
この記事の監修者
眼科医・医学博士(東大院)
森岡 清史さん

眼精疲労治療をのべ20万人近く治療してきた。
吉祥寺森岡眼科院長を2026年3月31日 に辞し、勤務医の傍ら眼科分野にとどまらないサイエンスを探究予定。
炭酸ガスレーザー手術が得意手技。
漫画眼科医駕那子(YouTube) 原作者。

【日本眼科学会の眼精疲労の定義】
視作業(眼を使う仕事)を続けることにより、眼痛・眼のかすみ・まぶしさ・充血などの目の症状や、頭痛・肩こり・吐き気などの全身症状が現れ、休息や睡眠をとっても十分に回復しえない状態
【目の疲れ】
【眼精疲労】
「目の疲れ」の場合は適度な休憩を取ることで症状は回復するが、「眼精疲労」の場合は疲労の蓄積により、1日寝ただけでは治らないことがほとんど。
目の疲れの症状が表れたら、無理をせずに適切なケアをすることが「眼精疲労」の悪化を防ぐことにもつながる。
眼精疲労がひどくなると、目の痛みや視力低下を引き起こしたり、頭痛や肩こりといった全身の症状が一緒に表れることも多い。
【眼精疲労によって起こる可能性がある症状】
人によっては目の疲れよりも頭痛のほうがひどく表れるといったケースもあり、どういった症状が同時に発生するかは個人差が大きい。
そのため、眼精疲労は原因に気づきにくい症状でもある。

目の疲労が慢性化してくると、セルフケアだけでは改善が難しいケースがほとんどです。
また、肩こりや頭痛などの症状が悪化する可能性もあるので、ただの目の疲れと考えず、一度眼科を受診することを推奨します。

【眼精疲労のおもな原因】
※複数の原因が重なっていることが多い
基本的には目の疲れが慢性化することで、眼精疲労になるケースがほとんど。
「パソコンやスマートフォンの長時間使用」「眼鏡やコンタクトの度数が合っていない」「ストレスや自律神経の乱れ」など、原因は多岐にわたり、単一の原因で起こるというより、複数の原因が重なっていることが多い。
たとえば、パソコン作業に集中していると、目のピントを調整する毛様体筋(もうようたいきん)に負担がかかり、目が疲れてくると同時に、集中しているとまばたきの回数が減るので、目が乾燥しやすくなる。
さらに、夜遅くまで集中して作業をしていると、交感神経の活動が過度に優位になり、なかなかリラックスモードに入ることができず、自律神経も乱れやすくなり、睡眠不足に陥る。

長時間作業に集中するのではなく、適度に休憩を挟むことが大切。
ただし、休憩中にスマートフォンの画面を見ていると目を休めることができないので、ぼーっと遠くを見たり、軽く目をつむったりなど、目を休める行動を取るようにしよう。
【休憩中にできる目を休ませる方法】
また、目の周辺を軽くマッサージしたり、座りっぱなしの人は、立ち上がって軽くストレッチをしたり、歩いたりすることで、血流を整えることも有効な対策となる。

通常であれば1分間に10回以上、約6秒に1回ほどのペースでまばたきをしており、まばたきには目の表面を涙で覆い、乾燥を防ぐ大切な役割がある。
ただし、集中して作業をしていると、無意識のうちにまばたきが少なくなり、目の乾燥や疲労の原因になる。
適度なタイミングで意識的にまばたきをしたり、目薬をさすことで、目の乾燥予防になる。
また、自宅でエアコンを使用するときは加湿器を置いて湿度を調整することも、乾燥対策としては有効。

目の乾燥は個人差がありますが、乾燥がひどいからといって1時間に10回、20回も目薬をさすのはおすすめしません。
ドライアイがひどい場合は、涙点プラグを使用すると症状が改善するケースもあります。

【目の健康をサポートしてくれる栄養素】
目の奥に位置する網膜は、光の刺激を受けるたびに活性酸素が発生している。この活性酸素を減らす(抗酸化作用)働きがある栄養素として、「アントシアニン」や「ルテイン」 などが知られている。
ただ、特定の食品だけを食べればよいというわけではなく、「さまざまな栄養素をバランスよく摂取する」「食事のリズムを整える」といった健康的な食生活を継続することが大切。

睡眠不足の状態では、涙の分泌が低下したり、眼表面の炎症が起こりやすくなると言われている。
米国国立衛生研究所がおこなった15,878人を対象とした横断研究によると、睡眠時間が5時間未満の人は6時間以上睡眠をとる人に比べて「ドライアイの発症リスクが約20%高かった」という結果が出ている。
また、厚生労働省のガイドラインでは、少なくとも6時間以上の睡眠時間を確保することが推奨されている。
※個人差があるので、自身に合った睡眠時間を確保する

睡眠中はレム睡眠とノンレム睡眠が繰り返されており、このリズムがくずれると、身体の疲れがうまく取れにくく、目の疲労回復の妨げにもなります。
そのため、就寝前はスマホを触らない、30~60分前から睡眠の準備を整えるなど、深い睡眠に入るための環境づくりが重要です。

目の疲れには、血流の滞りや筋肉の緊張が関係している。身体を温めると血管が拡張して血流がよくなり、溜まっていた老廃物や発痛物質などの排出もスムーズにおこなわれる。
そのため、夜にはお風呂にしっかりと浸かり、全身を温めることが大切。
また、目もとを蒸気温熱で温めると、副交感神経の活動が活性化して手足の血管が拡張するため、全身の血巡りを改善する効果が期待できる。
蒸気は熱の効果を「広く・深く・効率よく」伝えることができ、肩こりや首こり、目の疲れ、便秘や腰痛などのさまざまな不調に対しての有効性が確認されている。

A.冷やしたあとに温めるとよい。

目の疲れは、冷やすだけでは血流が低下して、かえって回復を妨げることもあります。
疲労対策におすすめなのは、冷やしてから温める方法です。一度冷やすことで血管が収縮し、そのあと温めることで血管が大きく拡張しやすくします。この振り幅が大きくなることで、血流改善の効果も期待できます。
A.蓄積すると悪影響を及ぼす。

紫外線はブルーライトと同じように波長が短く、角膜に直接当たるため、蓄積すると目に悪影響を及ぼします。
直接的な眼精疲労の原因というわけではありませんが、紫外線が眼精疲労を助長する可能性はあります。
目は日焼け止めを塗れないため、サングラス(UVカット率が100、もしくはそれに近いもの)で目を守ることが紫外線対策の基本となります。