小学校の高学年くらいになると、みんなのからだは、そろそろおとなになるしたくをはじめます。
わきの下や性器に毛(性毛)がはえてくるのは、そのしるし。このほかに、女の子と男の子のからだには、それぞれちがう変化があらわれます。この変化は18歳ぐらいまでつづき、みんなのからだは、だんだんおとなになっていきます。
この変化の時期を「思春期」といいます。思春期は、からだだけでなく、心もおとなになっていくときです。
女の子のからだに必要なのが「女性ホルモン」、男の子のからだに必要なのが「男性ホルモン」というものです。
これらのホルモンは、みんなが小さいときは、まだつくられていませんでした。でも、思春期になると、脳から「ホルモンをつくりなさい」という命令が出るようになります。
ホルモンは、血液といっしょにからだ中にはこばれ、みんなのからだをおとなへと成長させます。
女性ホルモンのはたらきによって、女の子のからだは、見た目がずいぶん変わってきます。でも、見た目だけではなく、からだの中でも大きな変化がはじまっているのです。
わたしたちのからだには、心臓や肺、胃など、生きていくために必要な器官がたくさんありますね。女の子も男の子も、このほかに、赤ちゃんをつくるための「性器」という大切な器官を持っています。
性器は、みんなが小さいときには、まだはたらかないで休んでいました。それが、ホルモンによって目をさまして活動をはじめ、女の子はやがて「初経」をむかえます。
女の子の性器は、外から見えるところ(外性器)と、からだの中にかくれているところ(内性器)に分かれています。
内性器には、赤ちゃんのもとになる卵子を育てる「卵巣」、卵子を子宮に送る「卵管」、赤ちゃんを育てる部屋「子宮」、そして子宮からからだの外へつづく「腟」があります。
子宮の左右にあって、親指ぐらいの大きさ。赤ちゃんのもとになる「卵子」を育てるところ。
子宮から左右にのびた10cmほどのパイプ。
おへその下あたりにある西洋ナシの形をした器官。 妊娠すると、赤ちゃんはここで大きくなります。
子宮の出口から、からだの外までつづいている器官。
男の子のからだは、小学校の高学年くらいになると、男性ホルモンのはたらきによって、男性特有の変化がはじまります。
がっちりとしたからだつきになってきて、声変わりがはじまったり、ひげがはえてきたりと、女の子とはちがう変化がおこるのです。
また、性器が発達してきて、やがて「精通」をむかえます。精通とは、初めての「射精」のことで、ペニスから、精液がとび出すことをさします。
精通は、早い人で10歳、おそい人だと18歳くらいにむかえます。はっきりと気がつかないうちにはじまる人も多いようです。
男の子の性器も、外から見えるところ(外性器)と、からだの中にかくれているところ(内性器)に分かれています。
男の子の性器は、「ペニス」と「陰のう」以外のすべてが内性器です。赤ちゃんのもとになる精子をつくる「精巣」、精子のとおり道「精管」、精液をつくる「前立腺」などをまとめて、内性器とよんでいます。
おちんちんとよんでいるところ。「陰茎」ともいいます。
精巣が入っている袋のようなもの。
精巣でつくられた精子のとおり道。
精子は、ここの分泌液とまざって、「精液」となります。
ペニスの根元にある球形のもので、精子をつくるところ。「睾丸」ともいいます。精巣がからだの外にぶらさがっているのは、精子が熱に弱いので、体温より低く保つためです。
おしっこの出るところ。精液がからだの外へ出るときのとおり道にもなります。
女の子の初経と、男の子の精通。みんな、「いつ経験するのかな……」と、ドキドキしているところでしょうか? なかには、「もうはじまってるよ!」という人も、いるかもしれませんね。
女の子は、12歳で初経をむかえる人がいちばん多くて、次が13歳、11歳となっています。でも、早い人は9~10歳、おそい人は16歳くらいと、人によってかなりちがうものです。
精通をむかえる男の子は、12歳ごろからふえはじめ、13歳でむかえる人が、いちばん多くなっています。ただし、早い人は10~11歳、おそい人は18歳くらいと、こちらも人によってずいぶん差があります。また、男の子の場合、「いつ精通をむかえたか、はっきりとはわからない」という人も多いようです。
初経や精通だけでなく、いろいろなからだの変化は、とても個人差が大きいものです。人とくらべて、あせったり、心配したりしないでください。
