「お手伝い」で
子どもの心が育つ

「お手伝い」は、家事の負担を減らすだけのものではありません。
子どもの心の成長を支え、
将来につながる力を育む“日常の学び”にもなります。
また、家族みんなで1つのことに取り組むことで、
親子関係の強化にもつながります。
この記事では、特に掃除のお手伝いに注目しながら、
育まれる力や、楽しく取り組み、
習慣として身につく工夫などをご紹介します。

目次

目次

子どもの
「非認知能力」を養う
「掃除のお手伝い」
4つのメリット

近年、子どもの成長において「非認知能力」が注目されています。非認知能力とは、テストの点数のように数値で測りにくい、いわゆる心の力(意欲・粘り強さ・自制心・協調性など)を指します。幼少期に非認知能力が育つことは、将来の学びや人生の豊かさにも影響すると言われています。
非認知能力を伸ばす代表的なものに「本人がやりたがる遊び」がありますが、お手伝いもその1つです。

●役に立ったという気持ちが「自己効力感」「思いやりの心」を育む
家族の一員として家族のために取り組む経験は、「ありがとう」「助かったよ」と家族に感謝されることから、
  • 自分は役に立てるという実感(自己効力感)
  • 人のために行動する気持ち(思いやり)
を育むきっかけになります。

●続けることで「責任感・自己管理力」につながる
お手伝いは遊びと違い、最初はやる気満々でも、しばらくすると飽きて続かないこともあるでしょう。そんな中で、
  • 自分の「担当」を決める
  • できる範囲で「継続」する
という経験が、責任感自己管理力につながります。

●掃除は「ワーキングメモリー(短期記憶)」を鍛えられる
掃除は手順が多く、実は頭を使う作業です。たとえば床掃除なら「床のものをよける→大きなごみを捨てる→拭く順番やルートを考える→実際拭いて仕上げる」のように、「次に何をするか」を覚えながら同時に作業を進める力が必要になります。これはワーキングメモリー(情報を一時的に保持しつつ処理・操作する力)を使う場面です。ワーキングメモリーが育つと、
  • 必要な情報を取り出す
  • 複数の作業を並行して進める
といったことがしやすくなり、勉強や生活の場面でも役立ちます。

●指先を使う掃除で「感覚統合」を促す
掃除は、五感と全身を使う活動です。
  • 机を拭く・スプレーする(指先の操作)
  • かがむ・立つ・運ぶ(体の動き)
  • ゴミをつまむ・においに気づく(触覚・嗅覚など)
こうした複数の感覚を同時に使う動きは、感覚統合を促すと言われています。感覚統合は体の使い方だけでなく、気持ちの安定などメンタル面にもよい影響があるとされています。

楽しくお手伝いが
できるポイント

こどもの気持ちを尊重しつつ大人が雰囲気をつくることが一番の近道です。

●褒める・感謝を伝える
完璧でなくても、「ここまでやってくれたの助かった!」など手伝ってくれたことを具体的に褒めることで、達成感や自己肯定感を高めましょう。「ありがとう」と伝えることで満足感を得て、もっと手伝いたい気持ちになります。また、「お風呂きれいになると気持ちが良いね!」など、成果の心地よさも一緒に伝えると効果的です。

●選べる自由を与える
「どっちをやる?」と選ばせたり、順番を決めさせてあげると協力しやすくなります。ポイントは、あまり選択肢を多くせず2~3個に絞り、自分で決められるようにすることです。自分で決めたことは前向きに取り組みやすく、責任感にもつながります。

●短時間でルーティン化する(3〜5分でOK)
毎日同じ時間に、短時間だけ取り組むのがおすすめです。習慣化すると抵抗が減ります。さらに効果的なのは、家族で一緒にルーティン化すること。「○○家 おそうじタイム」みたいに家族全員で取り組むと、子どもの抵抗感が減り、自然に続けやすくなります。

