月経について

基礎体温チェック

それは、女性のからだのバロメーター

基礎体温とは、眠っていて心もからだも安静にしているときの体温のこと。つまり、正確にいうと、「生命を維持するためだけにエネルギーを使っている状態の体温」を指す言葉です。
でも、睡眠中の体温を自分で測ることはできないので、朝、目が覚めたらすぐに測って、これを基礎体温としています。からだを動かしたり、飲食をしたりすると、体温が上がってしまうので、目覚めたら床の中ですぐに測ることが必要です。


●基礎体温が教えてくれること

女性の基礎体温は、からだのリズムにしたがって微妙に変化します。これは、2つの女性ホルモン「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と「黄体ホルモン(プロゲステロン)」の影響によるものです。
そのため、基礎体温を測ることによって、女性ホルモンの分泌状態を知ることができます。つまり、基礎体温は排卵や月経、妊娠などに関する大切な情報源だということです。

基礎体温表の読み方レッスン

●一般的な基礎体温表のパターン

[低温期と高温期]

健康な成人女性の基礎体温は、月経が始まってから2週間ほど「低温期」があり、その後、次の月経まで2週間ほど「高温期」が続きます。この低温期と高温期の分かれ目の前後に、「排卵」があります。
排卵前は卵胞ホルモン(エストロゲン)が多く分泌されますが、排卵後は黄体ホルモン(プロゲステロン)が多く分泌されます。黄体ホルモンには体温を上げる働きがあるため、排卵とともに基礎体温が上昇するというわけです。
基礎体温が低温期と高温期の2相に分かれているということは、女性ホルモンが正常に分泌され、きちんと排卵している証拠です。

一般的な基礎体温表のパターン

一般的な基礎体温表のパターンイメージ。

一般的な基礎体温表のパターンイメージ。

一般的な基礎体温表のパターンイメージ。

この基礎体温表は29日周期の人のモデルパターンです。

[排卵日]

低温期から高温期に移る前に、「陥落日」といって、体温がいったん下がることがあります。排卵は、この陥落日か、そのあと体温が上がっていく途中で起こるのが一般的です。
ただ、人によっては陥落日がなかったり、徐々に体温が上がっていって高温期になることもあります。その場合、排卵日がはっきりとわからないことがあるかもしれません。
いずれにしても、排卵日はだいたいわかりますが、基礎体温のみでは正確に特定することは不可能です。

[月経期]

高温期が続いたあと、体温が下がり始めたら、そろそろ月経が始まるというサイン。人によっては、月経が始まってから下がることもあります。月経は黄体ホルモンの分泌が急激に減少することによって起こるので、基礎体温から開始時期を予測できるのです。

基礎体温のチェックポイント

基礎体温のパターンは個人差があり、同じ人でも体調などによって変わることがあります。
モデルパターンと違っても、以下の特徴が見られ、体温が2相に分かれているようなら問題ありません。
1.月経の後に、一定の低温期間がある
2.ある時点から体温が上がり、高温期が続く
3.月経が始まる頃に体温が下がる


●基礎体温と妊娠・避妊との関係

基礎体温を測れば、排卵日をだいたい予測することが可能です。そのため、妊娠しやすい時期、妊娠しにくい時期がわかります。

[妊娠しやすい時期]

高温になる直前、つまり排卵日の頃にセックスすれば、妊娠する可能性が高くなります。ただ、月経周期や基礎体温の変化は一定ではなく、しかも妊娠の成立にはいろいろな要素が関係するので、必ず妊娠するわけではありません。

[妊娠しにくい時期]

卵子や精子の寿命からいえば、理論的には「高温期になって4日目くらいから月経までの間は妊娠しない期間」ということになります。
しかし、女性ホルモンの分泌は微妙なので、体調やストレスなどによって排卵日は変わるもの。基礎体温で妊娠しにくい時期がわかっても、「安全日」などというものはないと心得ましょう。妊娠したくないのであれば、常に避妊することが必要です。


●通常とは違うパターン

基礎体温表を見ると、妊娠、無排卵、女性ホルモンの分泌異常などがわかります。以下のような場合は、婦人科を受診するようにしましょう。

[高温期がずっと続く]

黄体ホルモンの分泌はふつう2週間ほどでストップしますが、妊娠するとそのまま分泌され続けます。高温期が3週間以上続く場合は、妊娠の可能性が高くなります。

[高温期がない]

月経はあっても、高温期が見られないときは「無排卵性月経」が考えられます。ただし、とくに異常がない人でも、無排卵になることはあります。2~3カ月測定してみて、高温期が確認できれば心配いりません。

[高温期が短い]

高温期と低温期が分かれていても、高温期が9日以内の場合は、黄体ホルモンがスムーズに分泌していない「黄体機能不全」が疑われます。

上手に測って賢くチェック

●用意するもの

[基礎体温計(婦人体温計)]

基礎体温はわずか0.3~0.5℃ほどの範囲で微妙に変化するので、ふつうの体温計ではその変化が読み取りにくいものです。そのため、小数点以下第2位まで測れる「基礎体温計」という専用の体温計を使用します。昔ながらの水銀体温計と電子体温計があり、今は電子体温計が主流です。
電子体温計には大きく分けて予測式と実測式の2種類あります。予測式の方が早く測れますが誤差が生じます。実測式は予測式より計測に時間がかかりますが、より正確に測れます。

基礎体温計(婦人体温計)のイメージ。

基礎体温計(婦人体温計)のイメージ。

基礎体温計(婦人体温計)のイメージ。

[基礎体温表]

基礎体温を記録するための表。記入した毎日の体温を折れ線グラフにすると、基礎体温のパターンを見ることができます。基礎体温表は、薬局などで入手できます。
また、ロリエオリジナルの体温表は、ダウンロードしてご利用いただけます。

スマートフォンのアプリにも、基礎体温計と連動して体温を記録したり、それらをもとに排卵日を予測し、教えてくれるなどのツールがあります。こうしたものも上手に活用するとよいでしょう。


●測り方

(1)目が覚めたら、寝たまま測る

朝、目が覚めたら、安静状態のまま、床の中で測ります。起き上がったり、飲食をしたりすると体温が上がってしまうので、目覚めたらすぐに測ることがポイント。基礎体温計はいつも枕元に置いておきましょう。
なお、基礎体温は、毎日同じ時間に測るのが理想的ですが、現実にはなかなかそうもいきません。そんな場合は、目が覚めたらすぐに測ればOKです。

(2)舌の下に体温計を入れて測る

朝基礎体温計は舌の下にはさみ、そのままじっとして測ります。測定時間は、予測式なら1分程度、実測式なら5分程度です。水銀体温計の場合は5分です。

(3)基礎体温表に記入する

その日の体温を点で記入し、前日の点と結びます。測り忘れた日は空欄にしておきます。
基礎体温表は体温計といっしょに枕元に置いておき、測ったらすぐに記入するようにしましょう。
体温表の「記号欄」には、月経、おりもの、不正出血、下腹痛、セックスなどの情報を記録します。そのほか、発熱、飲酒、寝不足、寝坊など、体温に影響するようなことがあれば、「備考欄」に記入しておきましょう。


監修/東京大学病院 秋野なな先生

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