
この記事の監修者
医師・イシハラクリニック 副院長
石原 新菜さん

漢方医学、自然療法、食事療法により、種々の病気の治療をおこなう。クリニックでの診察のほか、講演、テレビ、ラジオ、執筆活動と幅広く活躍中。
13万部を超えるベストセラーとなった「病気にならない 蒸しショウガ健康法」(アスコム健康BOOKS) をはじめ、著書は70冊を数える。

【冷え性のおもな種類】
冷え性には大きく4つのタイプがあり、手足が冷える「末端冷え性」、お腹など身体の内側が冷える「内臓冷え性」、腰から脚にかけて冷える「下半身冷え性」、身体全体が冷える「全身冷え性」に分けられる。
タイプごとに原因が大きく異なるわけではない。冷えやすい生活が続くことで、手足など末端だけが冷える状態からはじまり、やがて内臓・下半身・全身へと冷えが広がっていくことが多い。

冷え性は1つの原因だけで起こるものではなく、血行不良・筋肉量の不足・自律神経の乱れ・ホルモンバランスの影響・生活習慣の乱れなど、いくつもの要因が重なって起こる。
そのなかでも、とくに要因として大きいのは、筋肉量が少ないこと。筋肉には身体の熱を生み出す役割があり、筋肉が少ないと体温を作りにくく、血流も滞りやすくなる。
そのため、運動不足や、長時間の立ちっぱなし・座りっぱなしの生活・湯船に浸からない習慣などが続くと、血の巡りが悪くなり、身体が冷えやすくなる。
また、筋肉量は年齢とともに少しずつ低下するため、加齢にともない身体のなかで熱を作りにくくなる。さらに、女性は男性より筋肉量が少ない傾向があるため、そのぶん冷えを感じやすい。

上記以外にも、ストレスも冷えの原因になります。ストレスが強いと交感神経が優位になり、血管が縮んだ状態が続きます。その結果、血流が悪くなり、身体が冷えやすくなってしまいます。


冷え性対策として大切なのが、筋肉をつけて、基礎代謝を上げること。
筋肉が少ないと体温を作りにくく、血流も滞りやすくなるため、冷えを感じやすくなる。
さらに筋肉がついて基礎代謝が上がると、栄養をエネルギーに変えるときに熱も生まれ、体温を保ちやすくなる。
とくに下半身には大きな筋肉が集まっており、適度に動かすことで血流が促され、身体の巡りがよくなる。
激しい運動である必要はなく、ウォーキングや軽いストレッチなど、日常生活に取り入れやすい運動でも十分。筋肉を少しずつ増やし、身体の巡りを整える習慣をつけよう。

筋肉が少ないと巡りが悪くなり、どうしても冷えやすくなります。身体を巡らせるためには湯船に浸かるのも有効ですが、とくに効果的なのは運動です。実際に週3回ほどジムに通う習慣で、冬の寒さが気にならなくなったという改善例もあります。

【意識したい栄養素】
体温の約40%は筋肉によって作られるため、筋肉の材料となるタンパク質をしっかり摂ることが、身体を温める力につながる。タンパク質の必要量は、体重1kgあたり1〜1.5g、冷え性対策としても、50g程度のタンパク質を意識して摂ることが大切。

また、糖質や脂質、タンパク質が摂れていても、ビタミンやミネラルが不足していると栄養がエネルギーに変わりにくく、身体の熱も生まれにくくなる。
糖質をエネルギーに変えるビタミンB1、脂質をエネルギーに変えるビタミンB2、タンパク質の代謝を助けるビタミンB6をはじめ、鉄の吸収を助けるビタミンCも意識したい。
さらに、冷え性対策には、代謝酵素の材料となる亜鉛やマグネシウム、血液の材料となる鉄が重要。
とくに女性は鉄分不足が多く、貧血や隠れ貧血によって冷えを感じやすくなるため、日常的に意識して摂ることが大切。

冷え性対策では、食事の栄養バランスを整えることが重要です。主食・主菜・副菜をそろえた和食のような食事を基本に、栄養素をバランスよく摂ることが、冷えにくい身体づくりにつながります。

【見直すべき生活習慣】
※冷え性の場合に限らず
冷え性対策では、睡眠時間と生活リズムを整えることも重要。睡眠中は副交感神経活動が優位になり、身体がリラックスして血管が広がり、血流がよくなる。
一方、起きている時間が長くなるとストレスがかかりやすく、交感神経活動が優位な状態が続きやすいため、血管が収縮して、体温調節がうまくいかず、冷えにつながることもある。
理想は、質のよい睡眠を6〜7時間ほど確保すること。起床時間と就寝時間をできるだけ一定に保ち、夜更かしを避けるなど、生活リズムを整えることが大切。

