「お風呂が面倒な日の対処法」のタイトル画像。帰宅後ソファでだるそうにしている女性のイラストイメージ

お風呂が面倒な人へ!心身を整える入浴法を紹介

この記事の監修者

東京都市大学 人間科学部教授
早坂 信哉さん

早坂信哉さんの写真

高齢者医療の経験から入浴の重要性に気づき4万人以上の入浴を調査した、入浴や温泉に関する医学的研究の第一人者。「世界一受けたい授業」「あさイチ」などテレビやラジオ、新聞や講演など多方面で活躍中。著書「最高の入浴法」(大和書房)「おうち時間を快適に過ごす入浴は究極の疲労回復術」(山と溪谷社)など。

1.お風呂が「面倒」と感じるおもな理由

入浴しようと思っていても、お風呂が面倒に感じたり、ついつい後回しにした経験がある人も多いはず。
なぜお風呂に入るのが面倒だと感じてしまうのか、おもな理由を見てみよう。

時間的な余裕のなさ

お風呂を面倒と感じる人が増えているもっとも大きな要因は「時間のなさ」

お風呂よりも優先したいことが多く、SNSや動画視聴など帰宅後にほかの活動に時間を費やしているうちに、入浴が後回しになってしまったり、入浴する時間がないと感じたりする人が増えている。
とくに入浴は食事と違い、短期間であれば入らなくても大きな影響が出にくいため、先延ばしにしやすい傾向がある。

リモートワークの増加

リモートワークが増えたことにより、通勤がなくなって、自宅で過ごす時間が増えたことも、お風呂離れの原因。

「外出していないから汚れていない」という意識で、シャワーだけで済ませたり、湯船に浸かることを面倒に感じたりする人も多い。

結果として、湯船入浴が日課ではなく、やらなくてもいいことに変化し、湯船に浸かるモチベーションが下がってしまう。

光熱費の節約

湯船入浴するためには、お湯を沸かす必要があり、少なからず光熱費がかかってしまう。

近年、光熱費が上がったために、ガス代・水道代・電気代の負担を考えて、シャワーで済ませたり、湯船入浴の頻度を減らす人も多い。

「節約のために入らない」という罪悪感の少ない選択肢があることも、入浴することへの心理的ハードルが上がる要因のひとつといえる。

「お風呂を面倒と感じる理由」の説明画像。時間がない:他のことを優先して入浴が後回しに / リモートワークの増加:自宅で過ごす時間が増えたことで、入浴しなくてもいいやという気持ちに / 光熱費がかかる:ガス代・水道代・電気代などが負担に

早坂信哉さんの写真

年代別で見ると、若い世代だけでなく、高齢の夫婦世帯でも入浴頻度が減少している傾向があります。これは加齢にともなって、入浴事故のリスクが高まったり、お風呂掃除の負担が大きく感じたりすることなども関係していると考えられます。子どものいる家庭は、定期的に入浴する傾向があります。

2.さまざまな健康効果も!お風呂に入るメリット

「さまざまな健康効果も!お風呂に入るメリット」について解説している早坂信哉さんの写真

湯船に浸かることは、ただ汗や汚れを落とすだけでなく、さまざまな健康効果が期待できる。
 
せっかくの入浴時間を有効活用するためにも、シャワーでサッと済ませるより、湯船に浸かるのがおすすめ。
 
湯船に浸かることで得られる効果はこちらの記事で解説しているので、詳細が気になる人はチェックしてみよう。

早坂信哉さんの写真

最近の研究では、お風呂に入ることで認知症予防効果があることが明らかになりました。毎日湯船に浸かる人と浸からない人を比較したところ、毎日湯船に浸かる人は認知症になるリスクが26%も減少することが判明しています。また、別の調査では、毎日湯船に浸かる人は、週に0〜2回しか浸からない人よりも要介護認定を受けるリスクが30%も減るという結果も出ています。

3.お風呂が「面倒」なときに試したい入浴法!

入浴時の楽しみを用意する

湯船に入る習慣を継続させるためには、入浴中の楽しみを増やすことがおすすめ。防水のタブレット・スマートフォンで動画やドラマを見たり、本を読んだりすることはもちろん、カラオケアプリを使って歌うのも、お風呂の新しい楽しみ方の一つ。

また、好きな飲み物を飲みながらリラックスするのも良い。

帰宅後にすぐお風呂に入る

帰宅後すぐに入浴をしている女性のイラストイメージ

お風呂を面倒に感じる前に、帰宅後すぐにお風呂に入る習慣をつけるのもおすすめ。

朝のうちに湯船を洗っておく、帰宅の時間に合わせて給湯予約をするなど、できるだけ帰宅後すぐに入浴できるように準備をしておくとよい。

割り切って朝に入浴する

朝にシャワーを浴びている男性のイラストイメージ

夜に入浴する余裕がない場合や、くたくたに疲れている日などは、無理をせず、朝に入浴するという選択肢もある。

ただし、夜の入浴と同じようにぬるめのお湯にゆっくり浸かってしまうと、身体がリラックスモードに入り、かえって眠くなる可能性がある。

朝に入浴する場合は、42℃くらいの少し熱めのお湯に短めに浸かるのがおすすめ。

熱いお湯が交感神経を刺激するため、身体も脳も目覚めやすくなる。

週末や休みの日だけ入る

平日は時間的余裕がないこともあるので、週末や仕事が休みの日など、時間があるときに入浴する習慣をつけるのもおすすめ。

時間的な余裕がある日や休日前の夜だけ湯船に浸かるなど、無理のないペースで湯船入浴をはじめてみよう。

4.約8割が実感!「即フロ」がQOLを向上させる

家に帰ったらすぐにお風呂に入る「即フロ」は、家でリラックスしながら、QOL(生活の質)を上げることができる。

調査(※)によると、「即フロ」をしている人の約8割が「夜の過ごし方に満足している」と回答。さらに、約半数が「翌日のパフォーマンスが上がった」と感じており、QOLを高める効果があることがわかっている。

「即フロ」にはたくさんのメリットがあり、とくに重要なのは「オンとオフの切り替えがスムーズになる」こと。

「オンオフの切り替えがスムーズになる」の説明画像。帰宅直後は身体が仕事モード→入浴をすると、副交感神経が優位になり、身体がリラックスモードになる。・ぐっすり眠れる・免疫力が上がる・作業がはかどる・肌の調子が整う

帰宅しても、外出先や職場での緊張状態が続いてしまい、すぐにリラックスモードに切り替えられないケースが多い。すぐにお風呂に入ることで、身体がオン(仕事モード)からオフ(リラックスモード)へと自然と切り替わり、夜の時間をよりくつろいで過ごせるようになる。
 
さらに、身体がリラックスモードに入ると、ぐっすり眠れるようになる、クリエティブな作業がはかどる、免疫力アップ、肌の調子が整うなどのうれしい効果も期待できる。

早坂信哉さんの写真

「即フロ」は交感神経のはたらきを抑えて、副交感神経を優位にする効果が期待できます。帰宅後のお風呂が、1日の中でのメリハリをつけ、夜のリラックスモードを長く楽しむスイッチとなるわけです。日本人は、ライフスタイルから交感神経が優位になりやすい人が多いので、自律神経のバランスを整えるという観点からも「即フロ」がおすすめです。

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