専門医に聞く!子育てお悩みQ&A
2025.05.29 New
#発育・発達 #赤ちゃんのお世話
赤ちゃんの頭の柔らかいところについてなのですが、友人から「触り方に注意しないと障がいが起きてしまう」と聞きました。シャンプーするときに普通にゴシゴシと洗っていましたが、大丈夫でしょうか?(生後2カ月)
回答した専門医
小児科医師 (医学博士)
三井 俊賢 先生
医療法人社団育心会理事長
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小児科専門医、小児科指導医。慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程を修了後、慶應義塾大学病院に勤務し、同小学校・中学校で校医としても子どもたちの健康に携わってきた。医療法人社団育心会を立ち上げ「すべては子どもの笑顔のために」という想いで、小児科の枠を超え、子どもを取り巻くさまざまな面から包括的に支える診療に日々励んでいる。現在、3人の子育てに奮闘するパパとして、親御さんの気持ちに寄り添いながら、子どもたちやご家族に安心と笑顔を届ける医療を目指している。
頭蓋骨というのは複数の骨が組み合わさってできていますが、赤ちゃんの頭蓋骨には、骨と骨の間に骨化していない結合組織の部分(すき間)があります。なかでもおでこの上の前頭部中央には一番大きなすき間があり、「大泉門:だいせんもん」と呼ばれます。これが、ご相談者さんのいう「頭の柔らかいところ」です。
大泉門は骨のすき間とはいっても、丈夫な筋膜で覆われています。多少触れたくらいで傷つくようなことはありません。手のひらでやさしくシャンプーしたり、柔らかいブラシで髪をとかしたりといった日常的な動作であれば、全く心配ありません。
どうして赤ちゃんの頭蓋骨は、大人のようにしっかり組み合わされていないのでしょうか。大泉門が存在する理由と、いつごろまで存在するのかを解説します。
大泉門はひし形をしていて、触るとプヨプヨとしているのがわかります。そのほかにもすき間は何カ所かあり、これらは出産時に赤ちゃんが産道を通るとき、頭が圧迫されて変形するゆがみを吸収する役割を果たすと考えられています。
また、赤ちゃんの脳はどんどん大きくなるので、その成長を妨げないために、骨と骨の間にゆとりが必要なのです。
頭蓋骨のすき間は月齢が上がるにつれて自然に閉じていきます。一番大きな「大泉門」も1歳半から2歳ごろまでには閉じて、手で触ってもプヨプヨとした感触が感じられなくなります。
ご相談にあるような、「大泉門を乱暴に触ったら障がいを招く」という内容には確かに語弊があり、日常生活の範囲では脳への影響を心配する必要はありません。ただし、大泉門だけでなく赤ちゃんの頭の扱いに注意が必要なのは確かです。
赤ちゃんの頭蓋骨と脳の間には、大人に比べてかなりのすき間があり、脳は頭の中でちょうど水に浮いたような状態になっています。
首がすわるまでの時期はもちろんですが、それ以降も、激しく揺さぶられたり強い衝撃を受けたりすると、まれに「頭蓋内出血」を起こし、最悪の場合、障がいが残ったり命を落としたりすることがあります。赤ちゃんを抱っこするときはしっかり首を支え、不要な衝撃をかけないようにしましょう。
大泉門には、脳の状態の異常が表れる場合があります。ここでは、大泉門に起こる心配な変化を紹介していきます。
大泉門は、やや凹んでいるのが普通です。しかし、大泉門が明らかに凹んでいるのがわかるときは、脱水を起こしている可能性があります。
加えて嘔吐や下痢があって水分がうまく摂れていないときは脱水の可能性が非常に高いでしょう。このような場合は、早急に受診しましょう。
大泉門が膨らんでいるということは、脳圧が上がっているということです。泣いたりいきんだりすると、大泉門は少し膨らみますが、頭を強く打ったあとや「髄膜炎」という病気を起こしていたりするときには、脱力した状態でも大泉門は膨らんだ状態になります。
さらにぐったりしている、嘔吐がある、顔色が悪いなどの症状がある場合は、緊急の受診が必要な可能性があります。
大泉門は1歳半から2歳ごろに閉じるのが一般的ですが、個人差が大きいため、なかには閉じるのが通常より早め、遅めの子どももいます。
ただ、かなり早く閉じてしまう場合では、頭の形や脳の成長、体の発達に影響する心配がでてきます。逆に、閉じるのが遅い場合は骨の病気や、脳圧が高くなる病気が隠れている場合もあります。
いずれにしても、健診時に医師はしっかり大泉門の様子を確認しますので、特に医師から指摘がなければ心配ないと思ってよいでしょう。万が一疑いがある場合は検査を行い、閉鎖以外の症状と合わせて診断します。
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