私は消費者・顧客向けのシステムを担うグループに所属しており、化粧品を扱う店頭システムを担当しています。
近年ではITの進化により購入手段の選択肢が広がり、店頭（リアル）やEC（デジタル）など、いつでもどこでもサービスを受けられることが当たり前となりました。その"当たり前"を支えるため、お客様との接点を多角的に捉え、リアルとデジタルを繋ぐ基盤構築をすすめています。例えば、お客様が花王のブランドECで購入した商品の履歴を、店頭システムでも確認できるようにすることで美容部員さんの接客をサポートしたり、店頭での相談内容や体験をお客様ご自身のLINEでも確認できるようにすることで、システムを通してお客様と花王の繋がりを双方向に強くしています。蓄積されたデータは、お客様への接客サービス向上に向け活用しています。
化粧品にとって大切なのはブランドの「世界観」です。お客様は商品だけではなく、ブランドの持つ世界観にも魅力を感じています。ですから、花王の化粧品事業に関わる多くの部門と積極的にコミュニケーションをとり、それぞれの世界観に合わせた繊細な仕組みづくりを心がけています。社内ユーザーである美容部員さんやブランド担当の声に寄り添い、高品質なシステム・サービスの提供を通じて「よきモノづくり」を支え、お客様へ笑顔と満足をお届けすることを目指しています。

もともと店頭システムは、ブランドや販売形態に合わせて複数独立して存在していました。データの持ち方がバラバラなので、お客様の動向や体験を俯瞰して把握することが難しく、花王に蓄積されたデータを十分に活用できていないという現状がありました。そこで全ブランド共通の新しいシステムに統一し、花王のカスタマーエンゲージメントを支える基盤構築をするという大規模なプロジェクトが進行しています。
私はこのプロジェクトにチーム配属時から参加しており、バックオフィス領域を担当しています。旧システムから新システムへのデータ移行や、社内の他システムとの連携などデータの管理が主な業務です。各部門の要件を整理しながら、ただシステムを"置き換える"のではなく"進化"させるべく、様々な課題解決に取り組んできました。
システム間の繋がりを整理するため設計書を読み込み、点と点がだんだんと線になり、理解が深まっていった感覚を今でも覚えています。展開後店頭へ伺い、美容部員さんが実際に操作して接客されている姿を見たときには、うれしさと達成感で気持ちが高まりました。要件定義・設計・開発・運用までを一貫して担当し、展開後のアフターフォローもしっかり自分たちで行うという、社内SEとして花王の情報システム部門だからこそできる経験にやりがいを感じています。

私は仕事をする上で「考え抜く」ことを大切にしています。
情報システム部門というと、パソコンと向き合い黙々と作業しているイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、業務の理解を深めるためにユーザーと会話する時間が多くあります。私たちのグループは複数の部門と関わりがあるので、様々な立場から意見が寄せられます。しかし、すべての意見を受け入れることは困難です。中には相反する意見があったり、店頭の運用でカバーするほうが効率的な内容もあったりします。また、ブランドの世界観の違いから実現したいサービスが違うこともあります。
もちろんコミュニケーション力や技術的な知識も大切ですが、システムの観点から提案するスキルも重要です。ユーザーにとって最適な解決策を提案するためには、ユーザーの業務を理解し、システムとして解決すべき課題はなにか・真となる原因はなにかを整理し考え抜く力は欠かせません。納得するまで考え抜いた提案には自信を持てるので説得力が増しますし、自信は自分への信用にもつながります。その積み重ねが「よきモノづくり」につながると信じています。

化粧品業界といえばこれまでは研究開発や企画が注目されてきましたが、ECやSNSの普及に伴い、システムの役割も重要となってきました。蓄積されたデータやシステムの知識があるからこそ提案できるサービスもあると思いますし、化粧品の魅力をより多くのお客様に届けるために出来ることはまだまだ沢山あると感じています。これまでの常識にとらわれず、「絶えざる革新」を心に挑戦し続けていきたいと思っています。
システム開発でも就活でも同様、やりたいことを実現するためには手段がいくつもあります。その中でより良い手段を見極めるには、まず比較することが大切です。人によって就活の軸は異なりますが、ぜひみなさんには視野を広げて挑んで頂きたいなと思います。SEの仕事は多種多様で、花王の情報システム部門内でもグループによってユーザーや業務内容は大きく変わります。自分がやりたいことをどこでどうやって実現できるか、業種・業界問わずまずは比較してみてください。そして社内の雰囲気を知り入社後をイメージすることも大切です。
みなさんが輝ける場所に出会えることを願っています。