
2025.12.17 New
#授乳 #赤ちゃんのお世話 #発育・発達
赤ちゃんのお世話の中でも、離乳食はいろいろな考え方があるため、ママ・パパを悩ませがちなテーマの1つといえるでしょう。これから始める人も、すでに始めている人も、それぞれの時期ごとにきっと多かれ少なかれ悩みや疑問を抱えているはず。
そこで、この記事ではスタンダードな方法をベースに、各時期の進め方や重要なポイント、悩み・疑問への対策を紹介していきます。
監修した専門医

小児科医師 (医学博士)
三井 俊賢 先生
医療法人社団育心会理事長
プロフィールを読む
小児科専門医、小児科指導医。慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程を修了後、慶應義塾大学病院に勤務し、同小学校・中学校で校医としても子どもたちの健康に携わってきた。医療法人社団育心会を立ち上げ「すべては子どもの笑顔のために」という想いで、小児科の枠を超え、子どもを取り巻くさまざまな面から包括的に支える診療に日々励んでいる。現在、3人の子育てに奮闘するパパとして、親御さんの気持ちに寄り添いながら、子どもたちやご家族に安心と笑顔を届ける医療を目指している。

離乳食デビューは、一般的に生後5〜6カ月ごろが目安とされています。ただし、「5カ月に入ったらすぐ」と月齢で考えず、以下のサインが見られるようになったら始めていくのがよいでしょう。
上記すべてができなくても大丈夫です。もっとも重要なのは「スプーンなどを口に入れても舌で押し出すことが少なくなる」ことです。これは、形のあるものが口に入ったとき、舌で押し出す反射的な動きがあると、離乳食を進めにくいためです。
また、よだれの量が増えて消化機能が発達していること、食べることに興味を持っていること、授乳間隔があいてリズムができていることも、離乳食を進めやすくなるポイントです。
「離乳食を早く始めると食物アレルギーになりやすい」「離乳食を早く始めると内臓に負担がかかる」といった情報が飛び交っていることで、始める時期に悩むママ・パパは多いかもしれません。しかし、これらはかなり古い情報といえるでしょう。
近年では、食物アレルギーを起こしやすいといわれる食材は、遅く始めるほうが発症リスクが高まることがわかっています。また、内臓機能は適切な時期から母乳やミルク以外の食材を食べさせることで、発達が促されることもわかっています。
ほかにも、生後5〜6カ月ごろの適切な時期に離乳食を始めるメリットには、以下のようなものがあります。
早く始めすぎるのもよくないですが、適切な時期より遅く始めることにも多くのデメリットがあることを知っておきましょう。

離乳食というと、決まりごとがたくさんありそうで不安になるママ・パパもいるかもしれません。でも、細かいことは気にしすぎず、必要なことを大まかに知っておけば大丈夫です。
離乳食は1歳6カ月ごろに完了させて、そのあと幼児食に移行することを目指して進めていきます。乳歯の生え具合や口腔の発達、その他の発達を加味して、4段階に分けて食べさせ方や食材の固さなどに目安が設けられています。
ただし、それぞれあくまでも目安なので、あまり月齢にこだわらず、実際の食べ方を見ながら進め方を調整していきます。
初日は、離乳食用のスプーンに1さじ、つぶしがゆ(10倍がゆをつぶしたおかゆ)から始めます。最初はうまく飲み込めなくてほとんど口から出てしまっても、まったく問題ありません。逆に食欲旺盛で、もっと食べたいそぶりを見せる子もいるでしょう。
でも、最初の日は1さじで終わりにしましょう。そのあと、母乳やミルクをいつものように飲ませます。
2日目以降はおかゆを1さじずつ増やし、加えてにんじん、かぼちゃ、さつまいも、ほうれん草、ブロッコリーなどのくせのない野菜や根菜類を1さじから食べさせて、毎日1さじずつ増やしていきます。
