赤ちゃんとママ・パパのための情報
おむつがとれるには、生理的な発達や神経系統の成熟が欠かせません。生後間もないころの赤ちゃんは、昼夜を問わずおしっこの回数がとても多いですね。これは、尿をためておく膀胱が小さいうえに、少したまると反射的に出てしまうからです。
やがて、成長するにつれて膀胱は容量を増し、夜間は尿を作らなくするようなホルモンの作用が起きてきます。さらに脳が発達してくると、膀胱に尿がたまったことが大脳に伝わり、大脳からは「おしっこがたまったよ」という合図や「おしっこを出して」という指令が出るようになります。
こうなって初めて、子どもは尿意(おしっこをしたいという感じ)を意識するようになり、おむつ離れへの道を歩み出します。
最近、トイレ・トレーニングを「おむつはずし」と言わずに、「おむつはずれ」と表現するようになったのも、子どもの体と大脳の成長が十分整えば自然におむつはとれる、という考えが浸透したからなのです。
たまると反射で出てしまいます。腎臓の尿濃縮力も未熟なため薄いおしっこがたくさん作られます。睡眠のパターンに昼夜の区別がないため、一日中同じようにおしっこが作られます。そのため昼夜関係なく、回数も多いのです。
神経系統は未発達で尿意の自覚はなく、おしっこが出ると、おむつがぬれたことを感じて泣きます。
睡眠中の尿意が減りはじめ、目覚めてから排尿することが増えてきます。
おしっこが出ると、おむつがぬれたことを感じて泣きます。
神経系統の発達が進み、膀胱におしっこがたまると大脳が尿意を感じるようになります。
排尿と排尿の感覚が長くなって、おしっこが出たことを自覚するようになります。睡眠のリズムも昼夜の差がはっきりでてきて、夜間の尿量は減り、腎臓の尿濃縮力もできてきて薄いおしっこをたくさん作っていた時期とは違ってきます。
徐々に、おしっこが出るとサインを出してくれる時期です。
尿意を感じて、出る前にお母さんやお父さんに伝えられるようになります。また、したくなっても、トイレまでがまんできるようになります。
こうなって、ようやく排泄の自立が完成!
医学博士、日本小児科学会認定医。1980年東京女子医科大学医学部卒業、同大学小児科学教室に入局。研修医、助手、水野病院(足立区)、愛育病院(港区)などの外来を経て、現在、吉村小児科(文京区)院長。小石川医師会理事、日本小児科医会、子どものこころ対策委員会委員、日本外来小児科学会、アドボカシー委員会委員。地域で子育て支援セミナーの開催、子育て相談、ブックトーク、絵本の読み聞かせなどを行いながら、子育て支援に力を注いでいる。著作に、『はじめよう臨床医にできる子育てサポート21』編著(医学書院)他。