2022.04.05

働き方でみる暮らしの実態調査
テレワークで変わる家事時間の使い方

2020年4月の緊急事態宣言から2年が経過しました。人との接触を避けるためにテレワークが推奨され、働き方も大きく変化しました。最初は戸惑いもあったテレワークは、コロナ禍が収束した後も働き方の一つとして定着すると予想されています。今回は、在宅勤務のテレワーカーを調査。新たな働き方がもたらした意識や行動の変化を紐解きます。 (以下、「テレワーク」は在宅勤務を示す。)

約6割がテレワークに満足 若い人ほど高い満足度に

2021年7月時点で、男女ともに約6割がテレワークに「かなり満足」「やや満足」と回答しています。年代別でみると20代が最も高く、男性67%、女性71%、ついで30代の男性62%、女性68%と、若い人ほど満足度が高い結果に。男女で比較すると、60~64歳以外の全ての年代で女性の満足度の方が高いことがわかります。

テレワークの満足度のグラフ 首都圏在住25~64歳 有職既婚男女(フルタイム、パートタイム) 最近1カ月間に在宅勤務の経験有り560人(2021年7月 花王 生活者情報開発部調べ)

テレワークの満足度のグラフ 首都圏在住25~64歳 有職既婚男女(フルタイム、パートタイム) 最近1カ月間に在宅勤務の経験有り560人(2021年7月 花王 生活者情報開発部調べ)

テレワークの満足度のグラフ 首都圏在住25~64歳 有職既婚男女(フルタイム、パートタイム) 最近1カ月間に在宅勤務の経験有り560人(2021年7月 花王 生活者情報開発部調べ)

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時間の使い方の変化がメリットにもデメリットにも

テレワークの最大のメリットは、男女ともに通勤時間の削減(男性73%、女性79%)でした。通勤に使っていた時間を自分のペースで家事や仕事に使ったり、家族との時間を増やしたり、自由に有効活用しているようです。特に女性は、身だしなみにかける時間やコスト、人間関係のわずらわしさが減ることをメリットと受け止めるところもあるようです。

一方で、デメリットはその裏返しとなる内容で、最も回答の多かったデメリットは、家の中に仕事を持ち込むことでのオンオフの切り替えの難しさ(男性47%、女性46%)でした。ついで通勤などの移動がなくなったことによる運動不足。通信費の負担や、ワークスペースなど家の環境が整備されていないこともデメリットに挙げられていました。また、身だしなみや服装に気を使わなくなったことも、必ずしもよいとは考えられていないようです。

テレワークのメリットのグラフ 首都圏在住25~64歳 有職既婚男女(フルタイム、パートタイム) 最近1カ月間に在宅勤務の経験有り560人(2021年7月 花王 生活者情報開発部調べ)

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テレワークのデメリットのグラフ 首都圏在住25~64歳 有職既婚男女(フルタイム、パートタイム) 最近1カ月間に在宅勤務の経験有り560人(2021年7月 花王 生活者情報開発部調べ)

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テレワークで変わる生活意識

テレワーカーは家で過ごす時間が増えた分、快適に過ごしたいという気持ちが高まっており、出勤をしている人と比較して、こまめな掃除や家事を家族で分担する意識も高くなっています。

男女別働き方でみる日常生活への意識のグラフ 首都圏在住25~64歳 有職既婚男女(フルタイム、パートタイム) 最近1カ月間に在宅勤務の経験有り560人 最近1カ月間に在宅勤務の経験無し560人(2021年7月 花王 生活者情報開発部調べ)

男女別働き方でみる日常生活への意識のグラフ 首都圏在住25~64歳 有職既婚男女(フルタイム、パートタイム) 最近1カ月間に在宅勤務の経験有り560人 最近1カ月間に在宅勤務の経験無し560人(2021年7月 花王 生活者情報開発部調べ)

男女別働き方でみる日常生活への意識のグラフ 首都圏在住25~64歳 有職既婚男女(フルタイム、パートタイム) 最近1カ月間に在宅勤務の経験有り560人 最近1カ月間に在宅勤務の経験無し560人(2021年7月 花王 生活者情報開発部調べ)

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オンライン会議で映ってしまう範囲だけでも部屋の掃除をこまめにしてくれるようになって良かった。 (30代女性)

家族と過ごす時間が増えた。子どもに目を向ける機会が増えて、小さなことでも成長を感じる。  (30代男性)

育児を手伝ってもらえて負担がすごく軽くなった。夫も子どもの成長を身近で見れるのが嬉しいようでよかったと思う。 (30代女性)

時間的余裕が増えたので、家事を積極的にやるようになった。 (50代男性)

テレワーカーは家事をする時間帯が大きく変化

フルタイム勤務の出勤者とテレワーカーで平日の家事をする時間帯を比較すると、通勤や日中の仕事の時間帯(8時~18時台)の中で、テレワーカーは洗濯物を干したり、掃除や買い物をしたりなど、家にいられるメリットを活かして、家事をすることが増えていました。出勤して働いていると早朝と夜遅くに詰め込まざるを得なかった家事がテレワークという新しい働き方によって分散していることがわかります。

平日の家事をする時間帯の表 首都圏在住25~64歳 有職既婚女性(フルタイムのみ) 最近1カ月間に在宅勤務の経験有り197人 最近1カ月間に在宅勤務の経験無し93人(2021年7月 花王 生活者情報開発部調べ)

