専門医に聞く!マタニティお悩みQ&A
2025.03.03 New
#マイナートラブル
妊娠してからおりものが白っぽくなり、量も増えたような気がします。おりものが増えたせいか、少しかゆみもあります。妊娠前にカンジダ腟炎になったことがあるので、もしかすると、またカンジダなのかも…と心配になり、入浴時に石けんで洗っています。次の健診日が来る前に受診したほうがよいでしょうか?(妊娠4カ月)
回答した専門医
産婦人科医師 (医学博士)
善方 裕美 先生
よしかた産婦人科院長
横浜市立大学産婦人科客員准教授
プロフィールを読む
日本産科婦人科学会専門医、女性ヘルスケア専門医、日本骨粗鬆症学会認定医。年間約700人の赤ちゃんが生まれる分娩施設の院長。女性が本来持っている産む力を活かせるように、そして、ママと赤ちゃんご家族にとって、幸せな出産と育児になるように、安全で自然なお産を守り、産後ケアの充実に取り組んでいる。家庭では3人娘の母。
妊娠すると女性ホルモンの影響でおりものが増えるのは自然なことです。また、妊娠前は透明だったおりものが、妊娠後にクリーム色や白色に変化することもよくあることで心配のない変化です。
妊娠中は子宮内への細菌感染を防ぐために、おりもので雑菌を洗い流すような「自浄作用」が強くなるため、おりものの量が増えたり、性質や状態が変化したりするのです。
かゆみの原因は、おりものが増えたことによるかぶれや細菌性、もしくはカンジダ膣炎かもしれません。ただし、診察しないと診断・治療ができないので、強いかゆみや異臭、痛みを伴ったりする場合は、妊婦健診日まで待たずに産院を受診することをおすすめします。
妊娠するとおりものの量が増えるのは自然な体のメカニズムです。通常のおりものは、無色か薄いクリーム色または白色です。
しかし、ママが何らかの病気に感染すると、おりもののにおいや色が変化することがあります。また、出血でおりものがピンクや茶色になったりすることもあります。
なかには流産や早産につながりかねないトラブルもあるので、おりものの変化には注意しましょう。
妊娠するとおりものの量が増えるのは自然のメカニズムです。ただし、においや色、かゆみ、痛みなど異変に気づいたときは、産院を受診しましょう。
ときには、おりものに血液が混じることもあります。妊娠のごく初期に起こる少量の出血は、受精卵が子宮内膜に着床した際に起こる着床時出血の可能性があります。
また、妊娠初期は胎盤が作られる過程でできた血腫(絨毛膜下血腫)が原因で、おりものに血が混ざることもあり、この場合、ママは安静が必要になります。
おりものに血液が混じっていても、少量で痛みがなく、しばらくして治まるようならほぼ心配ありませんが、絨毛膜下血種の可能性もあるので、念のために産院に連絡しましょう。
妊娠全期を通して、かゆみがある、異臭がする、いつもと色が違うなどの変化があった場合は、感染症による腟炎かもしれません。
また、腹痛を伴う、出血を伴う場合は、切迫流産や切迫早産の心配があるので要注意です。気になる変化がある場合は、産院を受診しましょう。
妊娠後期は、まもなく訪れる出産に向けて体に変化が起こる時期です。
エストロゲンという女性ホルモンの分泌が増えて、子宮口が柔らかくなると共におりものが増えるのも、変化の1つです。これは、赤ちゃんが産道を通って生まれ出てくるための準備です。
おりものが増え、陰部がムレてしまうと雑菌が繁殖しやすくなり、かぶれの原因にもなります。妊娠前以上に清潔に保つことを心がけましょう。
下着内が蒸れると菌は繁殖しやすく、かぶれや腟炎の原因にもなります。綿素材など通気性のよい下着をつけましょう。
また、マチ部分が白いショーツを使うと、色などの変化に気づきやすくなるのでおすすめです。
ショーツにおりものシートまたはガーゼをあてて、おりものがついたら取り替えるようにするのもよいでしょう。ただし、長時間つけっぱなしにしていてはムレの防止にはならないので、こまめに取り替えて清潔を保てるようにしましょう。
ごしごし洗うのは皮膚に刺激が強すぎるため、かぶれやかゆみを招く原因になります。
また、腟内にいる善玉菌の乳酸菌も洗い流してしまうので、ますます免疫力が落ちてしまいます。デリケートゾーンを洗うときは、弱酸性の専用ソープでよく泡立てて、やさしく洗うのがおすすめです。
子宮頸管や腟が細菌などに感染すると、おりものに変化が現れることがあります。
また、子宮内や子宮頸管、腟からの出血でおりものに血が混ざることもあります。以下に挙げるおりものの変化を参考にして、異常に気づいたときは産院を受診しましょう。
腟から細菌感染し、細菌性腟症を発症している可能性があります。細菌がさらに子宮内にまで侵入してしまうと、流産や早産の心配が出てきます。早めに産院を受診して治療しましょう。
妊娠中は免疫力が低下するため、常在菌の真菌によるカンジダ腟炎は妊娠中に多いトラブルです。激しいかゆみと、ポロポロとしたカッテージチーズ状のおりものが典型的な症状です。
妊婦にも安全性が高いかゆみ止めや抗真菌剤で治療できます。
性感染症のトリコモナス腟炎の疑いがあります。腟や外陰部にかゆみや痛みを伴う場合もあります。内服薬や腟座薬で治療できます。
水っぽいおりものは、破水によって羊水が流出した可能性があります。おりものか尿もれか迷うような水っぽさで、尿意もないのに下着がぬれる状態が続く場合は破水かもしれません。破水かどうかは、産院で検査すればすぐにわかりますので、産院に連絡して受診しましょう。
また、性感染症のクラミジア感染症も考えられます。クラミジア感染症は無症状のこともありますが、水っぽいおりものの増加や下腹部痛などの症状が出ることもあります。
そのままにしておくと、出産時に赤ちゃんが感染する恐れがあるので、出産までに治療する必要があります。
妊娠すると子宮が充血した状態になるので、子宮頸管や腟から出血しやすくなり、おりものに血液が混じることもあります。
ただし、妊娠中の出血は子宮口に異常をおこしている可能性があり、おなかの張りや痛みがなくても「子宮頸管無力症」という病気が隠れているかもしれないので、産院を受診しましょう。
また、おなかの痛みを伴う場合は、切迫流産や切迫早産の可能性もあるので、すぐに産院を受診してください。
おりものの変化は、ママの体に何かトラブルが起きていることを知らせるサインにもなります。そして、トラブルによっては、妊娠経過に影響を与える場合もあります。
においや色、かゆみや痛みを伴うなど、異常を感じたら迷わず産院を受診しましょう。
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