
2026.06.30 New
#臨月・お産 #おなかの赤ちゃん #マイナートラブル
臨月とは、妊娠36週0日から赤ちゃんが生まれるまでの時期です。「臨月に入る前にやったほうがいいことは?」「お産まで何に気をつければいい?」といった疑問にお答えし、臨月に起こる体の変化や穏やかに過ごすコツをわかりやすく解説します。
臨月を迎えたらいよいよ出産です。日々の過ごし方や気をつけるべきポイントを整理して、心身共に落ち着いた状態で赤ちゃんに会える日を待ちましょう。
監修した専門医

産婦人科医師 (医学博士)
善方 裕美 先生
よしかた産婦人科 院長
横浜市立大学産婦人科 客員教授
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日本産科婦人科学会専門医、女性ヘルスケア専門医、日本骨粗鬆症学会認定医。大学病院で臨床研究を通して若手医師の育成に携わると同時に、国際出産イニシアティブ(ICI)に関東圏で初めて認証された分娩施設の院長も務める。女性が本来持っている産む力を活かせるように、そして、ママと赤ちゃんご家族にとって、幸せな出産と育児になるように、安全で自然なお産を守り、産後ケアの充実に取り組んでいる。家庭では3人娘の母。
妊娠10カ月は妊娠36週0日〜39週6日を指します。「臨月」は医学用語ではなく一般的に使われている言葉で、超音波や基礎体温計などがなかった時代に、「そろそろ赤ちゃんが生まれるかな」とおおよその目安で使われていたものです。
臨月を迎えると、赤ちゃんの体重はさらに増え、呼吸などの機能も整い始め、赤ちゃん自身が外の世界へ出るための最終準備に入っていく時期です。
「正期産」は妊娠37週0日~41週6日の出産を指す言葉で、こちらは医学用語です。おなかの赤ちゃんは、妊娠37週ごろになると内臓などの体の機能が整い、外界で生きていけるようになります。一般的にはこの正期産の時期に陣痛がきて、赤ちゃんが生まれます。
また、正期産より早く生まれることを「早産」といい、赤ちゃんが未熟なため治療が必要な場合があります。42週0日以降は「過期産」と呼ばれ、胎盤の機能が低下することにより子宮内の環境が悪くなりやすいため、過期産にならないように分娩誘発をします。
臨月(妊娠36週)の特徴として、少し早く生まれることになっても対応できるよう、赤ちゃん自身が着々と準備を進めています。

出典:日本産科婦人科学会「推定胎児体重と胎児発育曲線」保健指導マニュアル(平成24年3月発行)
臨月にあたる妊娠36週ごろの赤ちゃんは、一般的に体重は平均して2,507gです。予定日である妊娠40週0日には平均3,125gに到達し、大きい赤ちゃんだと4,000g近くまで成長します。
赤ちゃんが生まれたあと、産声と同時に肺が膨らんで大人と同じように呼吸ができるようになるための「サーファクタント」という物質が分泌され始めます。このサーファクタントは、妊娠28週ごろから分泌され始め、妊娠35〜36週でピークを迎えます。
臨月は、赤ちゃんが産声を上げる準備が整った時期ともいえます。
臨月に入ると、赤ちゃんはお産に向けて骨盤の中へと少しずつ進んでいきます。産道をスムーズに通れるよう、体全体を丸めてコンパクトな姿勢になります。
そのため、妊婦健診のエコーでは赤ちゃんの顔が見づらくなることがあります。臨月に入る前に、エコーでたくさん赤ちゃんの顔を写してもらっておくのもおすすめです。
「生まれる時期だから赤ちゃんは動かなくなる」はよくある誤解です。確かに骨盤内に赤ちゃんの頭がはまってくるので、臨月前ほどのダイナミックな胎動は感じられなくなるでしょう。
しかし、赤ちゃんが全く動かなくなるわけではありません。赤ちゃんが頭を骨盤の中にぐっとはめ込むために、胎動の感じ方が変わるのです。手足をバタバタさせたり、寝返りのように体を動かしたりする様子は見られます。
もし「いつもより極端に胎動が弱くて少ない」などと感じる場合は、まず産院に連絡をして赤ちゃんが元気かどうか確認してもらいましょう。

