くらしの現場レポート

「知る」ことが「きっかけ」につながる
SDGsへの関心が、未来を変える第一歩

2019.06.25

「SDGs (エスディージーズ)」という言葉を耳にしたことはありますか?「SDGs」とは、2015年9月の国連サミットにおいて、日本を含む193の加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals )」の略称です。世界を見渡した時、飢餓、環境、気候変動、格差の拡大などの多くの問題が山積している現状に、このままでは地球も社会も経済も立ち行かなくなり、今の世界を未来へとつなげていけないという強い危機感を、世界の人々が共有したことから生まれた目標です。地球上に生きる一人ひとりの未来に深く関わる「SDGs」と私たちの暮らしについて考えます。

まだ日本での認知度は低いSDGs

SDGsは、貧困や飢餓問題、健康と教育、格差、不平等、安全な水の確保、エネルギー、働きがい、産業・経済成長、環境、気候変動、世界のパートナーシップなど、17の目標と具体的な169のターゲットを掲げています。SDGsの目標が、このように多岐に渡っているのは、「誰ひとり取り残さない」という力強い理念のもと、世界のすべての人がより幸せになる未来づくりを目指しているからです。目標達成のゴールは2030年。今現在、国の内外で国や企業、NPO、個人による取り組みが広がりつつありますが、日本での認知度はまだ低いのが現状です。「『SDGs』という言葉を聞いたことがある」と答えたのは、わずか19%(男性23%、女性14%)でした。
*出典:2019年SDGs認知度調査(朝日新聞社)(外部サイトへリンク)

SDGs17の目標

関心は高くても、何をしたらいいかわからない

現状は認知度が低いSDGsですが、花王の調査で既婚女性に個別に17の目標を具体的に提示してみると、「関心がある」と答えた割合が50%を超えた目標は12あり、上位3項目は『⑬気候変動に具体的な対策を(67%)』、『②飢餓をゼロに(65%)』、『⑭海の豊かさを守ろう(65%)』で、環境や人道的な目標への関心が高いようです。一方、『⑤ジェンダー平等を実現しよう(35%)』『⑨産業と技術革新の基盤をつくろう(16%)』、『⑰パートナーシップで目標を達成しよう(16%)』などは関心度が低く、目標によって偏りがみられました。また、それぞれの目標に「今後貢献したい」と答えた割合は、関心度に比べると全般的に低い傾向にあり、50%を越えた目標はありませんでした。目標自体に関心はあっても、「自分の負担になるような貢献は無理」、「何をすれば貢献できるかわからない」といった戸惑いの声も聞かれました。

SDGs(持続可能な開発目標)の各目標への関心と貢献意識のグラフ 首都圏在住20~70代既婚女性370人(複数回答)(2018年)(花王 生活者研究センター調べ)

※画像をクリックすると拡大してご覧いただけます。

日常の何気ない体験や気づきが、関心の芽生えに

貢献したいと思ったきっかけはさまざまですが、例えば、 『⑬気候変動への具体的な対策を』については、「猛暑や異常気象による災害増加などへの危機感から関心が高まり、これまでも温暖化対策として取り組んでいた節電やごみの分別に、より積極的になった」という声が多く寄せられました。また、日本で暮らしていると意識しにくい『②飢餓をゼロに』や、関心度があまり高くなかった『⑤ジェンダー平等を実現しよう』などについても、「勤め先の食品廃棄を見てあらためて考えた」、「知人が参加している活動に影響を受けた」など、日常の何気ない体験や気づきから関心が芽生え、「これから自分に何ができるか考えたい」と意識の変化へとつながったというが声が聞かれました。

13気候変動に具体的な対策を

最近の異常気象には何か取り組まないと大変な事態になると実感。移動は出来るだけ公共機関や徒歩に。使い捨てをやめる、詰め替えでごみを減らすなど実施していきたい。(40代既婚女性)

4質の高い教育をみんなに

子供の頃から教育を受けられれば、貧困や飢餓からも救われると思う。知人が子供食堂でボランティアをやっていると聞き、食材を提供したいと思った。(60代既婚女性)

2飢餓をゼロに

コンビニのパートで毎日食品廃棄を見ると、家畜のエサに再利用もしてはいるが、世界には困っている人が沢山いると思うと考える。(30代既婚女性)

5ジェンダー平等を実現しよう

知人がLGBT啓発の活動に熱心に取り組んでいる。その影響もあり、私もイベントに参加したり、LGBTについて話し合ったりと、偏見をなくすようにしている。(40代既婚女性)

6安全な水とトイレを世界中に

会社の支援活動で、トイレはアフリカの発展途上国では深刻な問題になっていると知った。社業を通じて、何か出来ることがあればと考えるようになった。(20代既婚女性)

「SDGs」に関心を持ち、考えることが、未来を変える第一歩

調査から、SDGsの17の目標に対して関心を持つさまざまなきっかけがみえてきました。まずは、一人ひとりがSDGsの目標に関心を持ち、考えることが大切。身近な人の悩みや、関心事に耳を傾け、自分のすぐ近くにある社会課題に気付くことも、SDGsへの第一歩といえるでしょう。2030年のゴールを目指し、子どもや次世代に住みやすい世界を残すために、17の具体的な目標を意識して、関心を持った目標に対し自分に何ができるか考えていきたいですね。

【参考】

調査概要

「環境・SDGsについての意識実態調査」
◎2018年7~8月/郵送調査/首都圏在住20~70代既婚女性/370人

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