2022.11.01

40代以降の不調・イライラに要注意
知っていますか?男性の更年期

「更年期」は、女性特有のものと思っていませんか?最近は、少しずつですが、男性更年期についても語られるようになってきました。男性の更年期不調は、男性ホルモン(テストステロン)の急激な減少によって起こる、心と体のさまざまな不調のこと。

女性の更年期が閉経前後と期間が決まっているのに対し、男性には決まったサインや期間がありません。女性の場合は時期が過ぎれば落ち着きますが、男性は対処しないと長引く恐れも。加齢以外に、ストレスや運動不足、大量飲酒などの原因によっても男性ホルモンは減少しやすいと言われ、40代以降は誰にでも起こる可能性があります。男性にとっても他人事ではない更年期。今の男性はどう考え、対処しているのでしょうか。

女性だけでなく、男性にも訪れる更年期

男性ホルモンの急激な減少によって起こる男性更年期の症状は、実に多様です。女性でイメージする症状と異なるものも多くあり、「筋力の低下」や「睡眠の悩み」、「イライラする」や「憂鬱な気分」といった、心と体の両面で症状として現れます。

男性の更年期症状をセルフチェックできる「加齢男性症状調査表(AMS)」の項目をみてみると、「筋力の低下」(72%*)や「よく眠くなる、しばしば疲れを感じる」(68%*)、「関節や筋肉の痛み」(66%*)、「早朝勃起の回数の減少」(64%*)など、40~50代男性の半数以上が自覚する症状も多くありますが、加齢による症状と思われがちなことから、自分では更年期を疑いにくいのかもしれません。

*その症状が「きわめて重い」「重い」「中等度」「軽い」の合計

男女で比較すると、軽症以上が疑われる割合は約6割と同程度ですが、症状が中等・重症程度になると男性31%、女性23%とむしろ男性の割合が高いことに驚きます。女性更年期の情報は以前からある一方で、男性更年期はまだこれから。男性が更年期不調を乗り切るための情報はまだ不足気味という状況です。

項目別更年期に見られる体調変化(40~50代男性)のグラフ 40~50代男性 10,895人(2021年12月 花王 生活者情報開発部調べ)

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男女別更年期症状判定による症状レベルの分布(40~50代)のグラフ ※男性は「加齢男性症状調査票(AMS)」のセルフチェックスコアから判定 女性は「クッパーマン更年期指数」のセルフチェックスコアから判定 40~50代 男性 10,895人、女性 10,878人(2021年12月 花王 生活者情報開発部調べ)

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認めたくない、相談したくない男性たち

40~50代の更年期の向き合い方は、更年期を『やり過ごす』派(男性51%:女性44%)が多くを占めています。次いで男性に多いのが『認めたくない』派で15%(女性5%)。『ネットで調べる」派の割合は11%で女性の9%と同程度ですが、『病院に行く』は9%(女性17%)、『友人と話す』が12%(女性22%)と、受診や誰かに相談する人の割合は、どちらも女性の半数程度です。話しにくい話題であり、なるべく足を踏み入れたくないと考える男性の姿が浮かび上がっています。

インタビューでは、たとえ不調に悩んでいたとしても、生活に支障が出るまで我慢してしまったり、受診科が泌尿器科であることを知らなかったりするケースもありました。男性更年期の情報や理解が不足していることが、症状の悪化を招くことにもなりかねません。

異なる更年期への向き合い方(男女)のグラフ ※更年期でない人は「自分が更年期になったら」と想定して回答 40~50代 男性 10,895人、女性 10,878人(2021年12月 花王 生活者情報開発部調べ)

異なる更年期への向き合い方(男女)のグラフ ※更年期でない人は「自分が更年期になったら」と想定して回答 40~50代 男性 10,895人、女性 10,878人(2021年12月 花王 生活者情報開発部調べ)

異なる更年期への向き合い方(男女)のグラフ ※更年期でない人は「自分が更年期になったら」と想定して回答 40~50代 男性 10,895人、女性 10,878人(2021年12月 花王 生活者情報開発部調べ)

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加齢で体力が落ちる、頻尿になるのも寄る年波かな?って。更年期かな?って思ったら近所のかかりつけ医(内科)に行く。 (59歳男性)

怖くて調べません。自覚症状が酷いわけでもない。生活に支障がないから病院に行こうとは思わない。 (52歳男性)

指の関節のこわばりとか、筋力の低下、これは老化だから。 (66歳男性)