おなかが大きく重くなり、「体がしんどくて動きたくない」と思うママもいるでしょう。しかし、運動不足は急激な体重増加や、腰痛などの症状悪化を招くこともあります。
出産・産後に向けて体力や筋力をつけておくためにも、適度な運動を続けましょう。そして、食生活では栄養バランスのよい食事を心がけましょう。
妊娠中の食事と産後の授乳期間の食事は、ママだけでなく赤ちゃんにも影響を与えます。栄養のバランスを考えてしっかり食事を摂ることを心がけましょう。
大きくなった子宮に胃が圧迫されると、3食きちんとたっぷり食べるというのが難しくなることが多いものです。その場合は分食にして少しずつ食べ、1日の栄養素、カロリーを減らさないようにしましょう。
また、食欲が旺盛な人は食べすぎに注意を。血圧が高めの人、むくみ症状が強い人は、適度(7~8g以下)に塩分を控えることを意識しましょう。むくみ対策にはカリウム(野菜や芋類など)を積極的に摂ることをおすすめします。
厳しすぎる塩分制限は逆に母体の血液循環を悪くし、胎児の発育に悪影響を及ぼす可能性があることがわかってきたため、適度に摂ることが勧められています。
妊娠初期、中期の血圧が高くなくても出産が近づく妊娠後期になると、徐々に血圧が上がってくる方も少なくありません。妊婦健診で血圧測定、尿蛋白をチェックしますが、妊娠高血圧症候群にならないように、日ごろの食生活で塩分量を意識することが大切です。
医師から安静の指示がない限り、臨月に入っても適度な運動は続けましょう。とはいえ、特別なことをする必要はありません。大きいおなかでは体のバランスもとりづらく、転倒などの心配もあるので、場所と時間にゆとりを持って、自分に合った運動を心がけましょう。
適度な運動としては、近所のお散歩、ストレッチ、マタニティヨガ、マタニティビクスなどがおすすめです。体を動かすと血行がよくなり、緊張もまぎれます。
拭き掃除などのしゃがんだ姿勢は股関節を柔軟にするのに役立ち、ストレッチやマタニティヨガは腰痛や肩こりなどの改善にもつながります。
パパと一緒にお散歩をして、気持ちのいい場所で日光浴や外気浴を楽しみながら、生まれてくる赤ちゃんとのこれからの生活について楽しく話すのも、よい気分転換になります。
「遠出はNG」と言われると、家にこもりがちです。しかし、近所へのお出かけなら問題ありません。大切なのは、いざというときの準備です。
外出時は、母子健康手帳・マイナ保険証(資格確認書)・診察券・スマートフォン・夜用ナプキンなどを必ずバッグに入れておきましょう。
臨月に入ったら、より積極的に体を温めましょう。体が温まっていると、お産が長引くことを防いだり、子宮の収縮を助けることから産後の出血予防にもなります。
入浴が難しい日でも、足浴だけで下半身からしっかり温められます。日常生活では、足首が隠れる長さの靴下やレッグウォーマーの着用もおすすめです。毎日のルーティンに取り入れてみてください。

