専門医に聞く!マタニティお悩みQ&A
2024.12.25
#臨月・お産
臨月に入ってから、今まで以上に胎動が激しくなってきました。夜も激しく動くので、熟睡できません。こんなに激しく動くのは、何かトラブルが起きていて赤ちゃんが苦しがっているのでは?胎動で破水が起きるのでは?などと心配になります。(妊娠10カ月)
回答した専門医
産婦人科医師 (医学博士)
善方 裕美 先生
よしかた産婦人科院長
横浜市立大学産婦人科客員准教授
プロフィールを読む
日本産科婦人科学会専門医、女性ヘルスケア専門医、日本骨粗鬆症学会認定医。大学病院で臨床研究を通して若手医師の育成に携わると同時に、国際出産イニシアティブ(ICI)に関東圏で初めて認証された分娩施設の院長も務める。女性が本来持っている産む力を活かせるように、そして、ママと赤ちゃんご家族にとって、幸せな出産と育児になるように、安全で自然なお産を守り、産後ケアの充実に取り組んでいる。家庭では3人娘の母。
おなかの赤ちゃんは成長とともに筋力がつき、神経の働きも活発になります。もちろん、赤ちゃんの体自体も大きくなっていくので、ママに伝わる動きもそれだけ大きくなっていきます。
多くの妊婦さんが、妊娠5、6カ月頃に初めて胎動を感じ、妊娠7、8カ月頃に力強い胎動を、妊娠9、10カ月にはさらに力強い胎動を感じるようになります。時には、赤ちゃんの動きに合わせてママのおなかが波打ったり、赤ちゃんの手や足の形が浮き出たりすることもあるでしょう。
臨月のこの時期、痛いほどの胎動を感じるのはよくあることです。赤ちゃんが苦しがっているわけではありません。むしろ、元気に動いている証拠なので安心してください。
また、臨月に胎動が激しいと、それが原因で「破水するのでは?」と心配する妊婦さんもいるようですが、赤ちゃんの動きが原因で卵膜が破けることは決してないので大丈夫です。
赤ちゃんが動いているのは元気にしていると思ってよいです。臨月では赤ちゃんの個性も出てきて、ママがご飯を食べているとき、お風呂に入っているとき、ママが寝ようとすると動き出すなど、その子によっての特徴があることもしばしば。経産婦さんは、「上の子よりよく動いている」など、きょうだいでも違うと感じることが多いものです。
また、ママが胎動として感じる赤ちゃんの動きは、赤ちゃんの睡眠サイクルとも関係しているとも言われています。人は誰でも寝ているとき、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」を交互に繰り返していますが、おなかの赤ちゃんも同様です。
最初のうちは、レム睡眠・ノンレム睡眠のリズムは整っていませんが、成長とともにリズムができ始め、妊娠9カ月ごろから20~30分間隔のサイクルになります。
赤ちゃんの動きが活発になりやすいのはレム睡眠のときです。反対に、ノンレム睡眠のときは動きが少なくなります。ママが痛い!と感じるほどの胎動があるときは、きっと赤ちゃんがレム睡眠でまどろんでいるときなのでしょう。
胎動の感じ方にはかなり個人差があります。また、ママの体形や姿勢、赤ちゃんの向きによっても変わります。
さらに、ママ自身が忙しくしているときなどは赤ちゃんが動いていてもママが胎動に気づきにくいこともあります。
反対に横になって休んでいるときなど、ママがリラックスしているときは、胎動に気づくことが多いようです。夜、胎動で熟睡できないのはつらいでしょうが、赤ちゃんが元気な証拠だと思ってママはゆったりと構えましょう。
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「臨月になって、胎動が減った」と感じる妊婦さんもいるようですが、それは、赤ちゃんが出産に向けてママの骨盤の中に下りてきたからでしょう。骨盤の中に入ってくると、動きが制限されるため、胎動が減ったように感じられるかもしれませんが、赤ちゃんが動かなくなるわけではありません。
陣痛が始まっても強い胎動を感じる妊婦さんもいるほどなので、出産予定日近くに激しい胎動があるからといって、心配する必要はありません。
胎動は赤ちゃんが元気な証拠なので、ポジティブにとらえてみてください。ただ、そうは言っても、痛かったり、眠れなかったりするのは困りますね。
その場合は、以下の方法を試してみましょう。胎動による刺激が和らぐ場合があります。
ママの体が冷えて緊張していると、痛みを感じやすくなります。とくに首や足首の保温は冷え予防に効果があるのでおすすめです。また、入浴や足湯などで体を温めるのもいいでしょう。
寝ているときに胎動が激しいときは、体の向きを変える、上半身を起こす、足を高くするなど、ラクな姿勢を探してみましょう。大きめのクッションや抱き枕を使うと便利です。
妊娠中期以降、赤ちゃんの聴覚は発達して子宮の外の音も聞こえるようになっています。
胎動を感じたら、おなかに手を触れたり話しかけたりしてあげるのもいいでしょう。ママだけでなく、パパが話しかけるのもおすすめです。
妊娠中の今から、ぜひ、親子のコミュニケーションを楽しんでください。
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