専門医に聞く!マタニティお悩みQ&A
2026.03.31 New
#おなかの赤ちゃん

妊婦健診で「逆子」と言われ、「このまま治らないと、出産は帝王切開になるかもしれない」と説明を受け心配しています。逆子を治す体操があるようなのですが、やったほうがいいでしょうか?ほかに逆子を治す方法はありますか?(妊娠8カ月)
回答した専門医

産婦人科医師 (医学博士)
善方 裕美 先生
よしかた産婦人科 院長
横浜市立大学産婦人科 客員教授
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日本産科婦人科学会専門医、女性ヘルスケア専門医、日本骨粗鬆症学会認定医。大学病院で臨床研究を通して若手医師の育成に携わると同時に、国際出産イニシアティブ(ICI)に関東圏で初めて認証された分娩施設の院長も務める。女性が本来持っている産む力を活かせるように、そして、ママと赤ちゃんご家族にとって、幸せな出産と育児になるように、安全で自然なお産を守り、産後ケアの充実に取り組んでいる。家庭では3人娘の母。
逆子とは、おなかの中の赤ちゃんの頭が上で、おしりや足が下にある状態を指します。ただし、妊娠30週ごろまでの赤ちゃんは子宮の中でいろいろと向きを変えているので、現在妊娠8カ月であれば、妊婦健診時に「逆子」と診断されても、自然に治る可能性は大いにあります。あまり神経質になる必要はないでしょう。
妊娠30週を過ぎて逆子の場合は、逆子体操を検討してみるのもよいでしょう。ただし、前置胎盤や切迫早産の兆候がある人は、早産のリスクが高くなるので行うことはできません。逆子体操はおなかが張ることがあるため、必ず医師または助産師に相談してから行うようにしましょう。また、妊娠35週を過ぎたら、外回転術を試すという選択肢もあります。

妊娠30~35週ごろ、赤ちゃんの自然回転を期待して、産院で逆子体操を指導されることがあります。ただし、逆子体操は姿勢がつらく、おなかが張ることもあるので、前置胎盤や切迫早産などで行えない人もいます。必ず、主治医に相談した上で行うようにしましょう。
逆子体操には、胸膝位(きょうしつい)とブリッジ法の2種類があります。また、体操のあとに側臥位(そくがい)と呼ばれる休憩姿勢を行うこともあります。
うつぶせの姿勢から両ひざを曲げておしりを高く突き出します。そのままの姿勢で数分保ちます。
仰向けになり、両ひざを立て腰幅に開きます。おしりの下にクッションなどを入れて高さを出した状態で数分保ちます。
赤ちゃんの背中側が上になるように、横を向いて寝ます。赤ちゃんの背中の位置は、妊婦健診の際に確認しておくとよいでしょう。
逆子体操とセットでなく、側臥位だけ行うこともできます。
逆子体操は軽い子宮収縮を促す場合があるので、おなかが張りやすい人、医師から「切迫早産」と診断された人は控えましょう。また、逆子体操中におなかが張った場合は、すぐに中断してください。その後、おなかの張りが続く場合は産院に連絡しましょう。

妊婦健診で「逆子」と言われると不安になるかもしれませんが、逆子はめずらしいことではありません。自然に治ることも多いため、あまり神経質にならないようにしましょう。ただし、出産時に逆子だと帝王切開になる可能性が高いため、妊娠35週の時点で逆子の場合は帝王切開の心の準備もしておきましょう。
子宮の中の赤ちゃんは、頭を下(子宮口のほう)に向けた体勢が一般的で、これを「頭位(とうい)」といいます。それに対して逆子は、頭が上でおしりや足が下に向いた体勢のことを指し、医学的には「骨盤位」といいます。また、骨盤位は「膝位(しつい)」「足位(そくい)」「殿位(でんい)」の3種類に大きく分けられ、分娩時のリスクが多少異なります。
膝位
赤ちゃんがひざを折り曲げて、ひざが一番下(子宮口のほう)にある体勢。破水後に羊水が流れ出やすい傾向があります。
足位
赤ちゃんの足が一番下にある体勢。破水後、へその緒が赤ちゃんの体よりも先に出やすい、羊水が流れ出やすいなどの傾向があります。
殿位
おしりが一番下にある体勢。このタイプの逆子が一番多く、逆子の中では比較的、分娩時のリスクが低くなります。
逆子が問題になるのは、出産が近づく妊娠30週以降です。そのため、妊娠8カ月の妊婦健診ごろから、医師は逆子かどうかを注視するようになります。ただ、妊娠30週前後はまだ、自然に逆子が治る可能性が十分あります。
逆子が妊娠経過に影響を与えることはありません。問題となるのは出産時です。陣痛の前に破水する前期破水でお産が始まった場合、羊水が流れ出やすい、へその緒が出やすいといったリスクがあります。また、逆子のまま分娩すると、赤ちゃんの頭が最後に引っかかってへその緒を圧迫し、赤ちゃんが低酸素脳症になるリスクがあります。そのため、妊娠36週になっても逆子の場合は、帝王切開を選択することが多くなります。

逆子の原因は、ほとんどよくわかっていないのが現状です。原因がはっきりしているケースは、全体のほんの一部にすぎません。強いて挙げるなら、以下のような例があります。
逆子になる要因には以下のようなものがあります。
おなかの赤ちゃんは、子宮内のスペースに余裕のある妊娠中期ごろまではいろいろと向きを変えるので、逆子になることもめずらしくありません。そして、大半の赤ちゃんが、妊娠30週を過ぎたころから自分で回転して頭が下になり、骨盤にはまっていきます。
逆子の率は、妊娠中期までは30~50%程度ですが、分娩時の逆子率は全分娩の3~5%程度といわれています。
また、子宮が緊張していると赤ちゃんは回転しづらくなります。子宮の筋肉をゆるめるために体を温めて血行を促したり、リラックスしたりすることなどを心がけて様子を見てもよいでしょう。
妊娠35週になっても逆子が治らない場合で、赤ちゃんや子宮内の状態がよければ、医師は「外回転術」と呼ばれる治療を試みることがあります。
外回転術は、子宮収縮抑制薬を投与しながら、医師が妊婦さんのおなかの上に手を当てて、子宮の中の赤ちゃんを回転させる治療法です。実施する医療施設や麻酔使用の有無などによって数字は変わりますが、赤ちゃんの頭が下を向く確率はおよそ60%で、妊娠34~36週のころに行うのがよいとされています。
また、外回転術は、胎盤が剥がれる常位胎盤早期剝離や赤ちゃんの心拍数の悪化を引き起こすことがあるので、そのまま緊急帝王切開になるリスクがあります。
外回転術はあくまでも1つの選択肢なので、医師から詳しい説明を聞いたうえで、行うか・行わないかをしっかり検討しましょう。外回転術を行わずに予定帝王切開にするという選択肢もあります。
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