「ズボンに尿シミが…」とお悩みの方は実は少なくありません。花王が男性約500人に調査した結果、30代以上の男性の3人に1人は“ちょい漏れ”経験があることが明らかに。医学博士の髙橋悟先生にうかがった、男性の“ちょい漏れ”対策や予防トレーニングを紹介します。
【教えてくださるのは】
髙橋 悟先生
医学博士/日本大学医学部付属板橋病院長
兼泌尿器科部長
1985年群馬大学医学部卒業。東京大学医学部付属病院、国家公務員共済連合会虎の門病院、都立駒込病院、米国メイヨークリニック勤務。東京大学医学部助教授を経て、2021年より日本大学医学部付属板橋病院にて現職。日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本大学医学部泌尿器科学分野主任教授。
実は30代以上の男性は、3人に1人が“ちょい漏れ”による「尿シミ」の経験があることがわかりました※。それなのに男同士でもあまり語られないヒミツの実態とは!?
※日本全国の30~69歳男性1万人を対象としたWeb調査において、尿をした後、キレが悪く尿が少ししみた経験があると回答した人数から算出(2019年12月花王調べ)
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[調査概要]
ズボンに尿がしみた経験がある、30~69歳男性を対象としたWeb調査(2019年12月花王調べ)。実態1、2の回答者は516名。実態3、4の回答者は尿のしみ出しが気になると回答した504名。調査の設問中では「ズボンへの尿シミ」を「排尿後の下着からズボンへの尿のしみ出し」としています。
“ちょい漏れ”による「尿シミ」について、日本大学医学部付属板橋病院長 兼泌尿器科部長の髙橋悟先生にうかがいました。
A.男性は尿道が長いんです。例えば、蛇行した川の流れだと湾曲した部分に水が溜まりますよね?同じように、長い尿道にゆっくり尿が流れると、湾曲した部分に尿が残るんです。その残ったものが後からポロポロっと出てくる。それが“ちょい漏れ”です。ズボンについたら尿シミになりますよね?尿道の長い男性にとっては仕方がないこと。これ、尿失禁ではないんですよ。医学的に言えば「排尿後の尿滴下」なんです。早い方は30~40代から出てきます。50代前半だと、結構多くの方がいらっしゃいますね。
A.比較的、まだ会社勤めをしているとか、遊びで外にどんどん出ていくような世代の人に多いですね。仕事で人前に出るときや、色の薄いズボンをはいているときに、うっかりして「あっ!」というときがありますから。男性の方で、それがイヤだっておっしゃる方、意外と多いですよね。
A.対処法としては、おしっこをした後のミルキングをおすすめしています。尿をこそぐようにして絞りだして、ティッシュで受け止めるんですね。あとは比較的ゆったりしたズボンをはくのもいいと思います。ピチッとしたズボンをはくと窮屈でおしっこをしづらくなりますので…。何か病気が関係していない場合は、男性なら仕方のないものですから、うまく付き合っていただきたいですね。
A.排尿後尿滴下は、生活習慣病ともリンクすると言われています。高血圧、高脂血症、糖尿病、それから肥満などですよね。だから血圧を高くしない、糖尿病にならないような食生活をする、適度な運動をする、そういうことがやはり大事だと思います。塩分も控えた方がいいと思いますね。生活習慣全体を見直すのは、“ちょい漏れ”の出現を抑えたり、軽くしたりするという意味では、効果があるんですよ。
肛門と尿道をギューっと締めるトレーニングです。
朝起きたときや、テレビを見るとき、 電車に乗るときなどに!
仰向けで膝を立てたり
椅子に座っても
立っていても
専門医アドバイス
肛門や尿道を締める感覚がわからなかったら、排尿している最中に、キュッと止めてみてください。
力を入れる秒数を変えると、鍛えられる筋肉が変わります!5~10秒、ギューッと力を入れ続ければ、「遅筋(ちきん)」に効く!1~3秒、キュッキュッとリズミカルに力を入れれば、「速筋(そっきん)」に効く!
遅筋とは…
ギューっと締めるための筋肉。弱くなると、筋肉の緊張状態を持続できなくなり、油断したときに“ちょい漏れ”してしまうことに。
速筋とは…
素早く締めるための筋肉。弱くなると、ゴホンと咳をしたときなどに“ちょい漏れ”してしまいます。
内転筋(内もも)に力を入れるトレーニングです。
専門医アドバイス
排尿後尿滴下症状の対策として、内転筋を鍛え、骨盤の中の血液を良くするのは、尿路にとっても良い影響があると言われています。