専門医に聞く!マタニティお悩みQ&A
2026.03.31 New
#産後ママのケア

産後は産褥体操をするといいと聞きました。産後いつごろから、どんな体操をすればいいのでしょうか?どんな効果があるかも知りたいです。(妊娠10カ月)
回答した専門医

産婦人科医師 (医学博士)
善方 裕美 先生
よしかた産婦人科 院長
横浜市立大学産婦人科 客員教授
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日本産科婦人科学会専門医、女性ヘルスケア専門医、日本骨粗鬆症学会認定医。大学病院で臨床研究を通して若手医師の育成に携わると同時に、国際出産イニシアティブ(ICI)に関東圏で初めて認証された分娩施設の院長も務める。女性が本来持っている産む力を活かせるように、そして、ママと赤ちゃんご家族にとって、幸せな出産と育児になるように、安全で自然なお産を守り、産後ケアの充実に取り組んでいる。家庭では3人娘の母。
ママの体は出産したらすぐ妊娠前の体に戻るのではなく、時間をかけて元の状態に戻っていきます。産後6~8週間の産褥(さんじょく)期は体が回復途中の時期なので、ママは無理せず、体を休めることが大切です。
とはいえ、まったく動かないでいると血行が悪くなるなど、かえって不調を招くこともあるので、産後の体にちょうどよい運動がおすすめです。それが産褥体操です。この時期に適した産褥体操で、スムーズな体の回復を目指しましょう。

産褥体操は、妊娠・出産でダメージを受けた筋肉や靭帯の回復を後押ししてくれる体操です。体操といっても、出産直後から行う初めの体操は深呼吸や足先を動かすだけなど、寝たままで行える軽くて簡単な動きばかりです。具体的には次のような体の回復に役立つもので、無理のない範囲で行いましょう。
産褥体操は通常、産後1~2日目から可能ですが、会陰裂傷縫合や帝王切開手術をした場合は、傷あとに負担になる動きは避ける必要があります。また、体調や気分が優れないときは無理に行う必要はありません。いずれにしても、産後入院中は医師や助産師と相談しながら、無理のない範囲で行いましょう。
産褥体操のやり方は、産院で指導してもらえることが多いでしょう。以下で紹介するのは一例です。寝たままで行えるものから始めて、産後の経過と共に動きを増やしていきましょう。
深呼吸も足先の運動も、寝たまま行えます。深呼吸は1日に何度行ってもよいので、体を起こす前に行うなど日々の習慣にしてみましょう。足先の運動は、産後1日目は1日1回、産後2日目から1日2~3回に増やしてもいいでしょう。
深呼吸
仰向けで両ひざを立てた姿勢で、胸式呼吸と腹式呼吸を1セットで行います。
胸式呼吸:胸を広げるイメージで鼻から深く息を吸い込み、3~5秒かけてゆっくり息を吐き出します。

腹式呼吸:おなかに空気を送るイメージで鼻から深く息を吸い込み、3~5秒かけてゆっくり息を吐き出します。

足先の運動
仰向けで寝たままの姿勢でも、イスに座った姿勢でも行えます。
両足をそろえて、つま先を伸ばします。次に、足首を曲げて2回呼吸してから、足の力を抜くことを数回繰り返します。

出産のときに引き伸ばされた骨盤底筋は回復するのに時間がかかるため、しばらく尿モレが起こることもあります。骨盤底筋の運動は尿モレの改善に役立ちます。
腹部の運動も骨盤底筋の運動も、産後の痛みが治まってから始めましょう。
腹部の運動
仰向けに寝た姿勢で両手は頭の後ろに当て、肩は床につけたまま首だけを持ち上げ、数秒キープして元の姿勢に戻します。これを1日1~3回行います。

骨盤底筋の運動
①~④を1日に1~3セット行います。

骨盤底筋や腹筋、太ももの筋肉に働きかけて、筋肉の回復を促すと共に血行をよくする効果が期待できます。会陰裂傷縫合をした人は、傷あとの痛みがなくなってから行いましょう。

赤ちゃんを抱き上げる動作は1日に何度も行う動作です。日常の動きの中で腹筋を鍛えて、おなかを引き締めましょう。腕の力ではなく、腹筋と背筋を使って抱き上げます。

産褥期に一番優先すべきことは、妊娠・出産で疲れた体を休めることです。ママは赤ちゃんのお世話をするだけでも十分に体を動かすことになるので、無理をしてまで体を動かす必要はありません。体調が悪いときや痛みがあるとき、忙しいときは、産褥体操もお休みしましょう。
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