1万人を超えるさまざまな年代の内臓脂肪測定や調査を進めていくと、
そのしくみをご紹介します。
内臓脂肪とGENKIには深いつながりがあることがわかってきました。
「最近お腹まわりが気になる」という方、食生活が乱れていたり、運動不足が続いていませんか?もしかしたら内臓脂肪の蓄積で、あなたのGENKIなくらしが、この先ドミノ倒しのようにおびやかされるかも…。
慶應義塾大学医学部 伊藤裕教授 内科学教室腎臓内分泌代謝内科
内臓脂肪が増える原因は、食生活の乱れと運動不足です。内臓脂肪が増えすぎると脂肪細胞の働きに異常がおこり、善玉ホルモン※1が減少し、悪玉ホルモン※2が増加。糖代謝異常、脂質代謝異常、高血圧などの疾病リスクが高まり、糖尿病などの生活習慣病を引き起こしやすくなります。さらには心筋梗塞や脳梗塞などの原因となる動脈硬化が進行する可能性も!
内臓脂肪はGENKIなくらしの大敵なのです。
そもそもカラダにつく脂肪には種類があり、男女によってつきやすさに傾向が。
体脂肪には「皮下脂肪」と「内臓脂肪」の2種類があります。皮下脂肪は皮膚のすぐ下につく脂肪で、内臓脂肪は腸のまわりについている脂肪です。女性は皮下脂肪、男性は内臓脂肪がつきやすい傾向に。内臓脂肪の面積は100cm2を超えると生活習慣病のリスクが高くなります。とくに、内臓脂肪がたまった状態に高血圧などが加わると、心筋梗塞などの深刻な病気を引き起こす可能性が。
内臓脂肪は皮下脂肪のようにつまめず、測るにもCTスキャンなどの専門的な機器が必要。肥満計測の指針として一般的なBMIの指数も安心はできないとか。蓄積量がわかりにくい内臓脂肪は、どう対処したらいいのでしょうか。
肥満の指針として最も使われているBMIは、身長から見た体重の割合を示す体格指数※3のこと。BMIが25以上は肥満と言われていますが、BMIが25未満なのに、内臓脂肪量がメタボの基準である100cm2を超える、「隠れ肥満」が多いことがわかってきました。女性も、女性ホルモンが減少しだす40〜50代になると内臓脂肪が増えていく傾向があります。
ただし、内臓脂肪は皮下脂肪に比べて、合成、分解が活発で、エネルギーが必要なときには優先して使われてきました。
つまり、「つきやすいが、減らしやすくもある」のです。これは、食事や運動などに気をつける励みになりますね。
聞きなれない名前ですが、へそから背中にかけて微弱な電流を流すことで内臓脂肪量を測定する方法です。もともと、内臓脂肪の測定ではCTスキャンが一般的でした。しかしX線の被曝や測定装置の普及率という課題から、花王は手軽で高精度な測定器開発に取り組み、この「腹部生体インピーダンス法」にたどり着きました。本手法を用いたベルト式内臓脂肪計は、2013年に医療機器としても承認。安全性も認められました。
花王は、「内臓脂肪測定」「食事・生活アンケート」「写真による食事調査」を大規模に実施、どんな食事をとる人が内臓脂肪量が多いのかを分析しました。内臓脂肪がたまりにくい食事は、「タンパク質・食物繊維・オメガ3が多く、脂質が控えめ」で、1960~70年の私たち日本人の食生活に近いことが判明。上記のような理想的な食事を続けて摂った人たちの血糖値や脂肪蓄積ホルモンが、改善の方向へ変化していることも実証しました。
世界的に健康食として日本の食生活がもてはやされているのは、科学的にも正しかったのです。
花王では、この知見を生かして、しっかり食べて太りにくい「スマート和食」を提案しています。もちろん、日常の運動の大切さも見逃すことはできません。