達人コラム

日中コミュニケーション株式会社 取締役 可越さん
相互理解はコミュニケーションを楽しむことから

2017.02.21 | グローカル

【達人コラム】日中コミュニケーション株式会社 取締役/可越さん

日本で暮らす外国人の中で一番多い中国人。そして、日本を訪れる中国からの観光客も年間約500万人となり、今、いちばん身近な外国人といえます。今回は、ご本人も学生時代から日本で暮らし、現在は中国と日本の文化の架け橋となる仕事をされている可越さんに、ご自身の体験や日本へのおもいをうかがいました。

在日歴22年。日本の効率のいい家事をもっと取り入れたい!

日本へ来たきっかけは、母に日本での就学をすすめられたことです。祖父が仕事で日本に長く暮らしていたこともあって、母は日本に特別な思いをもっていたようです。そんな縁があり、大学を卒業してすぐに日本の大学院へ留学、そして日本で就職、結婚。日本で暮らしてもう22年になります。仕事と家事、子育ての両立に忙しい毎日ですね。

くらしの現場レポート:日本で生活する中国人の暮らし方 中国の習慣に日本の便利さを取り入れる』の在日中国人の家事について、とても興味深いと思いました。中国に住んでいた頃は、父が床掃除の担当で「床は必ずきれいにする」ということを習慣として教わりました。中国では一種類の洗剤を家中のいろいろなところで使いますが、日本の洗剤は種類が多く、機能も優れ、場所や汚れに応じて使い分けができるのがとても便利だと思います。でもまだまだ上手に洗剤など使いこなせていないので、働く女性としても、もっと効率的な家事を勉強したいです。ママ同士の友好にもなるので、家事を教えてもらえる機会がほしいと思っています。

可越さん

家事と子育てをとおして感じた日本流の魅力

日本に来て印象的だったのは、家事の多くを女性がやっていたこと。中国では男女で家事を分担するのが当たり前だったので驚きました。だからこそ、機能のいいものが求められてきたのだと思います。いかに効率よく家事ができるかという日本の女性たちの厳しい目が機能の優れた製品を育て、日本の生活が着々と向上してきたのだと感じています。中国の人は電気製品はもちろん、そういうライフスタイルの良さも求めて、日本を訪れるのだと思います。

また、子育てでは幼い頃から自立精神を育んでいるのが良いと思いました。例えば、日本の保育園では2歳児でも一人で靴を履かせますし、連絡帳も自分で先生に渡すように教えています。我が家でも積極的に子どもに一人で自分のことができるようにさせています。教育環境の面でもしっかりしていますし、先生方の教え方もとても上手で、私自身も子育てを通してたくさんのことを教えてもらっています。

お互いの良さに触れ合える機会を増やそう

学生時代から「身近な日本を中国へ伝えよう、そして身近な中国を日本へ伝えよう」と考え、インターネットの映像番組などを制作していました。今も、その使命感をもって日中のコミュニケーションに関わる仕事をしていますが、やはりまだコミュニケーションが足りていないと感じます。

お互い違う国ですから、文化のバックグラウンドが違うのは当然です。そのうえで習慣や文化を理解しようという気持ちがとても大切です。ですから、もっと日本の人に中国を訪れてほしいですね。足を運んで、料理を食べて、その雰囲気を感じて、できればホームステイしてほしいくらいです。それが無理でも、せめて日本に観光で来た外国人と、もっとコミュニケーションをとってほしいと思います。

私も日本に来た当初、日本にはどんな習慣があるのか、日本人はどのような考え方をするのかなど、とにかく恥ずかしがらずに聞くことからスタートしました。話してみると、日本の人はとても優しく熱心に話してくれます。日本人はまだ外国人に接することに慣れていない、苦手なだけだと感じます。私が日本の魅力を知ったのと同じように、日本の人も中国の良さに触れて欲しいと思います。観光で来日する中国人も私たち日本に暮らす中国人も日本人と触れ合う機会を増やして、お互いの良さをわかり合うことこそが、いっそうの友好へとつながっていくと思っています。

可越さん

グローバルなコミュニケーションを楽しむ。それが第一歩

よく講演などでも話すのですが、長く日本で暮らして感じたこと、それは「日本の魅力はなんといっても日本人」ということです。人が最大の魅力です。外国人がわざわざ日本に来るのは、日本の文化を知りたいだけでなく、日本人に会いに来ているのです。

これから2020年のオリンピック・パラリンピックに向けて、さらに多くの外国人を迎え入れることになるでしょう。外国の人たちは日本を理解したくて訪れます。日本の方にもちょっと勇気を出して、彼らと理解しあえるようなコミュニケーションをもっと楽しんでもらいたいです。

Profile

日中コミュニケーション株式会社 取締役 可 越(か・えつ)さん

日中コミュニケーション株式会社 取締役
可越(かえつ)さん

94年に中国吉林大学を卒業し来日。東京大学、埼玉大学、両大学院修士号取得。(株)電通勤務、米国コロンビア大学留学を経て、2004年日中コミュニケーション株式会社を設立。国土交通省「ビジット・ジャパン・キャンペーン」、観光庁「観光おもてなし研究会」委員など歴任、日本の大手企業の中国向けPRコンサルティング、各地方の観光コンサルティングを行う。2012年雑誌「AERA」の「アエラが選ぶ 日本を立て直す100人」に選ばれた。共著「PR視点のインバウンド戦略」。

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