そしてもちろん、「おとなになる」ということは、初経や精通をむかえることだけをさすのではありません。ですから、毎日いろいろな経験をつみかさねて、少しずつ、心もすてきなおとなになっていってほしいと思います。
女の子のからだは、脳から命令をうけると、赤ちゃんができてもいいように準備をします。
この準備は、約1カ月ほどでできあがり、赤ちゃんができないといらなくなって、からだの外に出ていきます。これが「生理」です。そして、初めての生理のことを「初経」(以前は初潮ともいっていました)といいます。
生理は、ほぼ1カ月に3~7日くらい、腟から血液と子宮内膜の一部がまじりあった「月経血」(経血)というものが出ます。
生理はケガでも病気でもありません。女の子には、いつかはやってくるものなのです。初経がきたら、「わたしのからだも一歩おとなに近づいたな」って思いましょうね。
初経のあと、50歳くらいまで、生理はだいたいひと月に1回あります。
※生理は15歳までにくることが多く、15歳になっても一度も生理がない場合は、おうちの方と相談して産婦人科の先生を受診してください。
1卵巣では、およそ1カ月に1個、赤ちゃんのもとになる卵子が成長。
2成長した卵子が卵巣からとび出し、卵管にすい上げられて子宮へ。これを「排卵」といいます。
3ベッドになる内膜がもっと厚くなり、赤ちゃんがくるのを待ちます。でも、卵子は精子といっしょにならなければ、赤ちゃんになりません。
4すると、いらなくなった内膜がはがれ、たくわえられていた血液といっしょにからだの外へ。
5生理になると、脳はすぐ「またはじめから準備をしなさい」と命令を出します。
お友だちみんな、顔かたちがちがうように、生理も一人ひとりちがいます。でも、心配なことがあったら、おうちの人や保健室の先生に相談してみましょうね。
生理がはじまる前や、生理のとき、人によっていろいろなからだの変化がおこることがあります。
おなかがいたくなったり、胸がはったり、ねむくなったり…。これは、女性ホルモンのえいきょうです。どれも病気ではないですが、もし心配なことがあれば、おうちの人や保健室の先生に相談しましょうね。
もちろん、「そんなこと、ぜんぜん感じないわ」という人もいます。
3~7日がいっぱん的。経血はいちどに全部出てしまうのではなく、何日かにわたって少しずつ出ます。
生理がはじまった日から、次の生理がはじまる前の日までを「生理周期」といいます。初経からしばらくは、周期がきちんときまらないのがいっぱん的です。
量は意外と少ないもの。 いっぱん的に、多い日で1日 30g(大さじ約3ばい)、期間中全部合わせても50~100gくらいです。
多い日と少ない日があります。いっぱん的に、1日めは少なく、2日めが多くなり、3日めからあとは、だんだん減ります。
たくさんの人がかんじる症状は、この4つですが、ほかにも腰痛、だるい、下痢、頭痛など、さまざまな症状があります。
(データは、すべて花王調べ)
初経をむかえるのは、だいたい10~15歳くらいのあいだ。平均してみると、12~13歳にむかえる人がいちばん多くなっています。
でも、早い人もいれば、おそい人もいます。たとえば、同じ木にさく花でも、早く開く花、おそく開く花、いろいろでしょう。初経も同じです。心配しないで、ゆったりした気持ちで待っていましょう。
初経がどんなふうにはじまるかは、人それぞれです。黒っぽい経血が、ちょっとショーツにつくとか、経血がまじったピンク色のおりものが出たりとか、そういうことで気がつく人が多いみたい。
初経のときは、はじめからたくさんの経血が出たりすることは少ないので、気がついたら落ち着いて手あてをします。くわしい手あての方法は、「生理のときは、どうするの?」のページを読んでね。
●はじまったときは、なにがなんだかよくわかりませんでした。はずかしくて、だれにも言えませんでした。
●トイレに行くと、下着がよごれていて「げりしてるのかなぁ」と思いました。それにしてはおかしいので、おかあさんに見てもらったら、生理でした。
●おかあさんが赤飯をたいてくれて、「もうおとなの仲間入りよ」と言ったので、はずかしかった。
●ある日、パンツに真っ黒なものがついていて、びっくりしました。
●「ふーん、こんなものか」と、思いました。
●まわりの人がみんなはじまっていてあせっていたので、まちどおしかった。
●先にはじまった友だちから聞いて、少しは知っていましたけど、いざとなるとやっぱりあせってしまいました。