達人コラム

医学博士 鈴木眞理先生
苦手なことだけに向き合わず、得意な面を伸ばして

2014.04.01 | 若者

【達人コラム】医学博士 鈴木眞理先生

女性の社会進出が進む現代。ひと昔前は、良妻賢母のはっきりしたモデルがあり、それになれば満点でしたが、今ではそれを上回る努力を強いられるようになっています。がむしゃらに頑張っている若い女性にストレスがたまるのも当たり前です。そこで今回は、政策研究大学院大学で摂食障害について研究を行っている鈴木眞理先生から、若い女性が心身ともに健康でいるための秘訣をお聞きしました。

最近の若い女性、先生の目にはどのように映っていますか?

真面目で努力家の方がたくさんいらっしゃる、という印象です。プロポーション、ヘアスタイル、服装といった表面的な美しさだけでなく、コミュニケーション能力、キャリア、人脈にまで気を使っているように見受けられます。こうした自分の価値を高めるための努力は素晴らしいと思う反面、他人からの評価を気にし過ぎて、疲れきっている様子もうかがえます。

その根底にあるのは、メディアで紹介される「前向きで仕事ができる自信にあふれた女性像」にあこがれるものの自分はできていないという「自信のなさ」です。職場では、できていないことは厳しくとがめられますができていることは「当然」とばかりに褒められません。他人からの良い評価がないので、ますます不安になって、さらに頑張る。若い頃は実は自信があるほうが稀で、普通は不安と失敗の連続です。かわいそうだと思いますね。

とくにどんなところが問題だと思われますか?

健康面に限ると、「痩せている=美しい」と思い込んでいる方が多いこと。これは大変危険なことだと考えています。過酷なダイエットは自律神経の不調、月経異常、骨粗鬆症など体の不調をきたすだけでなく、思考や感情にも影響します。小さなことでクヨクヨしたりイライラしたりと、心もむしばんでいきます。眠るのにもエネルギーを要しますから、脳に十分な糖分が行かないと、夜も熟睡できません。これでは疲労も解消できないでしょう。

元気になるための秘訣を教えてください!

鈴木眞理先生

自分の体と心が快適でいられるように自分自身が調整するという意識が必要です。低血圧、月経痛、冷え症などがあっても、夜更かし、乱れた食生活、運動不足、薄着など自律神経や痛みに悪い生活を改めない方が多いのが実情です。勉強や仕事で無理をせざるをえませんが、自分の体に合った体調維持や回復の工夫を持っておくといいでしょう。早寝早起き、軽い運動(抗うつ効果もあります)、アロマセラピー、マッサージなど体にご褒美を自分であげて充電するという知恵を持ってほしいです。体が楽になれば、心の余裕も生まれます。心がつらい時にも自分なりのケアの方法を持っておくといいでしょう。

ダイエットは他に大きなストレスがない時に、科学的に安全な目標と方法で始めるべきです。ダイエットもストレスですから、失恋などのストレスがあるときに始めるとつらい気持ちからの逃避方法になり、100gの数字にもこだわって病的になりやすいのです。痩せようという目的で長風呂するのではなく、少しぜいたくな入浴剤を使って新しい香りをゆっくり楽しむ時間にすると、体、心、脳のリフレッシュになり、やせ以上の効果が得られます。

最後に、若い女性のみなさんにメッセージをお願いします

美も健康も長いスパンで考えていくことが大切です。骨粗鬆症の予防はすでに思春期に始まっています。10年後も健康でいるためにはどのような食生活を送ればいいのか、元気な赤ちゃんを産むためにはどれくらいの体重が適正なのか。将来を見据えて、ご自分の心と体の健康に向き合っていただきたいですね。

若い人は発展途上なので自信がないのが当たり前だと受け止めて、周囲に教えを乞うことを躊躇しないでほしいです。また、苦手より得意を伸ばすことが近道だと知ってほしいです。コミュニケーションに苦手意識のある方がすぐに社交的にはなれません。その苦手は、実は慎重や正直という美徳かもしれません。コミュニケーション上手になろうと真正面から取り組むのではなく、得意な、あるいは、好きな面を伸ばして、その話題を提供したり、生き生きと見えたりすることでコミュニケーションがスムーズにもなることもあります。得意を伸ばして内容の豊富な人になるほうが自信の近道でないかと伝えたいです。

Profile

医学博士 鈴木眞理(すずきまり)先生

医学博士
鈴木眞理(すずきまり)先生

政策研究大学院大学保健管理センター教授。1954年生まれ。山口県防府市出身。長崎大学医学部卒業後、東京女子医科大学の研修医を経て、米国ソーク研究所神経内科分泌部門に留学。内科専門医、内分泌内科専門医で、ストレスと脳内ホルモンの関係に興味を持ち、摂食障害の治療と病態の研究に従事。1987年から開設した摂食障害外来の登録患者数は1,500名に及び、家族会を主催し、厚生労働省研究班の班員として活動。2002年より現職。

\ 読者から寄せられた感想 /

10年後も健康でいるための食生活という言葉をみて、今の食生活を改善しなければいけないと改めて思いました。
(28歳・女性)
 

骨粗鬆症の予防は思春期から始まっているとは思いませんでした。今の見た目のためではなく、将来の健康のために色々気遣って生活しようと思います。
(33歳・女性)
 

「苦手なことに真正面に向き合わなくても、得意な面を伸ばして」という先生のアドバイスが優しくて、ちょっと泣きそうです。
(37歳・女性)

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