知りたい!教えて! 血圧!

Qなんで高血圧になるの?

A

遺伝的要因と環境要因があります。

遺伝的要因とは、生まれつきの体質です。つまり、両親や兄弟・姉妹に高血圧の人がいたら自分も高血圧になりやすい体質ということです。特に日本人は、食塩により血圧が上がりやすい人が多いことが知られています。(食塩感受性高血圧)
環境要因とは、食塩のとり過ぎ、肥満、運動不足、ストレス、大量飲酒、喫煙などの生活習慣によるものです。
遺伝的要因は自分では変えられませんが、環境要因は自分で変えることができます。生活習慣を改めて、高血圧の予防や改善につなげましょう。

pic01

Q数値がいくつだと高血圧?

A

『下の血圧が80mmHg以上』『上の血圧が120mmHg以上』のどちらかひとつでも該当すると、『正常血圧』ではありません。

2019年4月、日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン」が新しくなりました。
ガイドラインでは、高血圧をⅠ度・Ⅱ度・Ⅲ度の3段階に分け、疾病リスクとの兼ね合いで、いつどのように治療するかを医師が判断するようになっています。
正常高値血圧というのは、「高血圧の一歩手前で、注意が必要なレベル」という意味で、高血圧予備軍を指します。収縮期血圧120mmHg~129mmHg、または拡張期血圧~79mmHgが正常高値血圧に分類されます。疾病リスクが高い場合は治療の対象となります。

pic03

Qどのくらいの人が高血圧?

A

60歳を超えると、約70%が高血圧。

加齢に伴い、食塩摂取量と高血圧者割合がともに増加しています。60歳を超えると、その約70%が高血圧者という実態が報告されています。
30〜40代の高血圧は、収縮期・拡張期ともに上昇する傾向が高く、末梢血管抵抗の増加につながる恐れがあります。一方、50代以降の高血圧は、収縮期は上昇しますが、動脈硬化が進むため、拡張期は低下する傾向があります。

pic02

Q内臓脂肪と血圧は関係がある!?

A

近年の研究結果によると、関係性があることがわかってきています。
若年〜中年の男性を中心に肥満、特に内臓脂肪型肥満を伴う高血圧が増えています。
内臓脂肪は血圧を上昇させる物質を作る作用があり、そのため、内臓脂肪のため過ぎは高血圧のリスクを高める原因となることが分かってきました。
過去50年間で男女とも高血圧の有病割合は減少しましたが、肥満を伴う高血圧の有病割合は近年増加しています。高血圧予防の観点からは、減塩・節酒といった従来の対策をより強力に進めていくとともに、肥満対策を行っていくことが重要です。本研究の結果は、Journal of Atherosclerosis and Thrombosis, 2017; 24: 518-529に公表されました。(出典:公益財団法人 大阪府保健医療財団 大阪がん循環器病予防センター CIRCS研究報告 <報告>地域住民における血圧とBMIの長期的推移)

Q血圧はどうやって測るのがいいの?!

A

自分で時間を決めて、毎日、計測して習慣化しましょう。

血圧は1日の中でも値が変化するので、毎日決まった時間に測定するように心がけましょう。基本は起床後と就寝前の2回、座位で測りましょう。朝は起きて1時間以内、トイレを済ませ、食事や薬を飲む前に測りましょう。血圧値はその平均値をとりますが、測った血圧値はすべて血圧手帳などに記録しておくと血圧管理に役立ちます。下記の測定表を活用して、血圧測定を習慣にしてみませんか。
また、朝・夜以外にも、職場やその他の活動で血圧が高くなる場合があります。仕事中やストレスの多いときなども血圧を測って、血圧が良好であることを確認してください。ただし、測る時は測定条件を守りましょう。とくに、歩いたりした後ではすぐに血圧を測らず、座って1-2分間の安静を保ってから測るようにしてください。
血圧計は上腕にカフを巻くタイプを用いてください。手首に巻くタイプは、どうしても値が不正確になりがちなので注意して使ってください。現在、家庭血圧計は薬局でも家電量販店でもよいものが簡単に購入できますが、血圧計は高血圧の診断と治療に用いられる大事な医療機器です。説明書に沿って正しく利用しましょう。

出典:一般向け「高血圧ガイドライン2019」解説冊子 高血圧の話(日本高血圧学会)

pic03

Q血圧で何がわかるの?