1食材を2~3さじまで食べられたらほかの食材に替えて進めていきます。3週目からはおかゆ、野菜類に加え、加熱した豆腐、白身魚、卵黄を1さじから始めます。
この時期は食べることに慣れさせる時期なので、量はあまり気にしなくて大丈夫です。たくさんあげすぎず、1回につき主食(おかゆ)小さじ6、主菜小さじ2、副菜小さじ4ぐらいまでにとどめておきます。
離乳食を始めて1カ月くらい経過し、赤ちゃんがなめらかなおかゆや野菜類、たんぱく質食材を上手にゴックンができるようになったら次のステップに進めます。生後7カ月になっても、ゴックンと飲み込めていない、食材の種類が増えないというときはあわてずに初期のメニューをもう少し繰り返しましょう。
中期の進め方は、食材を粒のある状態にするところから始めます。おかゆを7倍がゆにし、粒が大きければ少しつぶします。野菜などはみじん切りにして、豆腐ぐらいのやわらかさにします。
中期では、上あごと舌で食材をつぶして飲み込めるようになることが目標です。丸飲みしていたり、粒が嫌で食べられなかったりするときは、もう少しやわらかくする・片栗粉でとろみをつけるなどして、赤ちゃんがつぶしやすく飲み込みやすくしましょう。
離乳中期の離乳食を2カ月くらい続け、赤ちゃんが豆腐くらいのやわらかさの食材が食べられるようになったら、次のステップに進めます。ここで離乳食が1日3回になるので、できれば家族一緒に食事をするようにしていきます。
後期では、やや固さのある食材を歯ぐきでつぶして食べることを練習します。固さはバナナくらいが目安です。モグモグしながら食べているかどうか確認しましょう。
また、生後9カ月くらいになると手で食材を持って前歯でかじり取って食べられるようになります。やわらかくゆでたスティック野菜などを用意して、手づかみ食べの練習もさせましょう。
離乳後期の離乳食を3カ月ぐらい続け、赤ちゃんがバナナくらいの固さの食材が食べられるようになり、1日3回離乳食を食べることが習慣になったら、次のステップに進めましょう。
離乳完了期では、やわらかい肉だんごくらいの固さの食材を、奥の歯ぐきでかみつぶして食べる練習をします。また、自分で食べる楽しさも味わわせたい時期です。手づかみ食べをたくさんさせて、自分で上手に食べられるようにしていきましょう。

離乳食が始まったら、母乳・ミルクの量はどのように加減していったらよいのか悩むママ・パパも多いでしょう。この段落では、離乳食の段階ごとの母乳・ミルクの目安を紹介します。赤ちゃんの食べる量や成長の様子によって授乳の量は多少異なるので、赤ちゃんに合わせて調整してください。
離乳初期は食べることに慣れさせる時期で、離乳食で栄養を摂るまでには至っていません。そのため、授乳量は離乳食を始める前と同様でかまいません。ただし、母乳もミルクも離乳食のあとに授乳するのが基本です。
完全母乳
3~4時間おき、離乳食後を含め1日6~8回程度の授乳が目安です。赤ちゃんが欲しがるだけ飲ませます。
混合栄養
3~4時間おき、離乳食後を含め1日5~8回程度の授乳が目安です。赤ちゃんが欲しがるだけ母乳を飲ませたあと、ミルクを飲ませます。ミルクの量は1回200ml以内を目安にします。
完全ミルク
1回200~240ml、離乳食後のほかに1日4回(計5回)の授乳が一般的です。1日トータルで1000~1200mlを目安にしましょう。
離乳中期になると、1日2回の離乳食からある程度栄養を摂るようになります。そこで、ミルクは多少少なめにしていきます。
完全母乳
離乳食後を含め1日6~7回程度の授乳が目安です。赤ちゃんが欲しがるだけ飲ませます。
混合栄養
離乳食後を含め1日5~7回程度の授乳が目安です。赤ちゃんが欲しがるだけ母乳を飲ませて、そのあとミルクを飲ませます。ミルクの量は1回200ml以内を目安にします。
完全ミルク
1回200~220ml、離乳食後のほかに1日3回(計5回)の授乳が一般的です。1日トータルで1000~1100mlを目安にしましょう。
