期出血
月経と月経の中間あたり、排卵の頃に出血するもので、「中間期出血」とも呼ばれます。出血量は少なく、1~3日でおさまります。生理的なものなので心配はありませんが、ほかの原因で起こる出血と混同しないことが重要です。基礎体温を測って、排卵の時期を確認しておきましょう。
・病気が原因の出血
原因となる病気は、子宮腟部びらん、子宮頸管ポリープ、子宮頸がん、子宮体がん、子宮筋腫、子宮内膜症など。
下着に血がつく程度の場合もあれば、ごく少量の出血が断続的に見られる場合など、出血のパターンはいろいろ。とくにがんの場合は早期発見が大切なので、たとえ少しの出血でも婦人科で一度検査してもらいましょう。
・その他の出血
セックスのあとで出血することもあります。これは、セックスの刺激で腟の粘膜などに傷がついて起こるものや、ほかにも子宮腟部びらんや子宮頸管ポリープ、子宮頸がんなどの病気があると、出血しやすくなります。
そのほか、妊娠にともなって出血が起こることもあります。「着床時出血」といって、受精卵が子宮内膜に着床するときに起こるものは心配ありません。一方、妊娠中に腹痛をともなう出血があった場合は流産や子宮外妊娠のおそれがあるので、すぐ病院へ連絡してください。
監修/東京大学病院 秋野なな先生