副交感神経を優位にするためには、就寝前のリラックスタイムも効果的です。ゆっくり湯船に浸かる、ヨガなどの軽い運動をおこなうなど、心身を落ち着かせる習慣をつけましょう。

冷え性対策では、シャワーだけで済ませず、湯船に浸かることが大切。シャワーだけでは身体の芯まで温まりにくく、入浴後も寒さを感じやすくなる。
湯船にゆっくり浸かることで深部体温が上がり、血流も促される。入浴時間の目安は10〜15分ほどで、うっすら汗が出てくる程度まで温まれば十分。

炭酸入浴剤を使うと血行が促され、より身体が温まりやすくなります。通常の入浴より温浴効果を感じやすく、冷え対策や疲労の改善として取り入れやすい方法です。

冷え対策では、服装や生活環境を整え、外から身体を冷やさない工夫も大切。とくに首、手首、足首の三首は熱が逃げやすいため、しっかり温めること。
身体は「頭寒足熱」の状態が理想とされ、頭は涼しく足は温かい状態が健康的。足先まで血流が巡り、身体全体の血流が整いやすくなる。

夏は冷房の効いた室内で薄着のまま過ごしたり、冷たい飲み物を多く摂ったりすることで内臓が冷えやすい環境です。そのため、実は冬よりも夏のほうが、冷えによる不調を訴える人が増える傾向が見られます。季節を問わず、靴下を履く、ひざ掛けを使うなど足元を温める工夫をしましょう。

冷えを感じたときは、まず身体の「三首」を温めることが即効性の高い対処法。
三首とは「首・手首・足首」のことで、血管が皮膚の近くを通っているため、温めることで身体全体に熱が巡りやすくなる。
また、「お腹」や「腰」を温めることも効果的。お腹は内臓や血液が集まる場所で、腰は神経が多く通り、臓器のはたらきとも関係する部位。温めることで身体の巡りが整いやすくなる。

さらに、「目もと」を温めることも冷え対策の1つ。
目もとを約40℃の蒸気温熱で温めると副交感神経の活動が優位になり、全身の血流が良くなって手足の先まで温まりやすくなる効果が期待できる。

現代人はパソコンやスマートフォンを見る時間が長く、肩や首がこりやすく、目の血流も悪くなりがちです。画面を見続けていると瞬きの回数が減り、涙の分泌も少なくなるため、目が乾きやすくなります。
目もとを温めると、目の疲れや目の周りのこりがやわらぎ、血流がよくなります。血流が改善されることで涙の分泌も促され、ドライアイのケアにもつながります。
A.筋肉量の少なさと月経周期が体温に影響するため。

女性は男性に比べて筋肉量が少ないため、体温を生み出しにくく、身体が冷えやすいです。
さらに女性は月経周期によって体温が変化します。生理が始まってから排卵までの約2週間は低温期となり、体温が低い状態が続きます。
また、妊娠に向けて分泌されるプロゲステロンというホルモンの影響で、むくみや眠気、便秘などの症状が出ることもあり、こうしたホルモン変動も体調に影響します。
A.温活の方法を見直し、生活習慣を整えること。

冷え性が改善しない場合は、温活の方法を見直すことが大切です。とくに1つの対策だけでは変わりにくいことも多いため、食事、運動、睡眠、入浴など、毎日の生活全体を見直しましょう。
お風呂に浸からない、運動習慣がないなど、まだ取り入れられていない対策が残っている場合もあります。
また、ストレスも冷えに関係するため、うまく発散することも大切です。体質改善はすぐに結果が出るものではありませんが、生活習慣を整えて継続することで、少しずつ冷えにくい身体に変わっていきます。
A.冷え性対策として効果が期待できる。

漢方は身体を温める作用を持つものが多く、冷えによる不調の改善に役立つことがあります。
ただし、冷え性の改善においては、まずは生活習慣を整えることが基本。食事、運動、入浴などの生活を見直し、それでも冷えが続く場合に、漢方を検討してみましょう。
漢方は、一人ひとりの体質や症状に合わせて処方を変えられる点が特徴です。複数の漢方を組み合わせたり、症状の変化に合わせて処方を切り替えたりすることもできます。
自己判断ではなく、医師や薬剤師に相談しながら、自分の体質に合ったものを選ぶようにしましょう。