離乳後期になると、1日3回の離乳食から1日に必要な栄養の半分以上を摂れるようになります。ミルクは中期よりもさらに少なめにしていきます。
完全母乳
離乳食後を含め1日5~6回程度の授乳が目安です。赤ちゃんが欲しがるだけ飲ませます。
混合栄養
離乳食後を含め1日5~7回程度の授乳が目安です。赤ちゃんが欲しがるだけ母乳を飲ませて、そのあとミルクを飲ませます。ミルクの量は1回200ml以内を目安にします。
完全ミルク
1回200~220ml、離乳食後のほかに1日2回(計5回)の授乳が一般的です。1日トータルで400~1100mlを目安にしましょう。
離乳完了期になると、母乳・ミルクを卒業した場合は1日3回の離乳食から1日に必要な栄養のすべてを、まだ授乳が続いている子でもほとんどの栄養を摂るようになります。この時期の授乳は栄養補給というより、心のよりどころ。離乳食をしっかり食べさせるために、回数も量も少しにしていきましょう。
完全母乳
離乳食後を含め1日2~3回程度の授乳が目安です。赤ちゃんが欲しがるだけ飲ませます。
混合栄養
離乳食後を含め1日2~3回程度の授乳が目安です。赤ちゃんが欲しがるだけ母乳を飲ませたあと、ミルクを欲しがるようなら飲ませます。ミルクの量は1回200ml以内を目安にします。
完全ミルク
1回100~200ml、1日2回以内の授乳が目安です。1日トータルで200~400mlにとどめましょう。
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赤ちゃんが離乳食を食べないことに悩むママ・パパは少なくありません。食べない理由はさまざまあり、離乳食の時期によっても異なります。よくある原因とその改善法を紹介します。
離乳初期の「食べない」は、まだ食べることに慣れていないというのが最も大きな原因です。粒感が少しでもあると食べにくくなるので、なめらかにしてみましょう。どの程度のなめらかさがよいのかわからないときは、市販のベビーフードを使ってみるのもよいでしょう。
離乳中期の「食べない」によく見られるのは、粒のあるものを飲み込みにくいというものです。少しつぶして粒感を抑え、水溶き片栗粉でとろみをつけると食べやすくなるでしょう。
もう1つの原因は、ほかのことに気を取られて食べる気分にならなくて食べないというもの。食事に集中できるように、テレビを消しておもちゃなどは片づけてから食べさせましょう。
離乳後期の「食べない」によく見られるのは、肉や魚などパサパサしやすいものを食べないケースです。ヨーグルトなどにあえてしっとりさせたり、おかゆに混ぜたりすると食べやすくなります。
もう1つの原因は、小食や食べむらがあって食べないというものです。まず母乳やミルクの量を見直し、生活リズムを整えて食事の時間におなかがすくようにすることが大切です。甘い飲みものやお菓子、牛乳も空腹を妨げる原因になりがちなので注意しましょう。
離乳完了期の「食べない」は、好き嫌いによることがほとんどです。好き嫌いは、好きなものと嫌いなものの区別がつくようになったという発達の証拠で、誰もが通る道です。
嫌がっていても、しばらくすると食べるようになることもあります。とくにお友だちと一緒のとき、お出かけのときなど環境が違ったり、見た目が違ったりすると気分が変わって食べることも多いでしょう。いろいろな手を使ってトライしてみましょう。

「食べる」ことは、大人にとってはとても簡単なことに感じますが、食べる機能が未熟な赤ちゃんにとっては、危険を伴うこともあります。
体の成長・発達にあった方法で進めていかないと、最悪の場合、命に関わることもあります。以下のことに注意して、進めていくことが大切です。
離乳食の時期には、食べさせてはいけない食材がいくつかあります。それは、誤えん・窒息の恐れがあるもの、食中毒の恐れがあるもの、体に負担がかかるものです。それぞれについて紹介していきます。
