くらしの現場レポート
2017.01.24 | 生活スタイル
この冬は早くからノロウイルスとインフルエンザが流行しはじめました。2月にかけては流行のピ―ク。予防としてのうがいや手洗いの意識が高まる時期です。キッチンの菌の汚染実態から、意外に見過ごされている家庭で気を付けたいポイントがみえてきました。
家の中の拭取り検査では、多くの家庭でキッチンはトイレより菌の汚染度が高いことがわかりました。家族のだれもが触れる水道の「蛇口の取っ手」や「手拭きタオル」からは、大腸菌群や酵母、カビなどが多く検出され、中には排水口のふちと大差ない汚染状況の家庭もありました。
(CFU:コロニーの数)
2016年4~6月 家庭訪問による拭取り調査 42軒 (花王 生活者研究センター調べ)
※画像をクリックすると拡大してご覧いただけます。
今回、生菌数の目安として、少ない(103CFU未満)、やや多い(103以上~105CFU未満)、多い(105CFU以上)を文献等※を参考に設定しました。単位は拭取り検体あたり(CFU/10ml)。
※Ojima, M., et al. "Hygiene measures considering actual distributions of microorganisms in Japanese households." Journal of Applied Microbiology 93.5 (2002): 800-809.
日ごろからキッチンの衛生に気をつけていても、菌が多く検出された水道の蛇口の取っ手の掃除は意識していない家庭が多く、手拭きタオルについても毎日取り換える必要を感じていないことがわかりました。キッチンの蛇口の取っ手掃除について、20~60代の既婚女性1,000人に、使っている洗剤を聞いてみると、半数近くの人が、「わからない」、1割以上の人が「洗剤類は使っていない」と回答し、手拭きタオルの洗濯頻度は、4割の人が毎日洗濯していませんでした。
調理行動を調べてみると、生肉を扱った手で水道の蛇口の取っ手に触れたり、水で洗っただけの手を手拭きタオルで拭くケースが多くみられました。調理中の手の汚れや、手が触れた場所の汚れに対して、あまり意識されていないようでした。蛇口の取っ手や手拭きタオルが媒介となって、菌の汚染が広がることも十分考えられます。
今まで見落としていたところを清潔に保つことは、家族の健康管理に繋がります。せっかく適切な手洗いをしても、水道の蛇口の取っ手や手拭きタオルが汚れていては台なしです。家族みんなが使う水道の蛇口の取っ手や手拭きタオルはもちろん、台ふきんや冷蔵庫の取っ手など、きちんと掃除できているか見直してみませんか。
調査概要
「家庭内の衛生環境調査」
◎2016年4~6月/インタビュー調査と拭取り検査/首都圏在住30~60代既婚女性/14人
◎2016年6月/拭取り検査/首都圏在住30~60代既婚女性/30人
「調理行動中の手洗い実態調査」
◎2016年10月/調理時の行動観察/首都圏在住30代、50代既婚女性/8人
「掃除に関するアンケート」
◎2016年7月/インターネット調査/首都圏在住20~60代既婚女性/1,000人
「家事(洗濯)に関する調査」
◎2016年7月/インターネット調査/首都圏在住20~60代/1,000人