医者に行っても「更年期です」って言われて終わりそう。高齢者をみていると、ある程度の年齢になったら自然におさまるイメージ。 (45歳男性)

女性のようにのぼせとかイライラすることもないので、自分は違うと思う。頻尿や冷えはあるけれど、飲んでいる薬の副作用かもしれないし・・・。 (64歳男性)

世間的に「男性更年期」が定着していないのに、自分をそういう病気にくくってしまうのはずるいと感じる。 (52歳男性)

日常的なストレスは、症状の重さに影響

日常的にストレスを感じる頻度と、更年期症状の中等・重症の割合を見ると、ストレス頻度が「多い」では男性64%、女性56%、「やや多い」では男性36%、女性34%と、男女ともに、頻繁にストレスを感じている人ほど、症状が重い傾向にあります。

男性がストレスを感じる大きな原因は、「仕事上の人間関係」(54%)、「仕事の大変さ」(48%)、「将来や老後の不安」(32%)と仕事中心。年齢が上がり重責を負うことがストレスになったり、つい仕事を優先して自分の不調を後回しにしがちになったりする可能性も考えられます。

日常的にストレスを感じている頻度と症状(男女)のグラフ ※男性は「加齢男性症状調査票(AMS)」のセルフチェックスコアから判定 女性は「クッパーマン更年期指数」のセルフチェックスコアから判定  45~64歳男性 665人、40歳~59歳女性 972人(2021年12月 花王 生活者情報開発部調べ)

日常的にストレスを感じている頻度と症状(男女)のグラフ ※男性は「加齢男性症状調査票(AMS)」のセルフチェックスコアから判定 女性は「クッパーマン更年期指数」のセルフチェックスコアから判定  45~64歳男性 665人、40歳~59歳女性 972人(2021年12月 花王 生活者情報開発部調べ)

日常的にストレスを感じている頻度と症状(男女)のグラフ ※男性は「加齢男性症状調査票(AMS)」のセルフチェックスコアから判定 女性は「クッパーマン更年期指数」のセルフチェックスコアから判定  45~64歳男性 665人、40歳~59歳女性 972人(2021年12月 花王 生活者情報開発部調べ)

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ストレスの原因の図 日常的にストレスを感じている45~64歳男性 423人(2021年12月 花王 生活者情報開発部調べ)

不調を感じる男性の8割は、理解や協力を求めている

更年期を理解し、前向きに対処する男性はまだ少数派のようですが、不調であることを「誰にも知られたくない」と考える人は19%でした。

約8割の男性は、からだや心の不調について、誰かに理解や協力を求めています。その1番の相手は、「配偶者・パートナー」で64%でした。女性は、友人や母親、娘など他にもさまざまな相手がいるのに対し、男性は圧倒的に配偶者・パートナーに集中しています。

男性更年期については、知識や理解も人それぞれで、全く知らない人もいます。不調に対する悩みや対処方法などをオープンに話せる状況にないことも、男性が更年期不調になかなか向き合えない要因となっているのかもしれません。

からだや心の不調への理解や協力を望む相手の図 更年期症状のある45~64歳男性 510人(2021年12月 花王 生活者情報開発部調べ) ※更年期症状の有無は、加齢男性症状調査票(AMS)のセルフチェックスコアから判断

女性の更年期と比べると、男性の更年期についてはまだまだ知られていないのが現状です。調査からも、不調を抱える男性の数は決して少なくないのですが、その症状を更年期の影響もあると認識し、対処する人は少数派であると推測されます。

男性の更年期が起こり始める40~50代は働き盛りで、自分の体調もよほどのことでなければ後回しにする様子もうかがえます。男性の更年期不調は、40歳以降ともなれば誰にでも起こりうるもの。放っておくと重症化や、症状が長引くリスクも生じかねません。

人生100年時代の折り返しの時期に訪れる更年期は、男性にとってもこれからの人生に向けて心と体との付き合い方を見直すよいきっかけとも考えられます。そのためにも、まず男性が男性更年期について正しく知ること。そして社会全体の理解が進み、男女問わず更年期世代を支えられるようになるといいですね。

調査概要

「更年期の不調に関する意識調査」
◎2021年12月/インターネット調査/首都圏在住35~64歳男女/男性15,145人、女性15,122人

「暮らしと健康に関する意識実態調査」
◎2021年12月/インターネット調査/首都圏在住/45~64歳 男性 665人、40~59歳 女性 927人

「中高年男性の健康意識実態調査」
◎2015年3~4月/インタビュー調査/首都圏在住55~69歳男性/15人

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