早稲田大学大学院人間科学研究科博士課程修了。専攻は健康心理学・身体心理学。親子の触れ合いの効果やオキシトシンの作用について研究している。主な著作に『からだの無意識の治癒力』、『子供の「脳」は肌にある』、『幸せになる脳はだっこで育つ。』など多数。
「オキシトシン」という言葉を聞いたことがありますか?
これは、家族やパートナーとのスキンシップや信頼関係に深くかかわるホルモン。
本来はママの母乳を出すためのものですが、嬉しい、楽しい、気持ちいいと感じた時に脳で作られます。
五感の中でも、“触覚”はいちばん最初に発達する感覚。ママのおなかの中にいるときからあると言われています。
ママやパパに触られたり見つめ合ったりすると、 赤ちゃんの心拍は安定してリラックス状態になり、脳の視床下部からオキシトシンが分泌されます。
オキシトシンは相互に作用するので、 赤ちゃんはもちろん、ママやパパにも分泌されます。
分泌されると、やさしい気持ちや幸せな気分になるため、愛情ホルモン、幸せホルモン、絆ホルモンとも呼ばれます。 愛着を深め成長を促すだけでなく、ストレス反応を弱める、 情緒を安定させるなどの効果をもたらします。
抱っこはおすすめのスキンシップのひとつ。
オキシトシンはスキンシップを始めてから10分位で出てきます。
1時間に10分ほど、抱っこなどで濃密に触れ合う時間を作ることで、赤ちゃんは安心し「愛されている」確信を持てるようになり、ひとりでいる時間も落ち着いて過ごすことができます。
お仕事をされているママ・パパは、帰宅後に「ちょい抱き」の時間を持ちましょう。
スキンシップ効果が高いのは副交感神経が優位になる夕方以降。
短時間でも心をこめた触れ合いなら、きっと赤ちゃんに伝わりますよ。
オキシトシンをつくる細胞は、生後早い時期に形成されます。
赤ちゃんの場合、脳がもっとも発達する生後一年ほどの間にオキシトシンの影響を十分に受けることが重要。
オキシトシンが出やすい脳になり、ストレス耐性ができる、他人に対して親近感が持てるなど、人間関係を豊かにします。
また、小さいころから「気持ちいい」というポジティブな感情をたくさん経験させてあげることは、心の発育上、とても大切なことです。
親子間の愛情を深めるだけでなく、ストレスに負けない強い心身を育むためにも、スキンシップを楽しみましょう。
親子の愛着形成に大切な“オキシトシン”に着目して、「こころ」と「からだ」の研究をしています。
最近の花王の研究では、手の平でやわらかさ・心地よさを感じるほど、オキシトシンが上昇することを確認しています。
ママやパパが赤ちゃんの衣類など肌に触れるものの生地のやわらかさを実感することで、 オキシトシンが分泌され、愛着形成がより促進される可能性があるとわかってきました。
1秒間に5cmの速さでゆっくりなでると分泌することもわかっています。
日頃のおむつ替えは、愛情ホルモン「オキシトシン」分泌のチャンスです。
おむつを外してマッサージもおすすめです。おしりの空気浴もできて一石二鳥!
マッサージは、1秒間に5cm位でゆっくりやさしくなでると、オキシトシンがより分泌しやすくなります。
赤ちゃんも、とても気持ちいいはず。