くらしの現場レポート

コミュニティを大事に助け合う
家族も地域も支える地方のシニアたち

2018.12.11  |  高齢社会、グローカル

【くらしの現場レポート】コミュニティを大事に助け合う 家族も地域も支える地方のシニアたち

地方に暮らす人々の日々の生活について、2015年から継続して話を聞いています。2016年に報告した、くらしの現場レポート『「見えるつながり」を大切に 家族と地域のおもいを引き継ぐ学生たち』に続き、今回は、元気に暮らす地方のシニアたちにお話をうかがいました。そこには家族や地域のコミュニティを支える姿がありました。

日頃から、子ども世代の頼りになる存在

今回訪れたエリアのシニア世代は、自らの生活に加え、彼らの子ども世代の日常を支えながら暮らしていました。

自分たちもかつて、親世代に助けてもらった経験から、同居・別居にかかわらず、共働きの息子や娘世帯の食事の支度や洗濯、孫の送り迎えなどを当たり前のように自分の役割としてこなしていました。子ども世代からは、感謝され、そして頼りにされる存在になっていました。ときには親子の間で面倒なことがあっても、日々会話を交わし、一緒の時間を過ごし、お互いに家事や暮らしの情報をやり取りしながら、深く関わり合い、支え合って暮らしていました。
※日立市、福井市、長野市、福知山市、豊岡市、鳥取市、八頭町、日南市

日頃から、子ども世代の頼りになる存在

近居の息子家族の分も買い物をして、洗濯物も取り込んで畳んでおく。おかずも一品作って持参したりしている。
(日南市・81歳・女性)

隣に住む娘の子どもが、学校帰りに毎日のように来るので面倒をみている。
(日南市・72歳・男性)

チラシを見て買い物をする。特売品があると、娘と連絡をとりながら買ってあげたり、もらったり。
(豊岡市・70歳・男性)

シニアの深いつながりが地域コミュニティを支える

家族を支えるだけでなく、行事をはじめ、民生委員、自治会、婦人会など、地域の活動の中心にいるのもシニア世代でした。

町内会での旅行を企画したり、その地域で受け継がれ伝統文化となっている踊りを小学校に教えに行ったりと幅広く活躍していました。世代を超えて人々とつながり、地域コミュニティを支える役割を担っているようです。

買い物をするときも「地域にお金を落としたいから」と、近場や知り合いの店で購入するなど、地域へのおもいが感じられました。そうした見知ったつきあいのなかで「人に会わない日はないから、毎日お化粧をする」と、髪型やおしゃれを楽しみながら、身だしなみに気をつかう姿もみられました。

シニアの深いつながりが地域コミュニティを支える

七夕には60人が集まって焼酎やお団子を持ち寄る。ミニバレーボールには、3世代で参加している人もいる。
(日南市・76歳・男性)

夫は自治会長や神社の係、役員など、さまざまな地区の役割をこなしている。
(長野市・62歳・女性)

旅行に行くときは近所へ声を掛け合う。90歳のおばあちゃんからの声掛けは、自分の方が見守られている感覚になったりもする。
(福井市・75歳・女性)

深いつながりを大切に、今できることで支え合う

少子高齢化や過疎化、特に地方では交通手段の減少など、深刻な社会問題があります。現在、経済産業省では買物弱者の問題解決に向けて「買物弱者応援マニュアル」を公開し、民間事業者、地方自治体と住民が相互連携できるよう普及活動をおこなっています。

調査したエリアでも、シニア世代は地域の過疎化や買い物問題など、この先の生活の不便や不安を意識して過ごしていました。「これから先、車の運転ができなくなったら、みんなで一緒にタクシーに乗って買い物に行こうね」と話し合った、という声もありました。また、メイク品を共同で購入するなど、今できることで協力し合っていました。「気が合う人と仲が良いのは当たり前。気が合わない人とも仲良くすることが大事」と支え合い、コミュニティを大切にして、深くつながり合う様子がみられました。

内閣府の『近所づきあいに関する調査』データでも、大都市に比べ「親しくつきあっている」割合が高くなっています。

■近所づきあいの程度

近所づきあいの程度

※画像をクリックすると拡大してご覧いただけます。

つながり合って生きる暮らしに学ぶこと

家族をサポートするだけでなく、自分たちの住む地域においても今の暮らしを続けていけるように、コミュニティの活動をうまく回そうとがんばるシニア世代。
そうした役割を持ち続け、日々コミュニケーションを交わし合うことが、元気に過ごせる力の源になっているようでした。これから先、買い物や移動で不便なこともあるだろうと感じながらも、今自分たちにできることをやり、自分たちで解決していこうというおもいが感じられました。

そんなシニア世代の暮らしに対する前向きなおもいや、次世代を支え暮らしをつないでいく姿は、こころ豊かな毎日に大切なことは何かを考えさせてくれます。

調査概要

「地方のくらし研究 シニア世代の人づきあい・買物・情報について」
◎2015年3月~2018年2月/家庭訪問インタビュー/茨城県日立市、福井県福井市、長野県長野市、京都府福知山市、兵庫県豊岡市、鳥取県鳥取市、鳥取県八頭町、宮崎県日南市在住/13世帯(22人)

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