知りたい!教えて! コレステロール!

Q脂質異常症とコレステロールって?

A

脂質異常症は、コレステロールや中性脂肪が異常な値になる病気です。

脂質異常症とは「悪玉」と呼ばれるLDLコレステロールが増えたり、「善玉」のHDLコレステロールが減ったり、中性脂肪が増えたりした状態のことをいいます(non-HDLコレステロールについては後述)。この状態を放置していると動脈硬化が起こり、静かに進行して、心筋梗塞や脳梗塞といった怖い疾患が起こるおそれがあります。LDLコレステロールや中性脂肪が高ければ高いほど、HDLコレステロールが低ければ低いほど動脈硬化が進みやすくなります。

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<non-HDLコレステロールとは>
総コレステロールから善玉のHDLコレステロールを引いたもの。
式:non-HDLコレステロール =[総コレステロール]-[HDLコレステロール]

血液中にはLDLコレステロールとは別の悪玉もひそんでいます。 non-HDLコレステロールは、それらを含めたすべての悪玉の量を表しており、動脈硬化のリスクを総合的に知ることのできる指標として注目されています。

Q実は低くても高くてもだめ?

A

善玉と悪玉のバランスが健康のかぎ。

悪玉(LDL)コレステロールは、増えすぎてしまうと高コレステロール状態となり、健康リスクを高めるため、コレステロール=体に悪いもの、というイメージを持たれる傾向があります。しかし、コレステロールは人間の全身を作っている細胞やホルモン、胆汁酸の材料になるもので、私たちの身体にとって不可欠なものです。
健康な血管を維持するためには、「悪玉のLDLコレステロールを減らす」ことと、「善玉のHDLコレステロールを増やす」ことの両方が大切です。

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Qどのくらいの人が高コレステロール値?

A

50歳を超えると、約50%が指摘あり。女性は40代から加速します。

高コレステロール血症を指摘される方の割合は男女ともに40代で急激に増えます。男性では50代でピークになるのに対し、女性では50代以降も割合は増え、男性の割合も超える傾向にあることが確認されています。
加齢に伴い女性でコレステロールが上昇するのは、更年期以降の女性ホルモンの減少が原因です。

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Qなんで高コレステロール値になるの?

A

食事・加齢・運動不足などさまざまです。

運動不足や加齢、肥満、喫煙等によって、LDLコレステロール値は上がり、HDLコレステロール値は下がります。メタボリックシンドロームでは、トリグリセライド値が高くなり、HDLコレステロール値が下がります。

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Q食事から入ってくるコレステロールはどのくらいなの?

A

日本人の平均摂取量は300mg/日です。

日本人の平均的な摂取量はおよそ300mg/日で、性別および年齢によって200から400mg/日程度にわたります。
食事として摂取したコレステロールは小腸で吸収されます。小腸では、輸送蛋白(コレステロールトランスポーター)の働きで吸収されて体内に入ります。これを「外因性コレステロール」といいます。(体内のコレステロール全体の20~30%を占める)
残りのコレステロールは、主に、わたしたちの肝臓で作られています。体内で作られたコレステロールを「内因性コレステロール」といいます。(体内のコレステロール全体の70〜80%を占める)

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コレステロールが たくさん含まれる食品

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Q食事でとったコレステロールは全部吸収されるの?

A

全て吸収されるわけではありません。個人差が大きいです。
食事中のコレステロールはすべて吸収されるわけではなく、吸収率には20%から80%程度と大きな個人差があります(平均で50%ほど)。吸収されなかったコレステロールは便中に排泄されます。
食事中の他の成分によってもコレステロールの吸収は影響をうけ、特に食物繊維や植物性ステロールを多く含む食事では吸収されにくくなります。

Qコレステロールで何が分かるの?

A

様々な病気になる(なっている)可能性を知ることができます。

高コレステロール血症は、知らない間に忍び寄ってきて、動脈硬化を促進し、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こしQOLを悪化させ、更には命を脅かすものです。
高コレステロール血症の患者さんではアキレス腱が太くなったり、目に角膜輪ができたりすることがありますが、通常は症状は無く、むしろ突然に狭心症や心筋梗塞が起こってはじめて明らかになることが多いです。そのため日頃の職場健診や特定健診などで血液検査によるチェックを受けられることをお勧めします。

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Q家族性高コレステロール血症ってなに?

A

遺伝子の異常が原因といわれています。

コレステロール値を考える上で無視できないのが、「家族性高コレステロール血症」です。これは、脂質代謝に関わる遺伝子に異常があって、LDL受容体が欠損したり、うまく働かない疾患のことです。10代・20代という若いころからLDLコレステロール値が上がり、動脈硬化が進行しやすくなってしまいます。日本では、200~500人に1人の割合でいると言われています。自身の近親者に若くして動脈硬化になった方がいたり、若いのに脂質異常症と診断された方は、家族性高コレステロール血症の可能性が高いので、医療機関に相談することをお勧めします。

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監修:日本肥満予防症協会 副理事長 宮崎滋先生
1971年東京医科歯科大学医学部卒業。糖尿病、肥満症、メタボリックシンドロームの診療に従事。「よりよい特定健診・保健指導のためのスキルアップ講座」などを企画、開催。東京逓信病院外来統括部長・内科部長・副院長を経て、2012年より新山手病院・生活習慣病センター長、2015年より公益財団法人結核予防会理事・総合健診推進センター所長に就任。日本肥満学会副理事長、肥満症診療ガイドライン作成委員長等歴任。東京医科歯科大学医学部臨床教授。

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