血圧を下げる方法: 運動編

まずは歩数を増やしましょう!

「運動」というと「きつい運動を長い時間やらないと意味がない」と考えてしまいがち。
消費エネルギー量を高めるためには、日々の何気ない活動で、少しずつ歩数を稼いで、1日の歩数=消費エネルギー量を高めることが大切です。
日本人の平均歩数は男性7,500歩、女性6,500歩くらい。まずは平均歩数以上を目指してみましょう。それがクリアできれば男性9,000歩、女性8,000歩、更には男女ともに1日10,000歩を目指しましょう。

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消費エネルギー量を計算!

運動や生活活動による消費エネルギー量は、「体重×運動強度×時間」で決まります。
ここでの体重は「kg」、運動強度は「メッツ」です。
1メッツとは安静状態を指しており、何もしなくても体重80kgの人は1時間に80kcalのエネルギーを消費することになります。
(計算式:80kg×1メッツ×1時間=80kcal)
座っていないで立って何かをしていれば約2メッツ、歩きながら何かをしていれば約3メッツ、ウォーキングで4メッツ、ジョギングで6メッツ、といった具合です。
例えば、いつも座っている1時間をウォーキングに換えれば240kcalの余分なエネルギーを消費したことになります。
(計算式:80kg×(4-1)メッツ×1時間=240kcal)

このように、余分に消費したエネルギーの蓄積が体脂肪減少につながるのです。体脂肪1kgを消費するには7000kcalが必要です。1日1時間のウォーキングを毎日続ければ、1ヶ月で1kg減量できる計算になります。

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血圧を下げるためには有酸素運動+筋力運動

血圧を下げるためにはどんな運動がいいのでしょうか?
米国における高血圧治療ガイドライン(Wheltonら、Hypertension 2018)では、有酸素運動と筋力運動、それぞれが有効であり、高血圧の人では収縮期血圧が4〜5mmHg、標準血圧の人でも2〜4mmHg減少することが期待されます。
頻度は週3〜5日、1回あたり30分、週90〜150分を目標にしましょう。
なお、運動強度については、自覚的に「ややきつい」と感じる程度が適切です。強度が強まると危険性が高まるので注意が必要です。

有酸素性運動

筋肉を収縮させる際のエネルギーに、酸素を使う運動
(例:ジョギング、サイクリング、水泳)

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動的レジスタンス運動

「動的筋力運動」とも呼ばれる、関節運動を伴う筋力運動
(例:スクワットを10回)

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等尺性レジスタンス運動

「等尺性筋力運動」とも呼ばれる、関節運動を伴わない筋力運動
(例:スクワットの姿勢で10秒間維持)

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監修:筑波大学体育系 准教授 中田由夫先生
2004年筑波大学大学院博士課程体育科学研究科修了。生活習慣病の予防および改善について食事と運動を中心とした行動変容から研究。2004年筑波大学大学院人間総合科学研究科助手。2007年筑波大学大学院人間総合科学研究科助教。2011年筑波大学医学医療系助教、2012年筑波大学医学医療系准教授。2018年より現職。日本健康支援学会理事長。日本運動疫学会理事。

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