おなかが大きく重くなると、トラブルのリスクも高まります。安全第一で出産に臨むためにも、以下の行動は控えましょう。
おなかが大きくなると、足元が見えにくく腰への負担も増します。重いものを持ち上げたり運んだりすると、腰痛やぎっくり腰になるママも少なくありません。「この程度なら大丈夫」と思わずに、重いものの持ち運びは避けましょう。どうしても運ぶ必要があるときは膝を曲げて腰を落とし、体に引き寄せてから持ち上げましょう。
妊娠中の買い物には、自宅まで届けてくれるスーパーの宅配サービスもおすすめです。お店によっては、妊娠・育児中の配送料が割引になる場合もあるので確認してみましょう。
緊急で帝王切開などの処置が必要なとき、ネイルがあると爪の色で健康状態を確認できません。指輪もむくみで外れなくなるケースがよくあります。ネイルは早めにオフし、指輪は外しておきましょう。指輪はネックレスに通せば、指から外しても身に着けておけます。
産院によってルールが異なることもあるため、事前に確認しておくと安心です。
おなかが大きいと体のバランスを保ちにくく、自転車をこぐ際に転倒のリスクが高まります。車の運転の場合でも、急な眠気や陣痛が来た場合、事故の危険性が高まります。自転車や車の運転は控えましょう。

臨月は、「月が満ちるときに臨む」つまり、赤ちゃんが生まれてくる準備の時期なので、ママの体にもさまざまな変化が現れます。不調があるときは無理をせず、心配な症状があるときは産院に連絡しましょう。
臨月に入ると、今まで以上におなかの張りを感じるようになりますが、これも、赤ちゃんの出口をやわらかくするための変化なので、「よしよし。張ってきたね!」と前向きに捉えましょう。張りがつらくなければ、普通に過ごして構いません。もし、10分間隔での規則的な張りが1時間以上続くようであれば、陣痛の可能性があるので産院に連絡しましょう。
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出産に向けて赤ちゃんが骨盤の中に下がってくると、外見からもおなかが下がっているのがわかることがあります。子宮による胃の圧迫が消えるので、胃もたれや吐き気があった場合は治まることが多いです。
一方で、赤ちゃんの頭で膀胱がますます圧迫されて頻尿や尿モレ症状が出ることもあります。尿モレが不安な場合は、尿モレ専用の吸水ナプキンを利用するのもよいでしょう。
出産が近づくと、これまで以上におりものが増える傾向があります。これは、赤ちゃんが産道を通って生まれ出てくるために、子宮の出口(子宮頸管)がやわらかくなって準備が進んでいるからです。陰部がムレて肌トラブルが起きたりしないように、通気性のよい下着をつけ、清潔を心がけましょう。
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臨月にはリラキシンという体をやわらかくするホルモンの影響で筋肉や靭帯がゆるみ、赤ちゃんの頭がママの恥骨を圧迫するため、痛みが生じやすくなります。さらに臨月のおなかの重みに合わせて姿勢が崩れることで、腰痛が生じるママも多いでしょう。骨盤ベルトの装着で、赤ちゃんの位置をよい場所に引き上げて、緩んだ骨盤底筋群をサポートすると、楽になることが多いので試してみましょう。
大きくなった子宮に胃が圧迫されるために起こる症状です。対策としては以下のようなことが挙げられます。
胃酸が逆流し、胸やけを感じるときは、妊婦健診の際に相談しましょう。胃酸を抑える内服薬を処方することがあります。
おなかの赤ちゃんは成長と共に筋力がつき、神経の働きも活発になるため、力強い胎動を感じるのは自然なことで、「赤ちゃんが元気」な証拠です。場合によっては、痛いほどの胎動を感じることもめずらしくありません。
胎動を感じたら、おなかに手を触れたり話しかけたりして、赤ちゃんとのコミュニケーションを楽しみましょう。胎動で痛みを感じる場所を温めると、楽になることもあります。
運動不足などで血流が悪くなると、肩こりが起こりやすくなります。また、肩こりに連動して頭痛が起こることもあります。
肩まわりを温めたり、ストレッチを行ったりして、血行を促しましょう。ただし、あまりにも頭痛がひどい場合は、高血圧や子癇前症という妊娠合併症の可能性もあるため速やかに産院に連絡してください。
女性ホルモンの影響に加え、大きくなった子宮が腸を圧迫することで便秘が起こりやすくなります。また、この時期は痔になるママも多くいます。対策としては以下のようなことが挙げられます。
便秘が改善しなかったり、痔になったりした場合は産院で薬を処方してもらうことをおすすめします。ただし、妊娠後期の痔はほとんどの妊婦さんに起こるものです。出産直後からしっかり骨盤を締めて、骨盤底筋体操を十分に行うことで3~6カ月ほどで改善していきます。妊娠していないときの体とは違うということを心得て、あわてずに産後の体戻しをしていきましょう。
子宮が骨盤の中いっぱいに大きくなり、下半身の血液やリンパ液が上半身に戻りにくくなるため、むくみやすくなります。夕方以降にむくみが出ても、翌朝に治まる程度なら心配ありません。対策としては以下のようなことが挙げられます。
大きなおなかを支えるために足に負荷がかかり、血流が悪くなると、足がつりやすくなります。寝る前にストレッチをしたり、入浴中に足をマッサージしたりして血行を促すようにしましょう。頻回につる場合は、産院に相談してみましょう。芍薬甘草湯という漢方薬を処方してもらえる場合があります。

