くらしの現場レポート

家事の効率化でくらしを充実
ミレニアル世代の家事をまわすしくみ作り

2020.10.06

『ミレニアル世代』とは、1980年頃から1990年代半ばに生まれた、現在20代後半〜30代の人たち。インターネットやSNSの普及とともに育った、『デジタルネイティブ世代』とも呼ばれ、自分に必要な情報を効率良く収集し取り入れることに長けています。そんなミレニアル世代の既婚女性たちは、家事においても効率良く、ストレスなくまわすための工夫を取り入れていました。

仕事も育児も自分の時間も大切にしたい

総務省『労働力調査』(2019年)によると、ミレニアル世代である現在25~39歳の既婚女性の就業率は、10年前と比べて、25~29歳が50%→70%、30〜34歳が51%→69%、35~39歳が55%→71%と大きく上昇しています。

また、生活に関する意識調査(2018年)では 「家事は、多少お金をかけても時間や手間を軽減させたい」 「仕事が忙しいので家事や育児をする時間が取れない」が、10年前に比べて上昇。仕事や育児に追われて家事への負担感が高まっている様子が見てとれます。一方、「家事や育児のため、自分の時間が犠牲になるのもやむを得ない」は低下、「家族のことも大切だが、その前にまず自分のことを優先的に考えたい」が上昇し、自分の時間もちゃんと確保したいという彼女たちのおもいもうかがえました。

暮らしに関する意識のグラフ 首都圏在住 25~39歳 既婚女性 2008年205人、2018年284人(花王 生活者研究センター調べ)

※画像をクリックすると拡大してご覧いただけます。

家庭訪問調査では、彼女たちは、限られた時間の中で仕事や家事・育児をしっかりやりながら、自分の時間も大切にするために、常に日々のスケジュールや段取りを考えて、家事の効率化を図っていました。また「無理をしない、完璧を求めない」スタンスで家事の合格ラインを自分で設定し、時間に追われたり精神的につらくなったりしないように、うまくセルフコントロールしていました。

自分の帰宅時間まで、2人の子が安全に過ごせるためのスケジュール管理は仕事より大変。常に段取りを考えている。(31歳・夫・子2人)

週に1度、子どもを実家にお願いしてジムに行っている。この時間は忙しくても確保したい。(34歳・夫・子1人・第2子妊娠中)

家事の工夫は完璧を目指さない。余裕がなくなると子育てにも影響するので、できなくてもいいやって、うまくコントロールしています。 (28歳・夫・子2人)

しくみを作ってストレスなく家事をまわす

そんな彼女たちは、家事にかける時間や労力をできるだけ抑えてストレスなくこなすため、「家事をうまくまわすしくみ」を考えて実践しています。家事を夫とシェア、ロボット掃除機など便利な家電の活用、家事サービスの利用などに加えて、家事をおこなうタイミングや動線にも工夫がみられます。

例えば、「スーパーが混んでいる平日夕方には買い物に行かずに週末にまとめ買い」「最後に入浴する夫がお風呂掃除」などのルール化や、「収納の場所や方法を工夫して、しまいやすく・取り出しやすくする」「洗濯物はたたまずに収納」など、SNSの情報なども参考にして家事を効率的にまわすようにしくみ作りをしていました。
彼女たちは「一度しくみができあがれば、日々の家事はあまり考えなくてもルーチンでまわしていける」と考えているようです。

モノを買ったら、効率的に片付けられるように定位置を決めるのが、我が家のルール。(31歳・夫・子2人)

収納の仕方は日々、ブラッシュアップしている。インスタで見て、良さそうなものはスクリーンショットして真似をする。(34歳・夫・子1人・第2子妊娠中)

洗濯も「洗うから収納まで」の動線を考える。最大のポイントはたたまないこと。乾いたら、吊るしたまま収納。 (31歳・夫・子2人)

「やらざるを得ないこと(ワーク)」は効率化、「やりたいこと(ライク)」を充実

しくみを作ってストレスなく家事をまわそうとしている彼女たち。家事だけでなく育児や仕事など、さまざまな日々の生活の中で、「やりたいこと」には時間をかけて楽しみたいから、「やらざるを得ないこと」を効率化したいと考えているようでした。例えば、ジムや趣味の時間といった自分ごとや子どもと一緒に過ごすことは「やりたいこと」、掃除や洗濯、食器洗いのような家事は「やらざるを得ないこと」と捉え、後者を効率化することで、くらし全体を充実させているようです。

  • ストレスを溜めないために、週1回のジムの時間は確保

  • できるだけ、子どもと料理するなど、人間味のある時間にあてたい

このように、「やりたいこと(ライク)」を楽しむために「やらざるを得ないこと(ワーク)」を効率化する彼女たちは、まさに、「ワーク・ライフ・バランス」ならぬ、いわば「ワーク・ライク・バランス」を大切にしていると言えます。
※「ワーク・ライク・バランス」は花王生活者研究センターが考えた造語です。
 

「やらざるを得ないこと」と「やりたいこと」のイメージ図 掃除・洗濯・食器洗いが好きではない、子育て中の有職女性Cさんの事例 くらしの要素を、価値観に合わせ「やらざるを得ないことwork」と「やりたいことlike」に仕分けて、「時間」「労力」は、「やりたいこと」に回し、「やらざるを得ないこと」は最小限に抑えている。

「 やらざるを得ないこと」と「やりたいこと」のイメージ図

『新しい生活様式』にも活かしたい「ワーク・ライク・バランス」

コロナ禍で外出自粛や在宅勤務が続き、家で過ごす時間が増えたことで、一日の時間の使い方、過ごし方が変わったという声も多く聞かれます。例えば、「週末家事を平日に分散してこまめに実施」「気付いた時にちょこちょこ掃除」や「家族一緒の時間を楽しむ」「家族で家事シェア」など。 一日の時間の過ごし方が変わりつつある今、自分なりの「ワーク」と「ライク」を仕分けて、家事をうまくまわすしくみを考えてみる、よい機会かもしれません。

調査概要

「生活者の暮らしに関わる意識と行動について」
◎2008年9月、2018年9月/インターネット調査/首都圏在住20~60代既婚女性/2008年687人、2018年956人

「ミレニアル世代の家事調査」
◎2019年4〜8月/家庭訪問調査/20~30代既婚女性/ 8人

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