赤ちゃんとママ・パパのための情報
先月1歳になりましたが、いまだにハイハイ、つかまり立ちどころか、ずりばいさえしません。寝返り・お座りは少し遅めでしたがきちんとできます。わきを持って支えてあげると屈伸したりして立つまねはできます。
(あゆこ 1歳)
ハイハイで足腰をきたえ、移動の楽しさを覚えると、つかまり立ちがはじまります。最初のうちは立った姿勢でバランスをとるのが精一杯ですが、何かにつかまったり体を預けながらも、やがて足を踏み出して移動するようになります。これがつたい歩きです。
つたい歩きはひとり歩きに向けての練習で、バランスをくずしたとき、とっさにつかまって安心しながら歩く力を自分できたえているのです。
Aさんのお子さんがなかなかつかまった手を離せないのは、性格的に慎重派なのかもしれませんね。でも、1歳前ですでにつたい歩きをはじめていますから、まったく心配いりません。運動発達としてのひとり歩きに関しては「1歳半までにつたい歩きができているか」がポイントになります。つたい歩きの時期が長くても特別なトレーニングは必要なく、赤ちゃん自身が自分で移動しながらバランスをとれるようになるのを待てばいいでしょう。
あゆこさんの場合、寝返り・お座りが少し遅めだったとのことですが、これまでの健診で精密検査を受けるようにというような指摘がなかったのであれば、運動発達の面で特に心配はないと思います。1歳半までに自然につたい歩きをするようになる事が当面の目標であり、経過を観察していくことになります。
ただ、1歳で、ハイハイもつかまり立ちもしないということは、昼間どのようにして遊んでいるのでしょう。寝返りをうって腹ばいの姿勢で遊ぶか、抱き起こして座らせたらそのまま、ということでしょうか。ハイハイやつかまり立ちをするには、赤ちゃんが自分から移動したくなるようなきっかけ作りも必要です。
たとえば、お座りしたままでは手が届かない位置(前・横・後ろなど)にお気に入りのおもちゃを置いて、動きたい気持ちを誘ってみることもその1つです。あるいは、抱っこするときも手を伸ばして抱き上げてしまうのではなく、お座りをした赤ちゃんのそばに行き、「おいで」と声をかけてお母さんの体につかまらせながら抱く方法もあります。
最初からわきを持って支えて立たせたのでは、肝心の赤ちゃん自身は姿勢を変えることが覚えられません。つかまり立ちや、ひとりでのたっちに至る原動力は、姿勢を変えたいという気持ちにあるので、それをじっくり育ててあげましょう。
最近、子どもにケガをさせないようにと考えすぎて、子どもがハイハイするスペースがないおうちも見かけます。また、座卓や低い椅子などは、つかまり立ちを誘う良いきっかけになるのですが、赤ちゃんの部屋にそうしたものがなかったり、かりにあっても、ベビーラックなどに入れられて、つかまり立ちの練習の道具として活用されていない場合もあります。移動に興味を持つ頃は、安全対策に目配りも必要ですが、自由に動ける空間も確保してあげましょう。
医学博士、日本小児科学会認定医、子どもの心相談医。1987年筑波大学卒。1994年筑波大学大学院博士課程修了筑波大附属病院、(株)日立製作所水戸総合病院、茨城県立こども病院で研修。1996年4月より現職。
もうすぐ1歳になるのですが、ひとりでたっちができません。つかまり立ちや、つたい歩きはしますが、何かにつかまっていないと立とうとしません。個人差があるといいますが、何かトレーニングをしたほうがいいでしょうか?
(A 11カ月)