臨月になると赤ちゃんが生まれてくるために、子宮に変化が訪れます。「前駆陣痛」によって子宮の収縮が起きると、赤ちゃんの出口である子宮口がだんだんやわらかくなって出血し、これを「おしるし」と呼びます。
「おしるし」は、赤ちゃんの出口である子宮頸管がやわらかく変化して、赤ちゃんを包んでいる卵膜の一部が子宮の壁から剥がれるための出血です。ピンクのおりものがショーツについていたり、トイレで拭いたときにペーパーに血がついたりすることで、気づくケースが多いようです。
おしるしは、「生まれる準備が始まった」というお知らせで、おしるしがあったからといって、すぐに陣痛が始まるわけではありません。
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「前駆陣痛」は陣痛の予行演習のようなものです。おなかの張り・痛みの間隔が不規則で、1時間以内に治まるようであれば、前駆陣痛だと考えられます。
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赤ちゃんを包んでいる卵膜が破れて、中の羊水が流れ出す状態を「破水」といいます。
陣痛が始まる前に破水することもあれば、赤ちゃんが生まれる直前に破水する場合もあります。陣痛の有無にかかわらず、破水を疑ったら赤ちゃんが細菌に感染するリスクがあるため、すぐに産院に連絡しましょう。
おなかの張り・痛みが規則的かつ10分以内の間隔で1時間以上続く場合を陣痛といい、これをお産の始まりとします。まずは、産院に説明を受けた受診のタイミングかどうかを確認してみましょう。陣痛の間隔が10分以上でも、激痛の場合や、出血を伴う場合は我慢せず、産院に連絡して指示を仰ぎましょう。

出産を間近に控えたこの時期は、パパの役割もこれまで以上に重要になります。家事を率先して行いながら、ママが不安や悩みを抱え込まないよう、心に寄り添ったサポートを心がけましょう。
マッサージなどのスキンシップもおすすめです。普段から触れ合っておくことで、お産が始まったときのサポートもスムーズにできるでしょう。
あわせて、いつお産が始まっても動けるように、日ごろから「いつ・どこにいるか」といった予定を共有しておきましょう。急な陣痛や破水で病院へ駆けつける際、パパが運転したり付き添ったりできるよう、この時期の飲酒は控えておくのが安心です。
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臨月に入り、夫婦で心と体の準備を整えたら、あとは赤ちゃんに会える日を楽しみにして待つばかりです。
この時期はできるだけ外出して体を動かし、受け身にならないで活動的に過ごしましょう。もし出産や育児に不安を感じることがあれば、1人で抱え込まずに産院の医師や助産師に相談してください。ネットの情報だけに頼らず、自治体の保健師などリアルなつながりによるサポートを上手に活用して、赤ちゃんに会える日を迎えましょう。
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