専門医に聞く!子育てお悩みQ&A
2025.05.29 New
#発育・発達 #授乳 #赤ちゃんのお世話
おっぱい大好きで離乳食を全然食べてくれません。よく太っていると言われるので母乳だけでも栄養は足りているように思いますが、母乳ばかりだと鉄分不足になるのでしょうか?(生後10カ月)
9カ月から3回食ですが、朝は食パン3~4口と果物を2口ほど。昼は麺を2~3本(5センチぐらい)。夜は軟飯とおかずをそれぞれ2~3口と野菜を少々。すぐにおっぱいを欲しがり、離乳食はついでみたいになっています。身長も体重も標準ぐらいですが、栄養が足りているのか心配です。(生後11カ月)
回答した専門医
小児科医師 (医学博士)
三井 俊賢 先生
医療法人社団育心会理事長
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小児科専門医、小児科指導医。慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程を修了後、慶應義塾大学病院に勤務し、同小学校・中学校で校医としても子どもたちの健康に携わってきた。医療法人社団育心会を立ち上げ「すべては子どもの笑顔のために」という想いで、小児科の枠を超え、子どもを取り巻くさまざまな面から包括的に支える診療に日々励んでいる。現在、3人の子育てに奮闘するパパとして、親御さんの気持ちに寄り添いながら、子どもたちやご家族に安心と笑顔を届ける医療を目指している。
9カ月を過ぎて離乳食が3回(離乳後期)になったら、母乳やミルクからの栄養だけでは足りなくなってきます。半分以上は離乳食から栄養を摂るのが理想です。特に鉄分は9カ月を過ぎるころから不足しやすくなるため、意識して摂る必要があります。
また離乳食は、食べ物を持って、噛んで飲み込むといった「食べる練習」が目的でもあるため、離乳食を食べるように働きかけていきたいですね。
おっぱいが大好きなお子さんは、離乳食が嫌いというよりは、おっぱいでおなかがいっぱいになってしまって離乳食を食べないケースがほとんどです。
また、何となく口寂しくなるとおっぱいが恋しくなることが多いので、欲しがるタイミングであげるのではなく授乳時間を決めましょう。それ以外の時間に欲しがったら散歩や外遊びに連れ出すなどして、気を紛らわせるようにします。
また、離乳食やお風呂の時間もほぼ一定にし、早寝早起きにして生活リズムを整えましょう。体力を発散させ、おなかのすく生活リズムにすれば、離乳食を食べようという意欲が出てくるはずです。
9か月以降の赤ちゃんについて、離乳食を食べてくれない場合は、以下のように生活リズムを整えながら、離乳食の食形態と与え方も工夫してみましょう。
また、「昨日はたくさん食べたのに今日は全然食べない」「同じものばかり食べる」といった、食べむらや偏食がある場合の対処法についても紹介します。
乳幼児はおなかがすいていなければ、どんなに好きなものでも食べません。そこで、離乳食を食べない、食べむらがあるという場合は、食事の時間におなかがすく生活リズムに調整することがとても大切です。
たとえば体を使った遊びでおなかをすかせる、授乳から食事まで間隔をあける、起床時間を早めて時間をおいてから朝食にするなどを試してみるとよいでしょう。
少ししか食べない子の中には、離乳食の固さや大きさが合っておらず噛みにくい、飲み込みにくいせいで食べない場合もあります。
特に口から出してしまう場合やうまく飲み込めない場合は、食材を少しやわらかくしたり、小さめに切ったり、とろみをつけたりして噛みやすく・飲み込みやすくしてみましょう。
離乳食が3回になったら、テレビは消してぜひ家族一緒に食事をしましょう。「おいしいね」などと声かけをしながら、楽しい雰囲気で食事をすれば、食が進みやすくなるでしょう。
また、離乳食を食べずに汚されてばかりだと、ママやパパも辛く感じることがあるでしょう。子ども側も、叱られてばかりでは食事が楽しくなくなってしまいます。汚してもいいようにテーブルや椅子の下にはシートなどを敷いておくなど、叱らなくて済む対策をしておくのもおすすめです。
離乳食が3回になるころには、食べ物を自分で持って食べたがる子が増えてきます。食べ物に手を出す様子が見られたら、手づかみで食べやすいメニューを1品用意してみましょう。自分で食べるのが楽しくて食が進みやすくなります。
好きなものばかり食べる偏食の子の場合は好きなもの以外のメニューを先に出して、ある程度食べてから好きなメニューを出すようにしましょう。
乳幼児の偏食は、長く続かない場合がほとんどです。食べない食材でも、1カ月くらいたってから出すと食べたりすることもあるため、「この子はこれが嫌い」と大人が決めつけず諦めないことが大事です。
1歳を過ぎるころには、1日の栄養の8割以上は離乳食から摂るのが理想です。そのため、食が細いと栄養が足りているのか心配になることもあるでしょう。まだ母乳・ミルクを飲んでいる場合は、断乳すると食事量が増えるかもしれません。
ただ、大人にも食欲の違いがあるように、子どもでもよく食べる子もいれば食の細い子もいます。食が細くてもその子なりに体重が増えていて、乳幼児身体発育曲線に記載したときにグラフの傾きに沿っているなら、まず心配いりません。
また、生後9カ月以降は生まれたときから体内に貯蔵している鉄分が減ってしまうため、鉄分を補給することが大切です。栄養バランスが心配で、鉄分が強化されているベビーフードやフォローアップミルクを飲ませることを検討しているママ・パパもいるかもしれません。積極的に取り入れる必要はないですが、試してみてもよいでしょう。
ただし、その他のビタミン・ミネラルも含めてバランスよく栄養を摂ることが必要です。一般的には、いろいろな食材をまんべんなく食べさせるほうが、食材に微量に含まれるさまざまなビタミン・ミネラルをバランスよく摂ることができると言われています。なるべくさまざまな食材を食べさせるように心がけましょう。
母乳やミルクと離乳食の量のバランスについては、離乳食が3回になったころにようやく半分ずつぐらいと考えるとよいでしょう。
母乳・ミルクは減らしたりやめたりする必要はありませんが、3回食になったら離乳食を先に食べさせてから母乳・ミルクを欲しがるだけ飲ませるようにするとよいでしょう。
離乳食をたくさん食べられれば、母乳・ミルクの量が減るので、自然と調整されることになります。
1歳を過ぎたら、原則的に栄養面では母乳・ミルクは必要ではなくなります。しかし、特に母乳はスキンシップや、飲むことが赤ちゃんの気持ちの安定につながるという効果もあるため、無理にやめさせる必要はありません。
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