2024.12.25
#臨月・お産 #出産準備
お産はいつ、どのように始まるかわかりません。おしるし~陣痛から始まる人もいれば、破水から始まる人もいます。いつ、どのように始まっても落ち着いて行動できるように、それぞれのケースについてしっかり予習しておきましょう。さらに、お産が始まってからの上手な過ごし方も解説します。
監修した専門医
産婦人科医師 (医学博士)
善方 裕美 先生
よしかた産婦人科院長
横浜市立大学産婦人科客員准教授
プロフィールを読む
日本産科婦人科学会専門医、女性ヘルスケア専門医、日本骨粗鬆症学会認定医。年間約700人の赤ちゃんが生まれる分娩施設の院長。女性が本来持っている産む力を活かせるように、そして、ママと赤ちゃんご家族にとって、幸せな出産と育児になるように、安全で自然なお産を守り、産後ケアの充実に取り組んでいる。家庭では3人娘の母。
少量の出血の「おしるし」、本当の陣痛ではないおなかの張り・痛みの「前駆陣痛」、どちらも出産が近づいたことを知らせるサインのようなものです。
ただし、すべての妊婦さんが経験するわけではありません。どちらかだけを経験する人もいますし、どちらも経験しないままお産が始まる場合もあります。
おしるしは、赤ちゃんを包んでいる卵膜の一部がはがれて出血したものです。
子宮口が開き始めると、卵膜と子宮壁の間にずれができて少しだけ出血することがあります。ピンクのおりものがショーツについていたり、トイレでふいたときにペーパーに血がついたりすることで、気づくケースが多いようです。
おしるしがあったからといって、すぐに陣痛が始まるわけではないので、あわてなくても大丈夫です。
母体に何かトラブルが起きて出血する場合もあります。以下の項目に当てはまる場合は、おしるしではなくトラブルの可能性があるので、すぐに産院に連絡を。
おなかの張り・痛みの間隔が不規則で、1時間以内に治まるようであれば、前駆陣痛だと考えられます。なかには定期的な痛みではあるものの、1時間以内に治まるケースもあります。
おなかの張り・痛みは、人によって感じ方はいろいろ。おなかがキューッと痛くなる場合もあれば、重い生理痛のような痛みの場合も。下痢のときのようなゴロゴロする感じになる場合もあります。
前駆陣痛があっても、その後すぐに本当の陣痛が来るとは限りません。その日のうちに陣痛が来る人もいれば、数日後に陣痛が来る人もいます。
おなかの張り・痛みが始まったら、その間隔(痛みが始まってから、次の痛みが来るまでの時間)を計ります。もしも、10分間隔で定期的に来る張り・痛みが1時間以上続いたら、陣痛開始の可能性があるので、痛みの強度に関わらず、産院に連絡してください。
10分以内の間隔で張りが始まったとしても、どんどん間隔が短くなることもあれば、一旦のんびりと間隔が空いて、その後再び間隔が短く、張りが強まることもあります。分娩先の産院と密に連絡を取って、入院のタイミングについて相談しましょう。
以下の項目に当てはまる場合は、前駆陣痛ではなく本当の陣痛、または、何かトラブルが起きているサインかもしれません。その場合は、産院に連絡を。
産院に到着し、入院手続きを済ませたらいよいよお産本番です。これから徐々に陣痛の間隔は短く、痛みは強くなっていきます。
ただし、ときには、途中で陣痛が弱くなって停滞してしまうこともあれば、反対に、陣痛が急速に進むこともあります。
お産の進み具合は百人百様ですが、初産婦さんの場合、入院してから分娩室に移動するまでにかかる時間は平均すると8~14時間くらいとされています。
陣痛の進みを促すためにも、分娩時の体力を温存するためにも、分娩室に移動するまで※の過ごし方は重要です。
※Labor(陣痛)、Delivery(分娩)、Recovery(回復)を同じ部屋で過ごすLDRの部屋を使用する場合は、分娩室への移動はありません。その場合、分娩台に乗るまでの過ごし方となります。
ラクな姿勢を探る
痛いからと、体に力を入れて縮こまっていると、ますますつらくなります。両手両足を床につく、大きなクッションや布団に抱きつく、腰をゆっくり回してみるなど、痛みがまぎれるラクな姿勢を探してみましょう。
マッサージをしてもらう
付き添いの家族に腰や背中など痛む場所を押してもらったり、さすってもらったりすると、痛みが軽減することもあります。ママが心地よいやり方がわからない場合は、助産師に教えてもらいましょう。
深くゆっくり呼吸する
体の力が抜けることをイメージしながら、息を鼻から吸って、ゆっくり長く口から吐きます。
なお、痛みを我慢するために息を止めたり、不安や緊張で息を吸ったりしてばかりだと、呼吸が浅くなり、赤ちゃんに十分な酸素を送れなくなります。
不安や緊張が強いときこそ、深くゆっくり吐く呼吸を意識しましょう。
温める
体を温めると痛みがやわらぎ、力が抜けて、陣痛が進むこともあります。入院中は裸足ではなく、靴下をはいておきましょう。
産院によっては、入浴や足浴をすすめてくれる場合もあります。温かくなるアイマスクや使い捨てカイロを用意しておくと役立ちます。
癒す
リラックスできるように、好きな音楽や香りを用意するのもおすすめです。照明を落ち着く暗さに落とすのもよいでしょう。
飲食
お産は長丁場です。体力を温存するためにも、痛みが引いて食べられるうちは、飲食をしておきましょう。つまみやすいおにぎりや、ゼリー飲料、スポーツ飲料などがおすすめです。
出す
我慢しないで、気持ちや涙、声も出してしまいましょう。排便もおすすめです。
動く
