みなさんは「歩く」ことについて、普段どれくらい意識していますか?
「最近は、出歩く機会が減ったなあ」という声も多く聞かれますが、
歩く機会が減ったことでむしろ、「歩く」ことを意識することが増えた、という方も多いのでは?
実は、研究によって「歩く」に関する様々なことが、より詳しくわかってきています。
今年は「歩く」に関する知識を深めて、すこやかな毎日をめざしましょう!
人類にとって「歩く」とは、「足を片方ずつ交互に出して前方に進むこと」ですが、実はとても高度な技なのです。歩いている間、私たちのカラダの中では、めまぐるしいやりとりが交わされています。脳は五感からフィードバックを受け続け、筋肉や関節を動かす神経系に指令を出し続けます。そしてたくさんの筋肉と関節が動き、バランスをとり、まわりの状況に応じて判断していきます。
「歩く」「階段を上がる」など、普段の「歩く」からはカロリー消費、メタボ対策などを連想しますが、歩くことを習慣づけると、足腰に筋力がつき、また骨に適度な刺激が与えられて骨密度の維持やアップも期待できます。血液の循環もよくなって、脳が活性化するというのもうれしいですね。いつもと違う道を歩いてみたり、あえて回り道をしてみたりすれば、あらたな発見にも出会えて、さらなる脳の活性化が望めます。歩く生活は、カラダ全体によい効果をもたらしてくれるのですね。
歩くことによる効果を得るためには、「歩数」「時間」に加えて大切なポイントがあることが研究でわかってきました。まず一つ目は「速度」。速い方では1kmあたり約7分で歩けるという方もいます。その方達は、より健康的に70代を迎えられた、という研究結果も。腕を後ろに大きく引き、いつもより10cm広い歩幅で歩くことを心がけると、速度が上がりやすくなります。もうひとつは「バランス」です。足のつま先の向きや手の振り方が左右で違ったり、片側に負荷がかかったりしないよう、できるだけ左右均等に歩くことを意識してみてください。姿勢をよくするとのびのび歩けますよ。
靴の踵は、どこが減っていますか?理想は、真後ろよりも少し外側で、削れ方は左右均等。もし違うところが減っていたら、削れている側の膝に負担がかかっているかもしれません。
目を閉じて10歩足踏みし、目を開けてみます。もし方向や場所が移動していたら、姿勢やカラダの使い方が偏っているかもしれません。
横からの姿勢を、誰かに見てもらいましょう。耳、肩、腰、膝の裏、かかとの出ているところは、真っ直ぐに並んでいますか?お尻が出っ張って、ハト胸になっていたら、腹筋が弱く、腰に負担がかかっている可能性があります。
「今日は歩くことが多そうだな」という日は、いくつか工夫をしてみましょう。まずは、「関節の自由が確保できる服を着ること」。腕を振りやすく、歩幅も大きくとれるので、カラダへの負荷が少なく歩くことができます。次に「ヒールの低い、歩きやすい靴を選ぶこと」。足の指がしっかり曲げ伸ばしできる靴で歩きましょう。そして「カラダの片側に負担をかけないこと」。荷物は左右交互で持ち替えるか、リュックにすることをオススメします。また普段の外出でも「水分補給を意識すること」が大切です。運動として「ウォーキング」する場合は、特にこまめに水分を摂り、長時間歩く場合には休憩地点を決めておきましょう。その日のご自身の体調に合わせて歩き、心臓や関節などに痛みや違和感を感じたら専門家の診察を受けてくださいね。
歩き方の個性は、100人いたら100通り。今では、歩き方を解析することで、なんと顔写真と同じくらいのレベルで、個人を識別できるそうです。また、それぞれの歩き方から、将来起こりうる問題も予測できるようになってきているとか。歩行の習慣がある人は病気になりにくく、日常的に速く歩いている人は余命が長い傾向にあることなどもわかっており、さまざまな分野での応用が期待されています。
花王の歩行研究は、オムツの開発から始まりました。あかちゃんのカラダの発達を妨げず、快適なオムツを考えるためには、ヒトが歩けるようになる仕組みの研究が不可欠だったのです。やがて、歩く速度が寿命に影響していることなどがわかってきて、今は大人の歩行パターン解析にも力を入れ、独自のシステムで2万人以上の歩き方を測定。すべての年代の人が健康に人生を送れるよう、さらなる研究と商品開発を進めています。
私たちの健康に深く関係する
「歩く」ということ。
今まであまり意識していなかった
「歩く」について、
あらためて意識するだけで、
何かが変わっていきそうな気がしませんか。
今年は毎日の「歩く」を見つめ直して、
すこやかに過ごしましょう!
2022年1月掲載