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  • <事務職> マーケティング・商品開発 No.01

【キャリアインタビュー】
個人として、チームとして、
存在意義ある製品を創り続けたい

ヘルス&ビューティケア事業 シニアマーケター
工学研究科 2008年卒業

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【キャリア年表】

1年目~2年目

国内マーケティング


3年目~5年目(途中)

花王グループカスタマーマーケティング(花王グループの販売部門)出向


5年目(途中)~6年目

国内マーケティング


7年目~8年目

海外(アジア)マーケティング


9年目

米国に派遣


10年目〜

海外(アジア)マーケティング
※13年目~ シニアマーケター

入社10年目

インドネシアでのプロジェクトは、
私のキャリアの成功と失敗の集大成

インドネシアを担当して最初のプロジェクトである、全身洗浄料「ビオレガード」ブランドの新発売は、非常に印象的です。私のキャリアの中で、成功と失敗の集大成と言えます。
インドネシアの全身洗浄料市場は、主に香りや肌への効果を重視するビューティ系、殺菌・衛生を重視するハイジーン系、主にこの2つで構成されています。ビオレはビューティ系ではトップシェアを誇る一方、ハイジーン系では存在感を示せていませんでした。(補足:ビオレガードはハイジーン系)
インドネシアの生活者調査を行う中で、ハイジーン系全身洗浄料ユーザーに、使用製品に不満を感じる方が多いことがわかりました。子どもの健康・衛生を考えてハイジーン系の全身洗浄料を選んでいるのに、入浴後にお子さまが首元やわき腹を痒がっている様子をよく見る、というのです。
そこで、基本性能である殺菌効果は備えつつ、生活者が不衛生の象徴として不安がっている痒みから生活者が解放されるモノづくりを目指しました。「他社製品のマネではなく、インドネシアのお客様にとって存在意義のある製品すること」にこだわり、研究所やパッケージ作成部など様々な部署と、インドネシアの生活者についてディスカッションを重ねました。また、私自身は毎月のように現地へ出張し、製品の良さを生活者や店舗担当者にどう伝えるか、インドネシアの同僚と仮説検証を繰り返しました。
発売後は、金額シェアが最も高い時で改良前の約2倍となり、継続的にみても改良前の約1.5倍をキープしました。

入社10年目②

異文化で働くことの苦労と喜び

インドネシア担当となり、上手くいかなかったことは多々あります。
最初の出張で、ビオレブランドの中期戦略の打ち合わせを行った日のことです。現地の同僚に初めて会い、そこで「ビオレを取り巻く市場環境から、こうしたらどうでしょう?」と提案しましたが、その時の現地の同僚の顔は、とても冷めたものでした。今でもその表情は忘れられません。インドネシアの背景や現地メンバーの心を考えずに、表面的な戦略の押し付けになってしまったのかなと思います。
インドネシアは人種も宗教も、ビオレのイメージや果たしてきた役割も、日本とは異なります。私はインドネシアの人々の生活習慣や歴史、宗教観などを学びつつ、現地のメンバーとの対話を増やしました。本音でコミュニケーションをするため、揉めることもたびたびありました。お互いの考えのズレに対し、「生活者がこう思っているなら、こういう提案はどうだろうか?」といった議論を繰り返すことで、次第に現地の同僚からの信用を得られるようになったかな、と思います。
ビオレガード発売後の結果が出た時は、現地メンバーが「良いニュースがあるよ!シェアがすごいことになっているよ!」と、毎月のように連絡をくれました。
現地の同僚と喜びを分かち合えたのは、私の中でもすごく良い経験でした。

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入社5年目

ブランドの全てを任された日

国内メンズビオレのマーケティングを担当した時期に、自身の心持ちや考え方が大きく変わりました。当時は花王グループカスタマーマーケティング(花王グループの販売部門;以降の本記事では販売部門と呼称)への出向期間を経て、マーケティングの部署に戻ってきたという状況です。異動直後に当時のビオレのマーケティング部長から、「これからはあなたがブランドの責任者です。あなたがメンズビオレの今後を考え、オーナーとして引っ張ってください。」と言われました。この場面は強く記憶に残っています。
新入社員の頃もハンドソープのマーケティングを担当していましたが、当時は上司に守ってもらいながら、上司の指示を遂行する、という仕事の進め方が主でした。仕事で行き詰っても、先輩含め周囲の誰かが助けてくれました。メンズビオレを担当して以降は、業務全般を私と入社2年目の後輩に任せてもらいました。当時は売上40-50億円のブランドだったと記憶しています。