平日の家事をする時間帯の表 首都圏在住25~64歳 有職既婚女性(フルタイムのみ) 最近1カ月間に在宅勤務の経験有り197人 最近1カ月間に在宅勤務の経験無し93人(2021年7月 花王 生活者情報開発部調べ)

平日の家事をする時間帯の表 首都圏在住25~64歳 有職既婚女性(フルタイムのみ) 最近1カ月間に在宅勤務の経験有り197人 最近1カ月間に在宅勤務の経験無し93人(2021年7月 花王 生活者情報開発部調べ)

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また、仕事の合間に家事ができることで気持ちの余裕が生まれたり、家事が気分転換になっていたり、時間の使い方の変化により上手にリフレッシュすることで、仕事の効率も上げながら、テレワークによって家事がより軽やかなスタイルへと変化しているように感じられます。

昼休み中やテレワークの合間に夕飯の下ごしらえができる。 (30代女性)

洗濯は、仕事の合間の気分転換と軽い運動になって良い。ときには掃除機をかけて体を動かしている。 (50代女性)

洗濯や掃除・アイロンがけを朝や夕方にやれるので、夕食後に自由な時間を持てて、気分をリフレッシュできる。 (50代女性)

テレワークによる体への影響を実感

出勤者と比較すると、テレワーカーは気になる症状を挙げる人が多く、特に男性に顕著にみられました。女性はテレワーカー・出勤者いずれもスコアが男性に比べて高く、働き方にかかわらず普段から不調を感じているようです。女性テレワーカーで出勤者との差が大きいのは、肩こりと体重増加。男性は、肩こり・目の疲れ・腰痛・疲労感のスコアが特に高くなっており、働く環境の変化による運動不足などが及ぼす体への影響をより強く感じていることがわかります。

男女別現在気になっている症状のグラフ 首都圏在住25~64歳 有職既婚男女(フルタイム、パートタイム) 最近1カ月間に在宅勤務の経験有り560人 最近1カ月間に在宅勤務の経験無し560人(2021年7月 花王 生活者情報開発部調べ)

男女別現在気になっている症状のグラフ 首都圏在住25~64歳 有職既婚男女(フルタイム、パートタイム) 最近1カ月間に在宅勤務の経験有り560人 最近1カ月間に在宅勤務の経験無し560人(2021年7月 花王 生活者情報開発部調べ)

男女別現在気になっている症状のグラフ 首都圏在住25~64歳 有職既婚男女(フルタイム、パートタイム) 最近1カ月間に在宅勤務の経験有り560人 最近1カ月間に在宅勤務の経験無し560人(2021年7月 花王 生活者情報開発部調べ)

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自宅にテレワーク用の設備が整っていないため画面が暗かったり、イスに長時間座っていると腰が痛くなったりする。 (20代女性)

運動不足で、身体中バキバキになってしまったので、通勤したほうがいいかも。 (50代女性)

休むタイミングがわからず、楽ではない。メリハリがきかないので疲れる。 (50代男性)

テレワーカーのウォーキング実施率は約4割

男性テレワーカーは出勤者と比較して、ウォーキング・ジョギング・筋トレなどの運動を意欲的に行っています。他にも睡眠や栄養バランスのとれた食事など、生活を整えようと意識しているようです。女性テレワーカーもウォーキングを行う人は多いですが、サプリメントの利用以外は、出勤者と比べてそれほど差が見られません。男性の方がテレワークによる体調の変化を実感し、前向きに取り組んでいるようです。

男女別健康維持のためにしていることのグラフ 首都圏在住25~64歳 有職既婚男女(フルタイム、パートタイム) 最近1カ月間に在宅勤務の経験有り560人 最近1カ月間に在宅勤務の経験無し560人(2021年7月 花王 生活者情報開発部調べ)

男女別健康維持のためにしていることのグラフ 首都圏在住25~64歳 有職既婚男女(フルタイム、パートタイム) 最近1カ月間に在宅勤務の経験有り560人 最近1カ月間に在宅勤務の経験無し560人(2021年7月 花王 生活者情報開発部調べ)

男女別健康維持のためにしていることのグラフ 首都圏在住25~64歳 有職既婚男女(フルタイム、パートタイム) 最近1カ月間に在宅勤務の経験有り560人 最近1カ月間に在宅勤務の経験無し560人(2021年7月 花王 生活者情報開発部調べ)

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テレワークが一時的なものではなく、働き方の一つとして定着する中で、仕事と家庭生活のありようも変化しています。オンオフの切り替えの難しさを感じながらも、時間の自由度が増すことで、仕事と家事をフレキシブルに行うようになっています。家事で気分転換する、家族でシェアするなど家事に追われるのではなく気持ちに余裕が生まれる様子が伺えました。一方で、在宅が増えたことにより積極的に運動しようという意識も生まれています。
テレワークの広まりは、在宅・出勤といったワークスタイルが、暮らしや仕事に与えるメリット・デメリットを意識する機会となったようです。働き方によって暮らし方も変える、そんな柔軟なスタイルがこれからの暮らしの満足度をあげる重要なポイントになるのかもしれません。

調査概要

「在宅勤務者の暮らしに関する意識調査」
◎2021年7月/インターネット調査/首都圏在住25~64歳既婚男女/在宅勤務者(最近1カ月間に在宅勤務有)、出勤者(最近1カ月間に在宅勤務無) 男性各240人、女性各320人

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