何処に置くべき？
ポータブルトイレのニオイ対策

ご高齢者にとって自分の力でトイレまで移動し排泄を行うことは、身体機能の維持や寝たきりになることを防ぐためにも重要なことです。ベッドのそばや寝室などに設置することができるポータブルトイレは、介護が必要なご高齢者の排泄の自立を支援する心強い味方ですが、その一方で排泄物のニオイが気になるという声も多く聞かれます。
今回は、在宅介護でポータブルトイレを快適に使用するための、ニオイ対策について詳しくご紹介していきます。

ご高齢者の排泄の自立をサポートする「ポータブルトイレ」は、特定福祉用具に指定されていて、要介護認定を受けている方であれば実際の価格の1〜2割程度の負担で購入することができます。介護を担うご家族の負担軽減にも大いに役立つため、寝室からトイレまでの距離がある場合や、夜間にトイレへ行く回数が多い場合などでは、設置を検討してみてはいかがでしょうか。

ただし、室内にポータブルトイレを設置するにあたっては、気をつけなくてはいけないこともあります。それは、「ニオイ」の問題です。

一般的なポータブルトイレは、水を使わないバケツ汲み取り式のものが多く、使用しているうちに排泄物のニオイがしみついて取れなくなってしまうことがあります。そのまま放置すると、室内にニオイがこもってしまうため、要介護者だけでなく一緒に暮らす家族にとっても決して気持ちの良いものではありません。排泄というのは介護を受ける側にとっては大変デリケートな部分ですので、尊厳を傷つけてしまうことがないように、ポータブルトイレのニオイの問題に対しては、介護をするご家族の細やかな心配りが必要なのです。

寝室などに設置することができるポータブルトイレは、長い期間使用しているとニオイが染み付いてしまい、室内の悪臭の原因となってしまうこともあります。排泄物のニオイは、介護を受けているご高齢者の尊厳を傷つけてしまうだけでなく、一緒に生活している家族の気持ちを滅入らせてしまうこともあり、ニオイが及ぼす影響というのは決して少なくはありません。

では、実際にポータブルトイレを使用する場合、どのような点に気を付けたら良いのでしょうか。ポータブルトイレのニオイを軽減するためにできる対策について、そのポイントを詳しくみていきましょう。

排泄物は時間が経過すればするほどニオイが強くなるため、ポータブルトイレを使用する際にはできるだけこまめに掃除をすることが大切です。特に水を使わないバケツ汲み取り式のタイプは、使い続けるうちに排泄物のニオイがプラスチック製のバケツにしみついて取れにくくなってしまいます。介護をする側にとっては大変な作業ではありますが、ポータブルトイレのバケツ内に溜まった排泄物はその都度トイレに流し、トイレ用ブラシと洗剤を使ってきれいに洗いましょう。

トイレ用洗剤は、尿臭や便臭をしっかり取り除き、汚れをつきにくくしてくれるタイプのものがおすすめです。なお、雑菌は湿ったところで繁殖しやすいため、ポータブルトイレのバケツを掃除した後は、外に干すなどしてしっかりと乾燥させることで、さらにニオイを抑えることができます。

ポータブルトイレのバケツはその多くがプラスチック製で、排泄物がついてしまうと掃除をするのが大変です。そこでおすすめなのが、ポータブルトイレのバケツ内にあらかじめ少量の水とトイレットペーパーを入れておくという方法。こうすることで、排泄物が直接バケツに付着するのを防ぐことができるだけでなく、ニオイを軽減することもできます。少量の水を入れておくことで使用後もトイレに捨てやすくなり、掃除の負担も減らすことが可能です。

ポータブルトイレをベッドのそばや寝室に設置する場合には、空気清浄機を併用することもニオイ対策として効果的です。また、室内に排泄物のニオイがこもらないよう、こまめに換気することを心がけましょう。ポータブルトイレを使用する際に少し窓を開けておくだけでも効果がありますし、お天気の良い日には窓を開けて空気の入れ替えをすることもおすすめです。

梅雨の時期や冬場などのように室内の換気が思うようにできない時には、消臭剤の使用もおすすめです。消臭剤にはさまざまな種類がありますが、一般向けの芳香剤などでは排泄物のニオイを消すことはできません。ポータブルトイレのニオイ対策には、尿臭や便臭を消す効果の高い消臭剤や、介護用の消臭剤などを選びましょう。