専門医に聞く!マタニティお悩みQ&A
2025.03.03 New
#マイナートラブル
妊娠初期はつわりが重く、一度入院したこともあります。妊娠中期の今、ピーク時よりは落ち着いているものの、まだ軽い車酔い程度の気持ち悪さがあり、時々吐いてしまいます。つわりがずっと続くことって、あるのでしょうか?それとも別の原因があるのでしょうか?(妊娠6カ月)
回答した専門医
産婦人科医師 (医学博士)
善方 裕美 先生
よしかた産婦人科院長
横浜市立大学産婦人科客員准教授
プロフィールを読む
日本産科婦人科学会専門医、女性ヘルスケア専門医、日本骨粗鬆症学会認定医。年間約700人の赤ちゃんが生まれる分娩施設の院長。女性が本来持っている産む力を活かせるように、そして、ママと赤ちゃんご家族にとって、幸せな出産と育児になるように、安全で自然なお産を守り、産後ケアの充実に取り組んでいる。家庭では3人娘の母。
つわりは個人差が大きいので、症状や重さ、期間も人によってかなり違います。一般的には妊娠5カ月に入るころには落ち着くことが多いのですが、妊娠中期以降も続く人はまれにいます。
しかし、気持ち悪さや吐き気が続くのは、つわり以外の原因もあり得ます。
重症化すると脱水や肝障害などの心配があるので、体重の減少などほかの症状もあれば早めに産院を受診しましょう。
妊娠初期からのつわりが継続している場合もありますが、気持ち悪さ・吐き気の原因はほかにも考えられます。
症状が続いて水分や食事があまり摂れない、生活に支障をきたす、などの場合は我慢せずに産院を受診しましょう。
つわりの原因は完全には解明されていませんが、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンが関係しているといわれています。
一般的には妊娠8~9週(3カ月)がピークで妊娠16週(5カ月)くらいまでに落ち着くことが多いようですが、そのあとも続く人はまれにいます。水分も食事もほとんど摂れず、体重が急激に減少するような場合は治療が必要です。
妊娠すると分泌量が増えていく女性ホルモンのプロゲステロンには、胃腸の動きを抑制する働きがあります。そのため消化不良を起こし、吐き気につながることもあります。
ストレスがたまると自律神経は乱れやすくなります。自律神経は胃酸の分泌や腸のぜん動運動にも影響するので、その結果、胃腸の調子が悪くなることがあります。
また近年では、「ストレスによって体内で作られるサイトカイン(細胞間の情報伝達を担う生理活性物質)が、つわりに大きく関連している」という研究報告もあります。
妊娠後期になると、子宮底(子宮のてっぺん)はおへその上よりも高い位置まできます。そのため、胃が子宮に押しあげられてむかつきを感じたり、少し食べただけで気持ち悪くなったりすることがあります。
妊娠中はホルモンの影響で骨と骨とをつなぐ靭帯がゆるくなります。そのため、骨盤にゆがみが出ることがあります。
骨盤は内臓を支えているので、骨盤のゆがみが原因で胃下垂になり、胃の不快感を覚える人もいます。また、血行不良から胃腸の働きが悪くなることもあります。
妊娠中は食あたりを起こしやすく、胃腸の不調による気持ち悪さや吐き気も考えられます。吐き気以外に、頭痛や胃の痛みがある場合は、妊娠高血圧症候群などの妊娠合併症の疑いがあるので、すぐに産院に相談してください。
つわりや子宮による胃の圧迫などが原因で気持ち悪さ・吐き気がある場合は、食事や生活の仕方を工夫することで、症状が軽減する可能性もあります。少しでもラクになれる対処法を探してみましょう。
つわりによる吐き気で水分や食事があまり摂れない場合は、脱水症状や低血糖を防ぐために、少しずつでも水分と糖質を摂ることを意識しましょう。糖質は、おにぎりなどの穀類、焼きいもなどのいも類、飴などの糖類などで摂取できます。