A

様々な病気になる(なっている)可能性を知ることができます。

高血圧は、知らない間に忍び寄ってきて命を脅かすため、「サイレント キラー」とも呼ばれています。
自分の血圧が正常かどうかは、血圧を測らない限り知ることはできませんので、なるべく毎日決まった時間に血圧を測るようにしましょう。
また、せっかく早い段階で血圧の異常を発見することができても、自覚症状がないことから放置してしまう方も少なくないようです。放置すると、心肥大や脳出血、腎障害(慢性腎臓病)などを引き起こしてしまいます。
血圧の異常は体に何らかの問題が起こっている(起こり始めている)という兆候です。異常があったときには、速やかに専門医の診察を受けるようにしましょう。

pic04

Qどんな時に血圧が上がる?

A

たとえば、入浴時、しゃがみ込む時など、何気なく行っている日常動作の中で上がります。

入浴時に上がる理由

入浴時は、体温の変化が激しいので血圧の変化も急激に起こります。急激な血圧の変化は心臓や血管に負担をかける事につながりますので、高血圧の方は注意が必要です。特に、冬季の入浴の際には、“脱衣時の寒さから血管が収縮し血圧が上昇、その後お湯に入ると血管が拡張して血圧が低下”、ということが短時間に起こるために、死に至るリスクが高まります。また入浴時は、汗をかくため、体の水分が不足し、血液がドロドロ状態になり血管が詰まり易くなることがあります。入り方を工夫するだけで、血圧の変化を抑えられるので、下記のポイントを抑えて入浴しましょう。

<ポイント>
・急激な温度差は血圧を上昇させるので、脱衣所と浴室を暖めておいて温度差を作らないようにしましょう。
・熱いお湯は刺激になるので、湯加減は38~40度くらいにしましょう。
・のぼせないようにするために、入浴時間は10~15分程度にしましょう。
・入浴前後にしっかりと水分補給をしましょう。

しゃがみこむ時に上がる理由

しゃがみこむことによって、ももの部分とひざから下の部分(大腿部と下腿部)がお互いに圧迫されることで、末梢血管の血管抵抗が上昇すると共に、下肢の筋肉が緊張することによって交感神経も緊張するためノルアドレナリン(血圧を上昇させるホルモン)が分泌されるためです。

Q高血圧は一生治らないの?

A

生活習慣の改善により良くなることもあります。

生活習慣の改善、減塩に気をつけた食事、禁煙、肥満解消(内臓脂肪低減)に取り組むことにより、徐々に血圧が下がることもあります。生活習慣の見直しからはじめましょう。
ただしお薬を処方されたら自分の判断で服用をやめず、医師の指示に従いましょう。高血圧の治療は、運動療法、食事療法、必要に応じた薬物療法の3つがそろって効果を発揮します。
「高血圧治療ガイドライン」では、これまでのさまざまな研究結果をもとに、脳卒中や心筋梗塞などの脳心血管病を予防するための「降圧目標(血圧が高い人の血圧をどこまで下げるべきか)」が示されています。

pic05

監修:日本肥満予防症協会 副理事長 宮崎滋先生
1971年東京医科歯科大学医学部卒業。糖尿病、肥満症、メタボリックシンドロームの診療に従事。「よりよい特定健診・保健指導のためのスキルアップ講座」などを企画、開催。東京逓信病院外来統括部長・内科部長・副院長を経て、2012年より新山手病院・生活習慣病センター長、2015年より公益財団法人結核予防会理事・総合健診推進センター所長に就任。日本肥満学会副理事長、肥満症診療ガイドライン作成委員長等歴任。東京医科歯科大学医学部臨床教授。

Page Top