ずっと同じ姿勢で寝たきりだと血流が滞り、陣痛が進みにくくなります。なかなか陣痛が進まないときは、院内を歩いたり、階段を上り下りしたりするのもおすすめです。体を動かすと、気分転換にもなります。
できるだけ快適に過ごすために、用意しておくと便利なグッズも入院バッグに入れておきましょう。
ストロー付きペットボトルキャップ
ベッドに横になったままでも、水分補給ができます。
テニスボール
いきみを逃したいときは、ボールで肛門を圧迫するのがおすすめです。
ポータブル扇風機やうちわ
季節によっては、暑さ対策におすすめです。
使い捨てカイロ
腰などを温めるのに便利です。
「陣痛が始まる仕組み」については、医学的にいまだ解明されていません。陣痛ホルモンであるオキシトシンが脳から分泌されることはわかっていますが、いつ、なぜ分泌されるのかは謎です。
不規則なおなかの張り・痛みがあるけれど、なかなか陣痛にいたらない場合、陣痛を招き寄せたい!と思うママもいるでしょう。「歩いたり、スクワットをしたりすると陣痛が来やすい」という説もありますが、実はそれは勘違いです。
確かに、普段から適度に体を動かしている産婦さんのほうが、陣痛が来てから赤ちゃんが生まれるまでの「分娩所要時間」が短くなる傾向はあります。
しかし、それはあくまで陣痛が来てからのことです。体を動かすことが陣痛を呼ぶことにはなりません。
同様に、「子宮口が開いている」「赤ちゃんが下りてきた」なども陣痛の発来とは無関係です。ただし、陣痛が来てからは、子宮口が開いている、赤ちゃんが下りてきている、といった産婦さんのほうが分娩所要時間は短くなる傾向があるといえます。残念ながら陣痛を呼ぶ方法はありませんが、陣痛が始まってからの進行をスムーズにするために役立つ習慣はあります。
たとえ破水からお産が始まったとしても、陣痛は必ず訪れ、お産の進行とともに陣痛も変化していきます。
陣痛は、赤ちゃんが生まれるために必要な子宮の収縮であり、赤ちゃんを押し出すパワーになります。寄せては返す波のように、収縮と休憩を繰り返し、次第に高波となって収縮が強くなります。陣痛によってママの子宮口は徐々に柔らかくなりながら開き、赤ちゃんはおしりを押されて回旋しながら、頭を細く伸ばして進みます。
子宮口が全開になると、さいごに、産道(腟)をゆっくり通り抜けて赤ちゃんが誕生します。
陣痛開始から出産までの流れ
おなかの張り・痛みが来たら、次の張り・痛みが来るまでの時間を計ります。陣痛アプリを使うのもよいでしょう。10分間隔で来るおなかの張り・痛みが1時間以上続く、または、1時間に6回以上の張り・痛みがある場合は陣痛なので、産院に連絡を。正しく状態を伝えるために、ママ本人が電話するようにしてください。産院スタッフはママの声の様子なども情報として受け取ります。
初産婦の場合、陣痛が5~10分間隔になった時点で入院を指示されるケースが多いのですが、経産婦の場合はそれよりも早めに入院するよう指示されることも。入院のタイミングはこれまでの妊娠経過や産院までかかる移動時間などによって異なるので、臨月に入ったら産院に確認しておき、密に連絡が取れるようにしましょう。
初産の場合はとくに、陣痛が始まっても、赤ちゃん誕生までは長丁場です。あわてて入院しなくても大丈夫。産院に連絡を取り、向かうタイミングを相談して決めた上で、入院準備の最終チェックをしましょう。
家で様子を見るように指示された場合は、リラックスできるように下半身浴をしたり、軽く食事を済ませたりするのもおすすめです。入浴して体を温めると陣痛が進みやすくなる場合もあります。
産院へ向かう際は、化粧を落とし、アクセサリーをはずすことも忘れずに。コンタクトの人はメガネに変えましょう。
すぐに必要になるもの・貴重品
入院用の荷物を詰めたバッグ
飲み物や軽食など、入院当日荷物に詰める予定だったものも忘れずに。
産院によっては、以下のようなものが用意されている場合もあります。
足浴器
足元を温めるとリラックスでき、陣痛が進みやすくなります。
抱き枕、大きなクッション
体を預けて抱きつくと、力が抜けて痛みを逃しやすくなります。
アクティブチェア
またがると、赤ちゃんが下りやすい姿勢になれるチェアが置かれていることも。
「破水」とは、赤ちゃんを包んでいる卵膜が破れて、中の羊水が流れ出す状態を指します。通常は、陣痛が進んで子宮口が全開大になったときに破水するのですが、ときには、陣痛が始まる前に破水することも。これを「前期破水」といいます。
前期破水の場合、卵膜が破けたところから細菌が入り、赤ちゃんが感染するリスクがあるため、できるだけ早く入院する必要があります。
たとえ夜中でも、すぐに産院に連絡しましょう。
また、羊水に血が混じる、緑っぽく濁っているといった場合は、そのことも産院に伝えましょう。破水が疑われる場合は入浴はしないでください。シャワートイレの使用も避けてください。
子宮口から離れた位置で卵膜が破けた場合、羊水の流出は少しだけで、すぐに流出が止まることもあります。そのため、自分では、おりもの・尿もれか、破水か、判断しづらいこともあります。迷う場合も、産院に連絡を。
尿もれと破水の違い
破水して産院に向かうときは、夜用ナプキンを当てて、車の後部座席に乗って。車のシートがぬれないようにバスタオルなどを敷くとよいでしょう。
破水直後に陣痛が来なくても、そのうち陣痛はやってきます。移動中に陣痛が来ることも念頭に置いて、できるだけ落ち着いて産院に向かってください。
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