空腹で血糖値が下がると、気持ち悪くなったり吐き気がしたりします。また、一気に食べて満腹になると胃の圧迫が強くなり、吐き気が出やすくなります。一食分を一度に食べないで、少量ずつ、何度かに分けて食べましょう。
山芋や大根、かぶには、消化を助ける酵素であるジアスターゼが多く含まれています。また、しょうがには消化を助けるだけでなく、吐き気を軽減させる作用もあります。
気持ち悪くて食欲がでないときは、おかゆや野菜スープ、湯豆腐など、胃腸にやさしく、水分も摂れるものがおすすめです。少しずつなら果物もよいでしょう。
姿勢が悪いと骨盤もゆがみやすくなり、その結果、内臓に影響が及ぶこともあります。また、猫背だと子宮も胃も圧迫されてしまいます。背筋を伸ばした姿勢を心がけましょう。
椅子に座るときは背筋を伸ばし、骨盤を立てることを意識しましょう。床に座るときはあぐらがおすすめです。
リラックスすると自律神経も安定し、胃腸の働きもよくなります。リラックスしたいときにおすすめなのが、お産のときにも役立つ腹式呼吸です。ゆっくり鼻から吸って、口から吐きましょう。
また、好きな音楽を聴いたり、自分にとって良い香りと感じるハーブティを飲むなど、ママにとってリラックスできる方法を探しましょう。産院が主催するマタニティヨガやマインドフルネスの教室などがあれば、利用することをお勧めします。
手首にある「内関(ないかん)」のツボを刺激すると、吐き気や食欲不振の軽減が期待できます。
手首のしわから指3本分離れたところに親指を当て、腹式呼吸をしながら心地よい程度に押しましょう。ゆっくり息を吐きながら押し、吸うときに力を抜くのがコツです。
重症なつわりや妊娠高血圧症候群などの病気の場合、適切な治療をしないと妊娠経過に影響が出ることもあります。
以下のような症状がある場合は、すぐに産院を受診しましょう。
つわり症状が重く「妊娠悪阻」と診断された場合は、脱水と低血糖で体調がさらに悪化する可能性があるので、治療が必要になります。
妊娠悪阻には点滴による補液のほか、腸の動きをよくする薬、ビタミン剤、漢方薬などを用いますが、どの薬が効くかは人によって異なります。
また、尿検査でケトン体(体内の脂肪が分解されてできた産物)が陽性反応を示した場合はかなり重症なので、水分・栄養補給の点滴をするために入院になることがあります。
妊娠中期から後期にかけて注意したい病気の1つに、「妊娠高血圧症候群」があります。この病気は妊婦さんの10~20人に1人の割合で起こるといわれています。
腎臓に負担がかかり、高血圧に加えて、たんぱく尿が出ている場合には「妊娠高血圧腎症」といい、より重症と診断されます。普通は娠高血圧症候群には症状がないことが多く、妊婦健診で血圧が高くなって初めてわかるのですが、重症化すると吐き気や胃痛、頭痛、目がチカチカするなどの症状が出る場合があります。
また、妊娠高血圧症候群に合併して起こることがある「HELLP症候群」でも、嘔吐、胃痛などの胃腸症状が出ることがあります。この病気は、母児にとって大変危険なので、入院、帝王切開などの緊急処置が必要になります。しかし、妊婦健診をしっかり受けていれば、この疾患を疑う場合、医師から説明や注意があるはずなので、過剰に心配しなくても大丈夫です。
つわりは個人差が大きいので、症状が続く期間も人それぞれです。一般的には妊娠8~9週(3カ月)がピークで妊娠16週(5カ月)くらいまでに落ち着くことが多いものです。
しかし、普通は楽になるはずの妊娠中期以降も症状が続いて「出産するまでつわり症状が続いた」と感じる方もいます。このような場合、単純な「つわり」ではなく、様々な原因が絡んで起きる消化器症状と考えられるので、産院の医師と相談して、胃腸薬や漢方薬などの治療を含め、良い対処法を探していくようにしましょう。
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