赤ちゃんとママ・パパのための情報
「マタニティ ブルー」は、産後、涙もろくなったり、気分が落ち込んだり、不安感がつのるなどに現れる情緒不安定が代表的な症状です。人にもよりますが、出産後3~4日頃から発症することもあります。
産褥期(出産後、母体が回復するまでの時期)の女性のうち、15~50%に見られるといわれています。発症には、出産によるホルモンの大きな変動が関係していると考えられていますが、原因はまだはっきりとはわかっていません。
自分で自分の気持ちがコントロールできなくなるため、いつまで続くのだろうと不安になるかもしれませんが、多くの場合、体内のホルモンバランスの回復とともに、ほぼ1カ月くらいで自然に治ります。もう一息という時期なのかもしれませんね。生理的な現象なので、特に薬による治療は必要ありません。
数時間おきの授乳やおむつ替えなど赤ちゃんの世話で、熟睡できないことや睡眠時間が減少することが、「マタニティ ブルー」の発症に関係しているのかもしれないという研究報告もあります。つらいときは、赤ちゃんの世話を夫やおばあちゃんに代わってもらって、一晩ぐっすり眠るとよいでしょう。生まれたばかりの赤ちゃんの世話は、お母さんがひとりで頑張らなくてはいけないものではないので、周囲の助けが得られる場合は甘えていいのです。
また、育児の不安や外と遮断された生活が、いつの間にかストレスになって、憂鬱な気分を招いていることもあります。夫に話をじっくり聞いてもらうことで、「マタニティ ブルー」が軽快したという報告もあります。
一方、産後1カ月をすぎても、ますます情緒不安定な状態が進行する場合は少し注意が必要です。イライラする、眠れない、わけもなく悲しくなって泣いてしまう、物事に集中できない、神経が過敏になって些細なことでも心配になる、やる気が出ないなどの症状が続き、一向に改善しないときは「産後抑鬱症」の可能性も考えられます。
「産後抑鬱症」は「マタニティ ブルー」とは違い生理的な現象ではなく、心の病気に近いものです。人によって持続期間は異なりますが、3カ月から12カ月程度続くといわれます。
この場合にも睡眠不足が症状を悪化させるといわれるので、症状を軽快させるには熟睡できる環境を整えるとよいのですが、生活環境を整えても症状が強い場合は薬による治療が必要です。躊躇せず、産婦人科や精神科、診療内科を受診しましょう。
医学博士、日本小児科学会認定医、子どもの心相談医。1987年筑波大学卒。1994年筑波大学大学院博士課程修了筑波大附属病院、(株)日立製作所水戸総合病院、茨城県立こども病院で研修。1996年4月より現職。
昼間、子どもと2人きりでいると、わけもなく不安にかられることがあります。ささいなことでも涙もろくなり、自分に自信が持てず憂鬱な気分です。これが「マタニティ ブルー」なのでしょうか。
(リンリン 0カ月)