くらしの現場レポート
2018.06.19 | 生活スタイル
日々の暮らしの中でどのくらい環境・エコを意識して行動をしていますか?環境・エコへの関心は、調査を始めた2008年以降、低下傾向にあります。しかし、実際に続けられている行動は多く、そのおもいを探っていくと、環境・エコ行動をこれからも前向きに進めていけるヒントがみえてきました。
ふだんしている環境・エコ行動、あらためて振り返ってみましょう。
使っていない電気をこまめに消す
LED電球を使っている
ごみはきちんと分別する
エコバッグを持ち歩く
冷暖房の設定温度を控えめにする
入浴時はシャワーをこまめに止める
洗剤やシャンプーは詰め替え用を購入する
いくつチェックが付きましたか?
環境・エコへの関心は、北海道洞爺湖サミット※がおこなわれた2008年が最も高く、東日本大震災直後に一時的に上昇しましたが、その後は低下傾向が続いています。しかし、実際には、関心の低下に比べると、節電やごみの分別、詰め替え商品の利用の実施率は、さほど低下していません。自分では「環境・エコへの関心がない」と思っている人でも、「地域のルールだから」「マナーとして」「エコもあるけど節約のため」などの理由から、行動は自然と習慣化しているようです。
※北海道洞爺湖サミット:2008年7月に北海道虻田郡洞爺湖町でおこなわれた第34回主要国首脳会議。環境・気候変動などを中心に議論された。
最近では、「温暖化」や「異常気象」などの地球環境の変化による影響を身近な問題として感じる一方で、自分ひとりの日々の行動が、果たして環境改善に結びついているのかを疑問に感じ、「行動の効果を知りたい」と思っている人が多いことがわかりました。
自分ひとりの行動がどう改善に結びつくのかわからない。冷房を1℃上げたら、1分水の流しっぱなしをやめたらなど、何をどうしたら役に立つのかがわかったら心掛ける。 (20代女性、既婚)
ごみの細かい分別を守っているつもりだが、分別されたものがどのようにリサイクル、焼却、廃棄されているのかが気になる。 (30代女性、既婚)
一人ひとりの取り組みがどの程度役に立っているのか、具体的な数値が見えないと、努力しようという気持ちもわかなくなってしまう。 (40代女性、既婚)
自分の行動がどの程度エコに役立っているのか、リサイクルや環境改善へつながっているのかの情報量が少ない。 (70代女性、既婚)
公的データによると、ひとりが1日に出すごみの量は、ごみの分別や詰め替え商品の利用などにより、この10年で約16%減少しています。リサイクルでは、ペットボトルのキャップを外す・ラベルをはがすなど、廃棄する際のひと手間が、質の高い再生品にもつながっているようです。また、家庭でのエネルギー消費量は、調理での熱効率を考えた電気・ガスの使い方やこまめな節電、さらには省エネ家電の開発・普及といった企業努力も背景にあり、10年間で約11%と着実に減少しています。このようなデータで、毎日の小さな行動の確かな効果を知ることは、これからの大きな励みになりそうです。
マナーや節約など理由はさまざまですが、ごみの分別やリサイクルなどは定着し、ひと手間増えても続けられてきた行動は効果へとつながっていました。その効果を実感できればモチベーションにもつながり、環境・エコへのおもいも行動もまだまだ広げていけそうな可能性を感じます。
環境・エコ行動は続けることが大切。環境改善にしっかり役立っていることを励みや自信に、さらに無理なく取り組んでいける環境・エコ行動をみつけながら、一緒に続けていきたいですね。
調査概要
「生活者の暮らしに関わる意識と行動」
◎2008年※、2010年、2011年※、2012年、2014年、2016年(いずれも9月)/インターネット調査、郵送調査/首都圏在住20~70代男女(※2008年、2011年は20~60代)/男性各540人、1,742人、755人、1,725人、1,672人、1,683人、女性各1,195人、1,992人、760人、1,784人、1,771人、1,774人
「生活者の環境意識と行動実態」
◎2013年6月/家庭訪問インタビュー/首都圏在住20~40代女性12人
◎2017年7月~9月/家庭訪問インタビュー/首都圏在住20〜30代女性6人
「暮らしに関するアンケート」
◎2017年11月/郵送調査/首都圏在住20~70代女性535人