赤ちゃんとママ・パパのための情報
確かに、冷えも原因の1つとして考えられます。たとえば、寒い晩に布団から転げ出て寝ていたのに気づかなかった、というような心当たりがあれば、そうかもしれませんね。でも、夜間によほど室温が下がるような環境でなければ、そのために尿量が極端に増えることはないと思います。
むしろ、寝る前に飲んだもの、食べたものの影響が考えられます。
11カ月というと、離乳食も3回になり、いろいろな食品を食べられるようになる頃ですね。ときには大人と同じものを口にしているのではないでしょうか。
夜間の尿量を調節するのは、「抗利尿ホルモン」と言って睡眠中の排尿を抑制するホルモンなのですが、このホルモンが大人と同じくらい働くようになるのは2歳頃からで、それ以前の赤ちゃんたちは、大人に比べて夜間の尿量が多いものです。もともと多いところに、さらに多くなる理由があるとしたら、夕方から夜にかけて食べたものの影響があります。
たとえば、果物や寒天などは利尿作用が高い食品です。3回目の離乳食に果物やゼリーなどを食べさせた場合、食品の持つ利尿効果によって夜間の尿量が増えることも考えられます。また、塩分が多く含まれる食品(大人のメニューからとりわけをしたときなど)を多く食べたときも、その後ナトリウム濃度を調整する働きが起きて体内の水分が引き出され、夜中のおしっこが多くなることがあります。
それ以外でも、たとえば、ふだんなら寝る前におしっこをしておむつ替えしていたのが、たまたま寝る前のおむつ替えなしで寝込んでしまったときも、夜間に排尿がずれ込み、結果的に朝のおむつが重くなるほど排尿していることもあるでしょう。
このように冷えだけが原因ではないということも知っておくといいですね。この頃の赤ちゃんはよく夜中に布団から飛び出すので心配になってしまったのかもしれませんが、いろいろな理由でおしっこの量も変わるものなのです。
医学博士、日本小児科学会認定医、子どもの心相談医。1987年筑波大学卒。1994年筑波大学大学院博士課程修了筑波大附属病院、(株)日立製作所水戸総合病院、茨城県立こども病院で研修。1996年4月より現職。
夜中のおしっこの量がびっくりするくらい多いときがあります。体が冷えてしまっているのでしょうか。
(noboko 11カ月)