●「まねっこ」から始める
最初は親が一緒にやって見本を見せましょう。一緒にやる時間を設けると楽しい思い出になりますよ。

●焦らない
すぐにうまくできなくても、焦らず、子どものやる気を尊重して、長期的に掃除の習慣を身につけさせましょう。

お手伝いは
「良好な親子関係」を
育む

お手伝いで何より大切なのは、親子のコミュニケーションが増えることです。「お風呂洗いがんばったね」「きれいにすると気持ちいいね」など、会話しながら一緒に作業することで、子どもは親の愛情を実感しやすくなり、親子関係の安定にもつながります。うまくできない日があっても、焦らず叱らないことが大切です。どうしても難しい日は一度休み、別の日にまた挑戦すれば十分です。子どもの意欲を尊重し、長い目で習慣化を目指しましょう。

掃除に対する意識。子どものころ掃除のお手伝いをしていた(782名):掃除が好きだ 36.7%、掃除が好きではない 63.3%/子どものころ掃除のお手伝いをしていなかった(218名):掃除が好きだ 29.4%、掃除が好きではない 70.6%

※ こどものころのお手伝い経験…床、お風呂、トイレそうじ
※ 花王 年末大そうじに関する調査 2026年1月 20~69代既婚女性N=1000、
「掃除が好きだ」「掃除が好きではない」は、それぞれに「近い」・「やや近い」の回答の合計

年末大そうじ実施率。子どものころ毎年年末大そうじを行っていた(633名):年末大そうじをした 61.0%、しなかった 39.0%/子どものころ毎年年末大そうじを行っていなかった(126名):年末大そうじをした 31.7%、しなかった 68.3%

※ 花王 年末大そうじに関する調査 2026年1月 20~60代既婚女性 N=1,000

調査では、子どものころに掃除を手伝っていた人ほど「掃除が好き」と答える割合が高く、また子どものころに大掃除をしていた人は、現在も大掃除の実施率が高いという結果も示されています。こうしたことから、幼少期の掃除習慣が、成人後の掃除行動にもつながる可能性がうかがえます。子供の生活力を養うためにも、まずは少しずつ始めてみるのはいかがでしょうか。

夏休み・冬休みは
「家族で大掃除」を
始めるチャンス

忙しい日常では、「子どもに任せるより自分がやった方が早い」と感じることもあります。そんなときは、イベントとして取り組める大掃除がおすすめです。家族で大掃除をすると、
  • 分担して「自分の担当」を持てる
  • 普段やらない場所がきれいになり達成感が出やすい
  • 会話が生まれ、連帯感が高まりやすい
といったメリットがあります。「持ってくれてありがとう」「力持ちだね」「掃除上手!」など、声かけをしながら進めることで、親子の心の距離も縮まります。

子どもの大そうじ参加率(高校生までの同居している子ども)。2015年 23.4% → 2025年 19.7%

※ 花王 年末大そうじに関する調査
2016年1月 20~60代既婚女性 高校生まので子あり世代 N=355
2026年1月 20~60代既婚女性 高校生まので子あり世代 N=346

一方で、子どもの大掃除参加率は低下傾向にあるとも言われています。共働き世帯が増え親子時間が相対的に減る中、家族のイベントである大掃除は、貴重なコミュニケーションの機会にもなります。長期休暇に、家族で掃除に取り組む時間をつくってみてはいかがでしょう。

年齢別
おすすめの掃除
(目安)

お子さんの発達や性格に合わせ、無理のない範囲でチャレンジしてみてください。

幼児(3〜5歳)

小学生(1〜2年生)

小学生(3〜4年生)

身の回りの支度が安定してきたら範囲を広げます。自室、家族が使う洗面台などが始めやすいです。網戸掃除も「やってみた感」が出やすくおすすめです。

小学生(5〜6年生)

高学年は少し複雑な掃除に挑戦。お風呂掃除は、洗う場所が多く段取りが必要で“考える力”も鍛えられます。

おすすめアイテム

親野智可等(おやのちから)先生
教育評論家。教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、家庭教育について具体的に提案。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても著名。『親の言葉100』『子育て365日』『反抗期まるごと解決BOOK』などベストセラー多数。各種SNSでも発信。全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。

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