赤ちゃんとママ・パパのための情報
上の子が幼稚園に通園しているので、インフルエンザをもらってきそうで怖いのです。1歳未満の赤ちゃんは予防接種を受けられないのですか?
(りんママ 9カ月)
卵アレルギーのため、インフルエンザの予防接種が受けられません。どのようにして予防したらよいでしょう
(やい 1歳3カ月)
インフルエンザの予防接種は、希望する人だけが受ける“任意接種”で、生後6カ月(満6カ月)から受けられます。
外出が増える1歳頃になったらぜひ接種を受けましょう。それ以前でも、保育園などで集団生活を送っている場合は早めに接種することをおすすめします。りんママさんの赤ちゃんのように、上の子からの感染が心配な場合は、上の子と一緒に受けておきましょう。ワクチンの効果はワンシーズンしか続かないので、前年に受けていても毎年受ける必要があります。
インフルエンザの予防接種は、不活化ワクチンといって死んだ病原体の成分を無毒化させたものを、1~4週間の間隔をあけて2回、注射によって接種します。大人の場合は、過去にウイルスとの接触経験があるので1回だけの接種でもある程度抗体値が上昇しますが、赤ちゃんは2回接種しないと十分な抗体値が得られないので2回接種したほうが安心です。間隔は4週間前後が最も有効とされています。また、抗体値が病気を阻止するのに十分なレベルに達するまでには、接種後4週間ほどかかるので、できれば流行が予測される時期の4週間前までには1回目の接種を受けておきましょう。
毎年、インフルエンザが本格的に流行するのは12月中旬から1月です。ですから、11月上旬に1回目を済ませておくと安心です。ただ、時期を逸してしまったり、流行前の時期に接種対象月齢になっていなくても、できるときに早めに受ければそれなりの効果が得られます。ゆうままさんの赤ちゃんは月齢的に間に合わないかもしれませんが、その場合は家族が接種を受けて、赤ちゃんへの感染を防いであげるとよいでしょう。
また、ほかの予防接種との時期の兼ね合いも慎重に見てください。インフルエンザの予防接種は不活化ワクチンなので、接種後1週間たてば他の予防接種を受けられますが、「麻疹(はしか)」や「風疹」などの生ワクチンを接種する予防接種は、接種後4週間は他の予防接種を受けられません。1歳を過ぎて接種を検討する場合、はしかや風疹とインフルエンザのどちらを先に受けるか迷うこともあるでしょう。
インフルエンザの2回のうち、1回目を受けた後、1週間後に生ワクチンの予防接種を受けると、2回目との間隔が最低5週間あくことになりますが、それでもワクチンの効果が落ちることはありません。とくに麻疹や風疹の流行がなければ、先にインフルエンザを3~4週間あけて2回受けて、その後に生ワクチンの予防接種を受ける方法もあります。
優先順位をどのようにするかは地域での感染症の流行状況にもよるので、スケジュールの立て方も含めて、主治医とよく相談しましょう。
なお、インフルエンザの予防接種は自治体の補助が受けられる“定期接種”とは違い、費用は全額自己負担になります。
また、やいさんのご相談にあるように、インフルエンザワクチンには鶏卵の一部が使用されているため、明らかな卵アレルギーと診断されている人(とくに卵をほんの少量摂取しただけで、呼吸困難をきたしたり、ショック症状に陥る人)は注意が必要で、かかりつけの小児科の医師にご相談下さい。家族が接種を受けて予防することを心がけ、インフルエンザが流行している時期は人込みへの外出を避けるなどして予防しましょう。
医学博士、日本小児科学会認定医、子どもの心相談医。1987年筑波大学卒。1994年筑波大学大学院博士課程修了筑波大附属病院、(株)日立製作所水戸総合病院、茨城県立こども病院で研修。1996年4月より現職。
インフルエンザワクチンの接種を受けるつもりですが、5カ月に満たないと受けられないのですか?
(ゆうまま 3カ月)