入社5年目②

「メンズビオレを、今後どうしていきたいのか」という問い

メンズビオレ担当になって以降、「このブランドを今後どうしていきたいのか」を常に周囲から問われるようになりました。実はその問いは、私個人の話を聞かれていたのではなく、「生活者のために私は何を成すべきか」を意味していました。当初はその違いに気づけず、自身の個性や世の中のトレンドをもとに、独りよがりの考え方をしてしまっていた事もあったと思います。花王の良い所の一つとして、プレゼンや報告を行う際、「生活者はどう考え、どう行動しているか」という視点で質問・指摘を受けます。その中で私も、次第に考え方を変えられるようになりました。
メンズビオレを担当した期間、ボディシートの新発売や全身洗浄料の製品ラインナップ追加、ブランド全体の製品パッケージ刷新などを行いました。特にボディシートの新発売は、非常に良い経験でした。メンズビオレのシート商材ラインナップは顔用のみという状況下で、ボディ用のブランド戦略立案や発売時のプロモーション展開などに挑みました。男性向けボディシートでは有名な他社ブランドがある中、いかにお客様にメンズビオレならではの製品価値を感じていただけるかを考え抜いたつもりです。実際に営業担当の商談にも同行させてもらい、メンズビオレがお客様に提供できるメリットを、流通業の皆様にもご紹介しました。

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キャリアを振り返って

チャンスを掴むための継続的な努力

自身のキャリアへの満足度は高いです。100点満点で80点くらいでしょうか。新入社員でマーケティングを経験し、販売部門への出向期間で本社の外から花王のマーケティングに触れ、その後マーケティングの部署に戻りました。また、米国への派遣期間に、花王本社を今度は海外支社の立場から見つめることができました。そこから得た課題意識をもって、「もっと良い仕事をするにはどうしたらよいか」を考えながらキャリアを歩むことができました。また、入社当初から「いつかは海外の仕事がしたい」と言っていたのですが、それが早い段階で叶った点も満足度を高めています。異文化に触れながら仕事をすることは非常に面白く、チャンスをもらえたことに感謝しています。
心掛けていることは、チャンスを掴むための準備を常にしておく、ということです。入社当初は英語が得意ではありませんでしたが、チャンスをもらえたときに備えて、英語力の向上に努めていました。今後また別のステージで仕事がしたいと思った時には、新たに経営や会計、DXなどの知識なども必要になってくると思います。今後も勉強は怠らないようにするつもりです。変化の激しい現在において、常に最先端で戦略が描け、同僚や関連部門と議論ができるよう、アップデートを続けたいです。

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今後目指す姿

互いの良さを活かし合うチームで、よきモノづくりを

今後は、人の良い所を引き出せるマーケターになりたいと思っています。キャリアを重ねる中で常に感じているのが、マーケター1人ではなにもできない、ということです。マーケターだけでは、製品の処方も作れないしデザインも創れないし、流通業と商談もできません。一方、関連部門や関係会社を見れば多様・多彩な人たちがいます。チームとして集まってできる事には際限が無く、さまざまなプロフェッショナルの人たちとともに仕事をすることで、いい仕事につながることは、これまで何度も実感してきました。プロフェッショナルの良いところを引き出すために何ができるか、その力を磨いていきたいです。
また、ビジネスパーソンとしては「軽さ」を大事にしています。フットワークの軽さや、考え・動きの自由さのことです。「花王のやり方はこうだから」「今までこうしてきたから」と、考え方や仕事の仕方が凝り固まってしまいがちです。世の中が激しく変化する中で、もっと広い世界を自由な発想で、「生活者はこうだから、きっとこうすべきじゃない?」という話ができるビジネスパーソンであり続けたいと思います。

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