2022.10.04

メンズメイクで自己表現
きれいな肌になりたい20代の美容男子

大手百貨店ではメンズメイクのコーナーが展開され、SNSでも男性によるメイクに関する投稿が増えるなど、若い男性の間では、スキンケアだけでなくメイクへの関心が高まってきています。美肌を求め、印象を良くして自信を付けたい、さらにメンズメイクを自己表現の一つと捉える男性もいます。そんな、メンズメイクを日常的に取り入れている首都圏の「20代の美容男子」(メイク男子)を紹介します。

「美肌」にこだわる20代男性のおもい

ここ数年、「美肌」に関心のある若い男性が増えています。『くらしの研究』では、2014年に、20代男性の約半数が周囲に好印象を与えるよう身だしなみやスキンケアで肌を整えるレポートを公開しました。​

今回、美容や身だしなみについて聞いた調査で、2012年と2020年を比較すると、「顔の素肌をきれいにしたい」(+12%)、「体の肌をきれいにしたい」(+16%)がいずれも10%以上高くなっています。
同じ美容・身だしなみでも、「髪をきれいにしたい」(+8%)や「新しい髪型を試したい」(+1%)など、髪への関心よりも、美肌への関心の方が高く、変化してきていることがわかります。

美容・身だしなみのグラフ 2012年9月 首都圏在住20代未婚男性 174人 2020年9月 首都圏在住20代未婚男性 161人 (花王 生活者情報開発部調べ)

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その背景として、20代男性のおしゃれや身だしなみに気を配る理由を見てみると、2020年の調査で、「エチケット・気遣いとして」(46%)、「かっこいいと思われたい」(35%)、「不快な気持ちを与えたくない」(31%)といった周囲への気遣いや願望に次いで、「自分に自信を持ちたい」(24%)、「健康的に見せたい」(23%)、「楽しいから」(22%)、「個性を表現したい」(21%)など、自分の気持ちや自己表現の一つとして捉える、若者のおもいをうかがい知ることができます。

おしゃれや身だしなみに気を配る理由のグラフ 首都圏在住20代未婚男性 おしゃれ・身だしなみを気にする102人 (2020年9月 花王 生活者情報開発部調べ)

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小さいながらも急成長するメンズメイク市場

一方、男性購入の化粧品市場は、 2016年と2021年を比較すると109%の伸び、コロナ禍である前年比でも105%と拡大。メイク品に関しては、市場規模はまだまだ小さいものの、2016年(6億円)から2021年(13億円)では215%と最も伸長しています。

男性の化粧品市場は、今後も成長が見込まれることから、有名百貨店やコスメ専門店、通販では専用コーナーを設置、美容雑誌やYouTubeなどでもメンズメイクの特集がたびたび組まれるようになり、関心の高さがうかがえます。

男性購入の化粧品市場規模の推移(カテゴリー別)のグラフ ※インテージSCI(15-69歳)花王定義化粧品市場 2016年1月~2021年12月(金額ベース) ※本人使用目的のみ。代理購買などの他人使用は除く。

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「20代メイク男子」の登場

このように、メイク品の購買や関心が高まる中、首都圏在住20代男性に調査すると、およそ9%の男性にメイク経験がありました。

メイク経験者のうち、現在もメイクを継続している「20代メイク男子」について、まだ少数派ながら、彼らがどんなおもいで何を求め、どのようにメイクをしているのか、調査の結果から紹介します。

メイク品の使用経験のグラフ ※日焼け止め・リップクリーム(色の有無問わず)を除く 首都圏在住20代男性 5,567人  (2021年11月 花王 生活者情報開発部調べ)

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メンズメイクは「肌悩み」や「サークル活動」がきっかけ

メイクを始めたきっかけは、主に、ニキビや肌荒れなど肌悩みを隠すため、そして、学校のイベントやサークル活動でメイクをしたことから興味を持ったとの声が聞かれました。

周囲に「印象良く、清潔感があるように見せたい」、「不快なおもいをさせたくない」というおもいから、ニキビや毛穴を隠すためにコンシーラーやBBクリームなどを使い始めたようです。

高校生のとき、ニキビを消すためにコンシーラーを使った。その後、学校のイベントでメイクをしたことがきっかけでメイクに興味を持った。 (20歳)

肌荒れがコンプレックスで、清潔感があるようにメイクで少しでも印象を良くしたいおもいから。ダンス仲間たちがしていて自分も始めたのであまりハードルは高くなかった。 (27歳)

「きれいな肌になりたい」だけじゃない

メイクをする理由の上位には「きれいな肌になりたい」(44%)、「人から良く見られたい」(43%)、「かっこよくなりたい」(40%)と、肌をきれいに保ち、人から良く見られたいという周囲を気にした外見重視の理由が多く挙がりました。

その一方で、メイクをすることで「気分を上げたい」(34%)、「自信を持ちたい」(33%)、「自分らしさを表現したい」(25%)、「楽しい」(23%)など、自分のためにメイクをする理由も挙がっています。