誤えん・窒息の恐れがあるもの
赤ちゃんはかむ力・飲み込む力が弱いので、かみにくいものや粘着性のあるものは気管に入ったりのどにつまって窒息を起こしたりする恐れがあります。水分を多くしたり、小さく切り分けたりすれば離乳食の期間でも食べられるようになるものもありますが、以下の食材はどのような形でも離乳食の時期は避けたほうがよい食材です。
例)ナッツ類、だんご、ミニトマトなどの小さく丸いもの、こんにゃく、もち、のりなどの噛み切りづらいもの
食中毒の恐れがあるもの
大人は食べても大丈夫でも、赤ちゃんは抵抗力が弱いため、食べると病気を発症する恐れがあるものがあります。少量でも与えないようにしましょう。
例)加熱が不十分な肉・卵・魚介類、ハチミツ、黒糖、ぎんなんなど
体に負担がかかるもの
赤ちゃんの内臓機能は未発達です。刺激が強く、胃腸や腎臓などに負担がかかるものは避けましょう。
例)明太子やキムチなどの辛味の強いもの、漬物など塩分の強いもの、ベーコンなど脂肪分と塩分が多い加工肉、ケーキ・チョコレートなどの甘みの強いお菓子など
ウイルスや細菌が食材に付着して起こる食中毒は、料理をする際に気をつければ防げるものがほとんどです。以下に気をつけて調理をしましょう。
赤ちゃんの内臓機能は未発達です。消化しやすいおかゆなどの炭水化物や、野菜類のビタミン・ミネラル食材は多少多めに食べてもさほど問題はありません。しかし、消化しにくいたんぱく質と脂質は食べすぎると、内臓に負担がかかりやすくなります。やや多め程度なら問題はありませんが、毎日たくさん食べさせるのは避けたほうがよいでしょう。
離乳食の段階が進んできて、大人が食べる食材を食べられるようになってくると、赤ちゃんは大人の食事を欲しがることが増えてきます。そうするとつい、大人も食べさせたくなってしまいますが、それはNGです。
その一番の理由は、味の濃いものを食べさせてしまうと、味が濃くないと食べなくなってしまうからです。赤ちゃんのころから味の濃いものを食べていると、どんどん濃いものを求めるようになり内臓への負担が高まります。また、赤ちゃんは味覚も発達途上の段階。薄味だから味わえる素材の味を数多く体験することで、繊細な味覚が育っていきます。
食物アレルギーは、アレルギー体質を持っている場合、卵、牛乳、小麦以外の食材でも症状が出る可能性がまったくないとは言い切れません。そこで、初めての食材を食べさせるときは、離乳食用のスプーン1さじからにし、小児科を受診できる時間帯に食べさせます。
ただ、特別な症状が見られず発症リスクが低いと思われる場合は、さほど心配はいりません。
湿疹ができていて定期的に受診しているなどリスクが高めの場合は、病院で相談してから始めましょう。
食物アレルギーの予防は皮膚の保湿で
食物アレルギーを防ぐには、皮膚の健康を保つのが大切といわれます。お風呂から上がったらすぐに皮膚を保湿して、皮膚のバリア機能を守りましょう。バリア機能が低下すると、皮膚から食物アレルギーを起こす物質が入り込んでしまいます。そのあと、食べた食材に物質が働きかけて、アレルギー症状が起こりやすくなるとされています。
「心配だから食べさせない」ではなく皮膚を健康にするのが正しい予防法です。
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「離乳食は気をつけることがたくさんあって大変そう…」と思うかもしれません。しかし大切なのは、神経質になりすぎず、完璧を求めないことです。
ベビーフードを使ってもよいですし、大人のメニューをやわらかめにして薄味にするのもOKです。離乳食のあとには幼児食、そして親子一緒の食事へと進んでいきます。気を遣いすぎず、楽しみながら続けていきましょう。

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