メイクをする理由のグラフ 週1回以上メイク品を使用している首都圏在住20代男性 103人  (2021年11月 花王 生活者情報開発部調べ)

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メイク男子はスキンケアもこだわる

「きれいな肌になりたい」と考えるメイク男子は、メイクをしない20代男性に比べ、スキンケア品全てにおいて使用率が高く、中でも、化粧水、乳液、クリーム、美容液の使用率は75%以上と高く、スキンケアを含めた美肌に対する意識の高さがうかがえます。

週1日以上使用しているスキンケア品のグラフ 週1回以上メイク品を使用している首都圏在住20代男性 103人 現在メイクをしていない首都圏在住20代男性 204人  (2021年11月 花王 生活者情報開発部調べ)

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ベースメイクは習慣化、次はアイメイクへ⁉

メイク男子のメイク品使用頻度は「週5日以上」が半数以上を占め、ファンデーション(49%)、BBクリーム・CCクリーム(49%)、化粧下地(46%)などベースメイク品の使用率が高い他、アイシャドウ(38%)、アイブロウ(38%)、アイライナー(34%)といった目元のメイク品も3割以上が使用しています。

メイク品の使用頻度のグラフ 週1回以上メイク品を使用している首都圏在住20代男性 103人  (2021年11月 花王 生活者情報開発部調べ)

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週1日以上使用しているメイク品のグラフ 週1回以上メイク品を使用している首都圏在住20代男性 103人  (2021年11月 花王 生活者情報開発部調べ)

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メンズメイクの情報収集に悩むメイク男子

商品の選び方や正しいメイクの情報は、初めは身近にいる彼女や母親に聞くケースが多いようです。しかし、男性の肌はヒゲや皮脂量などが女性の肌とは違うので、必ずしも女性が使用するメイク品や方法が当てはまらないこともあります。そのため、興味はあっても「自分に合う商品の選び方がわからない」(40%)、「正しいメイク方法がわからない」(35%)、「メイクについて誰に相談していいかわからない」(30%)などの悩みが挙がっており、メンズメイクに関する豊富な情報発信が求められているようです。

メンズメイクの悩みのグラフ:週1回以上メイク品を使用している首都圏在住20代男性 103人   (2021年11月 花王 生活者情報開発部調べ)

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メンズメイクは周囲にバレても構わない?

メンズメイクに関心が高まっているとは言え、まだ「メイクは女性がするもの」と言った固定概念が強く、メイク男子においても、メイクをしていることを周囲にバレたくない人と、バレてももよいと考える人の割合は半々です。

2014年の美容男子の調査では、BBクリームや、小顔ローラーなど美容アイテムを周囲の人にバレない「ナチュラルさ」を心がけ使用する美容男子を報告しましたが、今回の調査では、「時間をかけてメイクしているのに、気付かれないと悲しい」といった声も聞かれました。

メイクしていることを周りにバレたくないと思うか?のグラフ ※バレてもよい:「バレてもよい」「ややバレてもよい」の合計 バレたくない:「バレたくない」「ややバレたくない」の合計 週1回以上メイク品を使用している首都圏在住20代男性 103人   (2021年11月 花王 生活者情報開発部調べ)

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近年メンズメイクが流行っているが、未だに化粧は女性がするという風潮がある。 (21歳/学生)

やはり少しは恥ずかしいような気がします。女性からも少し奇異な目で見られそう。 (20歳/会社員)

化粧でなりたい自分になれる、自信を持てる、隠すことではない。 (25歳/ 会社員)

せっかく時間をかけてメイクしてるのに気付かれないと悲しい。 (28歳/会社員)

きれいな肌になりたい、好印象でありたいというおもいから洗顔・保湿など男性のスキンケア行動が定着し、それが一部の若者の間でメイク行動へとつながりを見せています。
さらに、メイクで「なりたい自分になる」「自信を付ける」、メイクは「自分を表現するために欠かせないものである」というおもいのメイク男子も出てきました。

女性だから男性だからと性別にこだわることなく、メイクをしたい人は思い思いにメイクを楽しみ、自分らしく楽しむ。多様化の時代ならではの選択肢が増えてきているようです。

調査概要

「生活者の意識と行動に関する調査」
◎2012年9月/インターネット調査/首都圏在住20代未婚男性/174人
◎2020年9月/インターネット調査/首都圏在住20代未婚男性/161人

「男性の美容意識と行動に関する調査」
◎2021年11月/インターネット調査/1都6県(東京、埼玉、千葉、神奈川、茨城、群馬、栃木)在住20代男性/5,567人
◎2021年11月/インターネット調査/首都圏在住20代男性/週1回以上メイクをする103人、現在メイクをしていない(メイク中止者・経験なし含む)204 人
◎2021年5~6月/インタービュー調査/首都圏在住20代未婚男性/週5日以上メイクをする3人

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